猛暑でも人気な南向き。賃貸物件の「緑化」で暑さ対策にスゴイ効果が!? | 不動産投資を考えるメディア

猛暑でも人気な南向き。賃貸物件の「緑化」で暑さ対策にスゴイ効果が!?

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2018年7月、40℃を超える”極暑日”がニュースなどで大きく取り上げられています。前年7000人ほどだった熱中症による救急搬送人員数が、今年はなんと既に約23000人と3倍以上にものぼります。既に数十名の死者が出ている今年の異常な暑さ。不動産オーナーからすれば、「入居者は自分で暑さ対策をしているだろう」と考えているかもしれませんが、もしかすると今後、賃貸物件の暑さ対策は必須になってくるかもしれません。

猛暑でも賃貸物件は南向きが選ばれる!?

まず最初にちょっと気になる「入居希望者はどの方角を向いた家を探すのか?」という疑問。これは調べるまでもなく「南向き」が圧倒的に多いですが、念のため過去の参考データもご紹介します。

賃貸物件で最も好まれる向きは?

2016年に株式会社CHINTAIが行った20~30代の男女330名へのアンケートで「お部屋の向きはどの方角を希望するか」の調査結果が以下となります。

Q.部屋の向きはどの方角を希望?
南向き:70%
東向き:19%
西向き:7%
北向き:4%
■出典:CHINTAI「お部屋の方角は「南向き」がベストは間違い? 生活スタイルによって変わるベストなお部屋の方角」
https://www.chintai.net/news/2017/01/18/6938/

また、アットホーム新築マンションPLEASEによる「タワーマンションの方角選びのポイント!住戸の向きはどこがよい?」という190名に対するアンケートもほぼ同じ結果となっています。

Q.住戸の向きはどこがよい?
南向き:46.8%
東向き:24.7%
西向き:21.1%
北向き:7.1%
■出典:アットホーム新築マンションPLEASE「タワーマンションの方角選びのポイント!住戸の向きはどこがよい?」
https://www.athome.co.jp/mansion/shinchiku/tag/tower/column/column24/

南向き以外で選ぶなら?

では、「南向き」という選択肢がない時にデータがどのように変化するか見てみましょう。SUUMOジャーナルでは2015年に「意外に多い?「南向き」以外を選ぶ人たちの理由とは」というテーマで調査しています。結果は以下の通りです。

Q.南向き以外で選ぶなら?
東向き:229人
西向き:60人
北向き:17人
■出典:SUUMOジャーナル「意外に多い?「南向き」以外を選ぶ人たちの理由とは」
http://suumo.jp/journal/2015/11/13/100698/

東向きを選んだ理由は「朝方の生活になるため」「夏の日差しを抑えられる」といった意見が多かったようです。結局のところ、南向き以外でも選ばれる方角の割合は同じようです。

「猛暑」を前提にしても結果は変わらない?

2万人以上が病院に搬送された猛暑。それでも南向きを選ぶ?

では、今年2018年において災害レベルとまで言われた猛暑を前提としても「南向き」が選ばれるのでしょうか。

筆者の独自調査で41名の方に「2万人以上が病院に搬送された猛暑。それでも南向きを選ぶ?(※構造、階数を考慮しない)」というアンケートを取ったところ、以下のような調査結果となりました。

Q.2万人以上が病院に搬送された猛暑。それでも南向きを選ぶ?
南向き:59%
東向き:27%
北向き:9%
西向き:5%

先程までのアンケートと違って、西向きと北向きの割合が逆になっていますが、これは有効回答数の少なさによる誤差の可能性も考えられます。

いずれにせよ、今年の猛暑を経験してもなお、南向き住宅の需要が高いというのは少々驚きの結果と言えるのではないでしょうか。

熱中症は子供より大人、外より室内が多い?!

熱中症で救急搬送された人数を平成29年・30年の7月16日~22日で比較

まず、熱中症による救急搬送された年齢層の約半数(46.5%)を高齢者が占めています。

次に割合が多いのは成人の8000人超(36.1%)というは少々以外です。そして、少年約3600人(16.2%)、乳幼児288人(1.3%)と続きます。

【救急搬送された年齢層の数と割合】
高齢者:10525人(46.5%)
成人:8169人(36.1%)
少年:3665人(16.2%)
乳幼児:288人(1.3%)
新生児:0人(0%)

このデータを見て分かる意外な事実は、熱中症患者のうちの8割以上が”大人”だということ。

「外で働く大人も多いから…」と思われるかもしれませんが、実はその理由に関するデータはさらに意外な結果となっています。

【熱中症の発生場所ごとの人数と割合】
住居内・住居敷地内:9462人(41.8%)
職場・作業所等:2741人(12.1%)
教育機関施設:2011人(8.9%)
公衆施設(屋内・屋外):4726人(20.9%)
道路:2831人(12.5%)
その他:876人(3.9%)
■出典:消防庁ホームページ「救急搬送状況」
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2.html

