Airbnbの大量物件削除で民泊がオワコン化!?民泊新法が業界に与えた悪影響 | 不動産投資を考えるメディア

Airbnbの大量物件削除で民泊がオワコン化!?民泊新法が業界に与えた悪影響

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Airbnbの大幅物件削除で民泊がオワコン化!?民泊新法が業界に与えた悪影響

6月15日に施行された民泊新法ですが、今現在、業界全体が改変していくかもしれない事態に陥っています。
民泊新法の施行は前々から周知されていたはずですが、なぜ今になって騒がれているのでしょうか。

以前から事件やトラブルの多い民泊事業。現在の騒ぎが起きているのはAirbnb社が大量に物件を削除したことがきっかけです。
Airbnbが物件を削除した理由として、民泊新法が施行間近となったことで生じている混乱が要因となっているようですが、一体何が起きているのでしょうか。

今回は、もはやオワコンと言わしめる民泊新法が業界に与えた悪影響、そして民泊業界で今後必要とされることなどを推考していきたいと思います。

民泊新法による事業者届出件数の詳細

ここ数日の間で民泊に関するネガティヴなニュースが多くなりましたが、どうやら民泊業界を支えてきた事業主が続々と撤退をしている様子。

トラブルが絶えないことから厚生労働省や観光庁が中心となって民泊の新法を取りまとめ、2017年3月に閣議決定、今年6月施行となったわけですが、1年以上も前から進められてきたにもかかわらず、民泊の届出をする事業者は極端に少ないようです。
では、実際の届出件数の詳細を見てみましょう。

新法施行前の届出状況

まず、これまでに住宅宿泊事業としての届出がされた件数です。
5月17日に観光庁の田村長官が行った記者会見では、3月15日から5月11日までの約2ヶ月間で住宅宿泊事業の届出があったの件数は724件であったとしています。
Airbnbには何万件もの物件がある中でたった724件の届出とは…。

では、地域別で見た時はどうでしょうか。
各自治体で詳細なデータを公表してはいませんが、6月1日に新宿区が公表したところでは45件の申請、民泊特区である大田区で認定とされているものは56件ほど。
その他23区の申請状況を見ても、おおよそ30件前後となっているようです。

大阪や九州方面の届出件数

訪日外国人客が多い東京都が申請件数の大部分を占めていそうだという事が分かりましたが、大阪や九州地方についても見てみましょう。

9日に西日本新聞が公表したデータによれば、九州7県で103件ほど。福岡が最も多く49件、熊本、鹿児島がそれぞれ13件、佐賀と長崎は各10件、大分と宮崎が4件ずつとなっているとのこと。
東京、大阪の次に訪日外国人客が多い地方としては、やはり少ない印象です。

では、関西圏はどうでしょうか。
大阪府についてはデータがほとんどなく詳細をお伝えするのが難しいところですが、大阪市が特区になっていることを考えると、東京と遜色ないのではないかと考えられます。

しかし、現状のところ特定認定として公表されているのは8物件のみ。更に神戸新聞によると、兵庫県の届出数はなんと4件のみという悲惨な状況です。
データが公表されないと何とも言えませんが、民泊申請の進捗は芳しくない状況なのは間違いないようです。

業界に何があった?Airbnb騒動と厳しすぎる規制

民泊事業者としての届出は、全国的に少なさそうだという事がお分かりいただけたかと思います。
しかし何故、届出件数はここまで少なくなっているのでしょうか。
各ニュースを見ていくと共通して語られているのは以下のようなものになります。

煩雑すぎる手続き

民泊事業者としての届出は、申請から始まり審査結果の通知という流れで完結します。
しかし、その間の手続きが非常に煩雑で、まず商号や住所はもちろん、代表者の連絡先、家屋の種別、住宅規模、客人を宿泊させる間不在とならない旨、転貸の許可を得ている旨など全20項目の申請書類を用意する必要があります。

仮にここまでを良しとしても、複数の物件を所有している場合は住宅毎に申請が必要です。
また必要書類として、住宅の登記簿や間取り図面を始め、募集広告、成年後見人ではないことを証明するもの、欠格要件に該当しないとする誓約書、上記転貸の許可を得たと証明するもの、区分所有の場合は規約と管理組合にに民泊禁止の意思が無いと証明するものなどの全13種類の書面が必要になります。

