入居時も立会いは必要?引っ越しで共用部を破損された時のトラブル対応 | 不動産投資を考えるメディア

入居時も立会いは必要?引っ越しで共用部を破損された時のトラブル対応

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引越し荷造り中の部屋

今年に入ってからまもなく「引っ越し難民」という言葉を耳にする機会が多くなりましたが、言葉そのものは以前から使われていました。
ただ、今年2018年は働き方改革や人材不足などの影響により引っ越し難民問題がさらに深刻化していると言われており、運よく引越し業者の予約ができても、法外な見積もりを提示されたというケースも少なくないようです。
さて、今年も引越しの大繁忙期を迎えましたが、引っ越しが行われる中で自分の所有するアパートや、区分所有マンションの共有部を壊されてしまうなんてことがあるかもしれません。
そんな時、物件のオーナーとしてどう対応すべきなのか。
今回は引っ越しシーズンに起こり得るトラブルと、立会いは退去時だけではなく入居時も必要である理由を解説させていただきます。

引っ越しのトラブルは他人事ではない

日本国内での引っ越しの件数は年間で220万人前後と言われています。
東京都が公表する統計から年間の移動者数を見てみると、東京都と他県間での転出入者の数は平成28年で約81万件、都内間での移動件数は約88万件となっており、東京都の移動者数はなんと年間合計で169万人。仮に、1世帯の平均人数を厚生労働省が公表している約2.5人だとしても、東京都だけで年間67万件の引っ越しがあると推測できるのです。
また、独立行政法人国民生活センターの調べによると、年間2500件の引っ越しに関するトラブル相談があると報告されており、2017年は公表されているものを見る限りでもその件数は前年を上回ると予想されますが、言わずもがな、国民生活センターに報告されていない相談件数を考えると、その件数はもっと多くなるでしょう。
実際、引っ越し比較サイト「引越し侍」による調査では、約4800件のデータから、引っ越しでトラブルを経験している人は87.2%にもなり、トラブル内容も住居への傷や汚れ、家財への傷や破損、マンション管理会社への連絡ミスが全体の35%を占めていることが分かります。
年間の引越し件数とトラブル件数等、そしてトラブル内容の割合を見る限りでは、賃貸経営をする中で入居者の引っ越し時のトラブルは決して他人事と言える範囲ではなく、退去時だけでなく入居時にも立会いが必要になりそうだと言えるのではないでしょうか。

参考:
東京都の統計「人口の動き(平成28年中)」
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/jugoki/2016/ju16q10000.htm

厚生労働省 厚生統計要覧(平成28年度)「第1編 人口・世帯 第3章 世帯 第1-49表 世帯数・構成割合,世帯人員×年次別;平均世帯人員,年次別」
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/jugoki/2016/ju16q10000.htm

独立行政法人国民生活センター 各種相談の件数や傾向「引越しサービス」
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/hikkoshi.html

引越し侍「実際にあった「引越しのトラブル」を調査」
https://hikkoshizamurai.jp/report/trouble-case-2017/

引越しの際の破損は誰に責任がある?

賃貸経営の基本として、室内の経年劣化部分の補修は家主負担、明らかに入居者による破損や汚損の補修は借主の責任ということになりますが、厄介なのは犯人や原因が特定しづらい共用部の破損や傷、汚損等です。
3月や4月が最も引っ越しの多い月であることはご存知の方も多いかと思いますが、冒頭でも申し上げました通り、引っ越し業界は深刻な人手不足。
つまり、人手を確保できたとしても3月や4月の大繁忙期に社内研修等にまで時間をかけられず、荷物の搬出入のスキルが不足したままの引越しスタッフが駆り出されることが多くなるのは容易に想像できます。
それは同時に、引越し時の共有部に対する破損や傷を作ってしまう可能性が高くなることに繋がります。

もし共用部に物をぶつけたりして破損させた場合、引っ越し業者や入居者から自己申告があれば良いですが、近所の子供が勝手に敷地内に入って遊んでいたり、引っ越し時以外に傷がついてしまうこともありますので、こちらから「引っ越しの時の傷だ」と伝えて修繕費を請求しようと思っても、引っ越し時のものではないなどと否定されてしまえば水掛け論にしかなりません。
よって、共有部の破損や傷が発覚した場合は、それが「引っ越しの時にできたものである」という事を証明するか、もしくは先方に認めてもらう事が重要となります。