何と4割以上が室内で熱中症を発症していたのです。

この事実を見てしまうと、自宅だけでなく所有する賃貸物件においても何らか対策を取らなければ、更なる極暑が続いた場合、物件内での死亡事故が発生してしまうかもしれません。

では、具体的にはどのような対策方法があるのでしょうか。

賃貸物件の「緑化」がおすすめな理由

熱中症や暑さの対策としてよく行われるのが「打ち水」。道路などに水を撒くことで、その周辺の空間を2~3℃ほど低下させる効果があると言われています。

他の暑さ対策としては、「ヨシズやスダレを付ける」「ベランダにウッドデッキを置く」「断熱カーテンに変える」などが一般的ですが、ここで「建物の緑化」について考えてみましょう。

屋上緑化のスゴイ効果

インターネットで「賃貸物件 緑化」と調べてみると、「屋上緑化」に関するサイトが多数ヒットすることに気づきます。更に調べていくと、国土交通省が運営する屋上庭園に関するページで以下のようなデータがありました。

【屋上緑化空間の温度】
測定場所 日中の屋上温度 夜間の屋上温度
屋上緑化無しのタイル表面温度 51.7℃ 33.8℃
芝生設置時の芝生の表面温度 32.5℃ 29.6℃
植栽の下面温度 28.7℃ 28.7℃
植栽周辺気温 36.5℃ 31.9℃

■出典:国土交通省屋上庭園「緑の断熱作用による真夏屋上の温度の違い」
http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/gi_kaihatsu/okujyo/heat.html

RCマンションで例えると分かりやすいかも知れませんが、日中の強い日差しで照らされた屋上の表面温度は、上記データからも分かる通り、実に50℃を超えます。

しかし、芝生などの植栽を行うことで、芝生表面が30℃前後、マンションの表面温度は30℃を下回る、このデータからはそんな見方もできるのです。

マンションの最上階が最も暑いとされるのは、太陽によって建物が熱せられ、熱くなった空気が上層階ほど留まりやすいことが主な原因です。

屋上だけでなくコンクリートの建物全体が熱せられているため、夜になっても室温はなかなか下がりません。まさに焼石の中に住んでいると言っても過言ではありません。

特に都会においては大きな焼石が多く立ち並ぶ、「ヒートアイランド」ですから、可能な限り緑化は推進していくべきものと言えるでしょう。

緑化にかかる費用は?

しかしながら、屋上緑化や壁面緑化はそう簡単に導入できるものではありません。

屋上緑化の費用は1㎡あたり約2~3万円が相場と言われており、壁面緑化も業者によりピンキリですが、㎡単価数万円は確実です。さらに、設置だけでなく維持費もかかります。

「せめて助成金があれば…」と思うところですが、調べてみると、自治体によっては緑化推進のために補助金を出している事が分かりました。

例えば、埼玉県さいたま市では「みどりの街並みづくり助成事業」ということで、対象となる建築物や敷地内の緑化に対し、以下の通り助成金を交付しています。

「屋上緑化」
・1万円(1㎡あたり)×対象緑化面積
・対象経費の2分の1
・上限額50万円
「壁面緑化」
・1万円(1㎡あたり)×対象緑化面積
・対象経費の2分の1
・上限金額100万円
「沿道緑化」
・高木:2万円/本
・中木:1万円/本
・既存塀の撤去:5千円(1mあたり)
・対象経費の2分の1
・上限額20万円
■出典:さいたま市「みどりの街並みづくり助成事業」
http://www.city.saitama.jp/001/010/019/002/p022270.html

さらにイメージが湧きやすいように一般住宅で考えてみましょう。一般の戸建てが延べ床面積120㎡の建物だとしたら、屋根がおおよそ90㎡、壁面はおおよそ150~160㎡といったところです。

ここに㎡単価3万円の緑化工事を行うとなったら、数百万円以上の費用が掛かることになります。補助金で多少は安くなるものの、気軽に施工できるとは言い難いのが正直なところ。

建物もしくはその周辺を緑化することで抜群の暑さ対策となることは本章の前半のデータでも明らかですが、業者に支払う費用が高すぎて手が出そうにありません。

とはいえ、建物周辺のコンクリートを「土」や「緑」にだけでも周辺の空間の気温を下げる一定の効果はありますので、まずは手軽な暑さ対策から検討してみたいものです。

まとめ

今回は、誰しも初めて経験したのではないかと思われる「猛暑」をテーマに賃貸経営を考えてみました。暑さ対策については多くのメディアで似たような対策を紹介していますが、「根本的な解決策は何か?」と思われる方も多いであろうということで調べてみた結果、辿り着いたのが「緑化」でした。

屋上に緑を置くことで20℃以上も温度を下げる効果があるとは驚きでしたが、やはり、建物やその周辺において暑さを緩和させる効果的な方法は、コンクリートやアスファルトを土や緑に変えることなのであろうと考えます。

世界的にも極暑日が増えている昨今、クールビズならぬ”クールハウス”化が今後の賃貸経営のカギとなってくるかも知れません。

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