厳しすぎるルール

手続きの煩雑さに加え、ルールも厳しい。
まず、事業者となった場合は、国籍別の宿泊者数宿泊日数などを年6回報告しなければならない。
宿泊施設については、感染症予防を理由に1人当たり3.3㎡の確保を義務付けられ、安全確保の観点から非常用照明の設置や避難経路の表示も求められます。
極めつけは「年間180日」という影響日数のルールです。これによって約半年ほどしか稼働できないため、残る半年は他の事業などで収益を上げなければいけません。

こういった厳しいルールと煩雑な手続きを経てようやく事業開始ですが、最後に交付される届出済証をラミネート加工して見えるところに提示するとのルールもあり、これらのルールに違反があると最大で6か月以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられます。

オワコンの理由は更に厳しい規制とAirbnb騒動?

更に厳しいルールがあります。
宿泊できる部屋が5室以上あったり、「民泊事業者が不在となる場合」は必ず住宅宿泊管理業者に管理委託をしなければいけません。つまり、宿泊客がいる限りは家を空けられないのです。

また民泊制度ポータルサイトでは、行うことが望ましい事項として「周辺住民への事前説明をするように」と掲載されているが、実際にこれを事業申請時に事業者に指示しているケースもあると言います。つまり、チラシなどを作成して配り歩く必要があるのです。

そしてここへきて、Airbnbと観光庁との間での食い違う話も物議を醸しています。
6万件以上あった物件の8割が削除され、現状1万数千件に減っているというニュースはご存知の方も多いかと思います。

Airbnb社によれば「観光庁の示していた対応が突然変わったため苦渋の決断」との見解でした。
しかし観光庁は「以前からそのように決まっていた」という認識とのことで、結局は水掛け論。
最終的にAirbnb社が折れ、届出のない民泊物件を大量に削除し、キャンセル料等を補償する事態になっているようです。

無くならないトラブルと今後の民泊業界に必要な事

さて、ここまでの内容をお読みいただき、どう思われましたでしょうか。
細かな取り決めが多く、悪意が無くとも手続きや申請に漏れが発生しそうだと感じる方も多いのではないでしょうか。

しかも、民間の宿泊施設と変わらないレベルの規制ともなると、法律に違反するくらいなら民泊を辞めてしまおうと思う人が続出することも容易に想像できます。
とはいえ、殺人事件や近隣住人とのトラブルが絶えないのも事実。規制やルールを全く無しにするという事は望ましいことではありません。

ただ少なくとも、国を挙げて観光客を増やすことが目標であったはずが、結局は規制によって民泊市場の勢いを殺してしまっている結果になっているのではないかという印象は拭えません。

そして、Airbnbの大量な物件削除。
前述のとおり、民泊事業者としての届出件数の少なさを見る限り、Airbnbが削除した後の物件数の増加にはあまり期待できないかもしれません。

こういった民泊事業の現状を見るにオワコンと言われても仕方ない状況ですが、早くも規制の緩和や法改正が必要だという声すらチラホラと見かけられるようになっています。

まとめ

Airbnb社の物件数の大量削除のニュース以降、民泊新法に関する各ニュースは何ともネガティヴなものばかりですが、現状の業界への厳しい風当たりや現状を見る限り仕方ないことかもしれません。

しかし、Airbnb社も事業拡大の手は止めておらず、コンビニでの宿泊施設のお鍵の受け渡しサービスを開始や、民泊にこだわらず沖縄での体験型ツアーを始めるなどしています。
他にも、古民家を活用する民泊事例や農業体験ができる民泊施設の登場など、民泊の可能性と活用方法はまだまだ広がる余地はありそうです。

本記事では敢えて事業視点からの民泊についてオワコンと表現しましたが、もしかすると、現在騒ぎとなっているものは都心部に限った話であり、事業以外の目的や地方創生などの視点においては、さほど大きな影響はないと言えるのかもしれません。

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