逆風に曝される民泊業界!最新調査に見る民泊ビジネス失速の種 | 不動産投資を考えるメディア

逆風に曝される民泊業界!最新調査に見る民泊ビジネス失速の種

シェアする

逆風に曝される民泊業界!最新調査に見る民泊ビジネス失速の種

6月の全面解禁が迫ってきた民泊事業。
空室対策の一環としても利用できる新たな仕組みという事で、不動産業界でも話題になってから久しくなります。
エイブルやアパマンショップホールディングス、シノケンといった大手不動産会社も参入することを決めており、民泊業界は宿泊客の取り込みに躍起になっているのではないかと思われますが、ここへきて、少々雲行きが怪しくなってきた節があります。
今回は、民泊ビジネスの最近の話題から見えてくる、民泊業界の現在の姿を追ってみたいと思います。

ヤミ民泊…。ついに起こった凄惨な事件

2018年2月、大阪市の民泊物件から女性の遺体が見つかった事件はまだ記憶に新しいところかと思います。

事件後1週間も経たないうちに米国籍の男性が逮捕されましたが、利用された出会い系サイトと同時に問題視されたのが、事件の起こった部屋が市への届け出や許可を得ずに営業していたヤミ民泊だったという事でした。

この物件の運営者は大阪市の東成区と西成区の2施設を運営していましたが、事件に直接かかわっていたわけではないものの、許可を得ていなかった物件で起こった凄惨な事件という事から、まもなく営業中止に追い込まれる事態となりました。

他にも、2017年11月には盗撮を目的として民泊を行っていたとして、大阪府の民泊物件を運営していた男性が書類送検される事件や、同年7月に宿泊客の女性に暴行を加えてケガをさせたとして兵庫県出身の男性が逮捕されましたが、いずれも運営の許可を得ていないヤミ民泊でした。

こういったヤミ民泊は今回の民泊新法が制定される前から問題視されていましたが、ややもすると、民泊は騒音やゴミ出しルールでのトラブルが起こりやすかったり、上記のような事件や違法薬物の取引に使われるといった犯罪の温床になりやすいなどと言われがちです。

現在もヤミ民泊を行う業者や個人が後を絶たず、実際にヤミ民泊における事件が多発していることから民泊ビジネスへの印象が非常に悪くなっていますが、実は東京五輪に向けて訪日外国人旅行者を増やしたい政府に対して、民泊新法による全面解禁に警戒感を覚える自治体や個人との間で溝が深まっているのです。

民泊運営者と住人との間の意識の違い

今年2月26日、民泊専門メディア「Airstair」は、住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月に施行される前に民泊運営者を対象とした意識調査を行い、その結果を公表しました。

調査自体は140人の回答から得られたデータで、その内容を見てみると驚きの結果が出ています。

まず、民泊運営者の形態の割合は「法人23%」と「個人77%」で個人が過半数を占めています。
なお、全体的な運営方法の割合を見てみると「家主不在型58%」、「家主居住型35%」、「両方運営6%」となっており、半分以上の物件が宿泊客が自由に物件を利用できるものであることが分かります。

これらの結果に対して、法的な許可や認定を受けている運営者の割合が「合法民泊20%」「無許可民泊80%」であり、全体の8割が許認可を受けていないという結果を見て驚かれる方も多いのではないでしょうか。

■参考:Recreator合同会社「住宅宿泊事業法意識調査 2018」
https://airstair.jp/minpaku-survey/

上記の調査結果に対し、民泊に利用されるマンションの住人側の意見が気になるところですが、一般社団法人マンション管理業協会では3月2日に「協会会員社受託管理組合における民泊への対応状況調査結果」を公表しています。

回答組合数は8万7352組合。
分譲マンションで民泊を行うには管理組合が民泊を禁止していないことが条件となりますが、今回対象となった管理組合に民泊を禁止するか否かという調査を行ったところ、以下のような回答結果となっています。

禁止方針 80.5%
容認方針 0.3%
決めていない(決議なし) 19.1%

なんと、ほとんどのマンションで禁止あるいは禁止も許可もしないという方針となっていることが明らかになりました。
更にその内訳を見てみると、以下のようになっています。

(禁止方針の組合)
規約を改正して禁止する…44.6%
総会や理事会で決議する…35.9%
(容認方針の組合)
規約を改正して容認する…0.1%
総会や理事会で決議する…0.2%

民泊を容認すると答えた270の管理組合で、民泊を歓迎する姿勢ともとれる規約を改正して容認すると答えたのが、8万7千の組合のうち、たった90組合であることになります。
このようにマンションに住む人々からすると、民泊解禁はあまり前向きに考えられるものではなさそうです。

■参考:一般社団法人マンション管理業協会「協会会員社受託管理組合における民泊への対応状況調査結果」
http://www.kanrikyo.or.jp/news/data/20180227.pdf

明らかになる自治体と個人の民泊への不安

先にお話させていただいたとおり、政府にとって民泊事業は訪日外国人旅行客の取り込みという目的を達成するためには必要不可欠であり、空室対策や事業の一環として民泊を行いたい個人にとって民泊は新たなビジネスチャンスとなり得ます。

しかし上記までのとおり、どうやら民泊を受け入れる側となる地元住民の理解を得るのは難しそうだということが調査結果から見て明らかです。

では、自治体側はどのように考えているのでしょうか。

実は自治体もどちらかというと住民側に寄った意見となっているようで、2月半ばから3月初旬までに日経新聞社が144の自治体にヒアリングした結果、有効回答数129の自治体のうち45の自治体が民泊を規制すると答えたと報道されています。

更に、その規制内容は「平日は禁止にする」といった曜日指定が72%、営業する地域を規制する「学校周辺で禁止」が44%、「住居地域では禁止」72%という回答となっています。

また、同調査では民泊が地域にもたらす影響については、訪日外国人観光客を誘致することには前向きだが、環境悪化に対する懸念もあるといったジレンマも感じられます。

■参考:NIKKEI STYLE「五輪開催の東京、民泊に不便さ?自治体7割で規制」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO28125120U8A310C1L83001

政府や観光庁を始めとした需給を求める人にとって是が非でも推進したい民泊新法ではありますが、自治体のこういった動きに対して官公庁は危機感を強めています。

更に自治体の条例で独自に規制を厳しくしたところで、それを禁止する法的な強制力がないことから、ガイドラインの策定や自治体へ粘り強い説明を行いながら理解を求めていくことが急務となっている様子が各報道からうかがえます。

まとめ

現在の民泊業界は飽和状態だと言われることもあり、ホスト(物件を掲載する人)は増えてはいるもののリスティング(物件の掲載)を停止する運営者も同時に増えていると言われています。

これは民泊解禁が迫る中で、許認可を受けていない、もしくは受けることのできない物件で運営している事業者が多いためではないかと考えられますが、どちらにしても今回ご紹介させていただいた民泊ビジネスの動向を見る限りでは、飽和状態であることに加え、自治体や個人の後ろ向きな反応から政府の方針だけが独り歩きしているような状況も垣間見えます。

これまでの日本にはなかった空室対策や遊休資産の活用に繋がる新たなビジネスとして確立するためには、今回施行される民泊新法だけではなく、自治体と政府、地域住民が一体となった新たな仕組みづくりが必要なのかもしれません。

記事の平均評価

各種お問い合わせやご相談はこちら