ただ、自身が所有するのがアパートや戸建てであれば、「オーナー」「入居者」「引っ越し業者」という3者間の話し合いでまとまるかもしれませんが、所有する物件が区分所有マンションであったとしたら「管理組合」も関わってきます。
そうなってくると、誰に責任があり、どのように共用部の破損を修繕するのか、そもそも本当に引越し時にできた破損や傷なのかといったことを話し合うのにかなりの労力を要することとなります。
区分所有マンションの場合は管理組合が加入している火災保険に個人賠償責任保険の特約を付けているのが一般的ですが、全てが同特約を付けているとは限らず、更に管理組合によっては保険を使うことを拒み、直接オーナーや居住者へ修繕費の負担を求めてくる場合もあるのです。

オーナーの立会いは退去時だけでなく入居時も?

ここまで、引っ越し時に起こり得る共有部への破損、傷などの事故と、そこから考えられる可能性をお伝えいたしましたが、こういったトラブルに対して法的な決まりやガイドラインがあるわけではないため、状況に応じて個々に対応していく必要があります。
つまり、オーナー、入居者、引っ越し業者、管理組合の4者間での話し合いがもつれた場合は、泣き寝入りせざる得なくなる可能性すらあり得るのです。

そんな事態に巻き込まれないよう、オーナーとしてどのような対処をすべきで、事前に行えることはあるのでしょうか。
未然にトラブルを防ぐ方法として最も有効なのが、「退去時だけでなく入居時の引っ越しも立会いをする」という事です。
立会いと聞くと退去時の敷金返還に伴う室内確認というイメージが先行しますが、入居時に立会いをする事で共用部を破損させたり傷をつけた場合はその場で事実確認ができる上、責任の所在も決定しやすくなります。
とはいえ、サラリーマン大家をされている方ですと、そう簡単に立会いもできないでしょうから、少なくとも以下のような対策はしておいた方が良いかもしれません。

(事前の対策)
・通路などの共有部に防犯カメラを設置する
・引っ越しの前後で共有部の写真を撮影する
・共有部の破損が適用される火災保険に加入しておく
・区分所有の場合、管理規約等を確認して共有部分と専用部分の範囲を明確にしておく
・同じく区分所有の場合は、万一の際の対応を管理組合に確認しておく
(トラブル時の対策)
・引っ越しから日を空けず、もしくはその日のうちに共有部の破損や傷を確認する
・破損や傷があった際は、できれば日付時刻が記載された写真を撮影する
・入居者を仲介した不動産会社や、建物の管理会社への協力を仰ぐ
・場合によっては器物破損で警察へ届け、その旨を当事者へ共有する
・入居者が修繕費用を請求する場合、クレジットカードや自動車保険などに個人賠償保険が附帯してないか確認してもらう

引っ越し業者による破損や傷がついた場合については、引っ越し業者側が必ず加入している保険で補償してもらえるはずですが、中には保険料がアップすることを避けるためにのらりくらりと対応する業者や、頑として責任を認めない業者も存在します。
やはり、時間の都合が合うのであれば退去時だけでなく入居時も立会うことを検討するか、せめて引っ越し作業前に共有部に破損などが無いか証拠を揃えておくことが重要と言えるでしょう。

まとめ

引っ越しにまつわる家財や建物の破損に関する相談は、常にと言っていいほどインターネット上で目にすることができます。
それほどにトラブルが多いのだと言えるかもしれませんが、仮に目に余るほどの破損ではなく、多少の傷や破損であれば放置しておこうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、基本的に引っ越しによる破損や傷を修繕するかしないかは別としても、その事実は当人に確認すべきです。
もし通路に破損があって通るのに問題なかったとしても、それが元でケガをしたといった事でもあれば、オーナーとして善管注意義務違反で訴えられる可能性もあるため、やはり多少の破損でも修繕することをベースに確認しておいた方が良いでしょう。
引っ越しシーズン真っ只中で、あらゆる業界が繁忙期にもなり保険会社の対応が悪く泣き寝入りなんて結果にならないように、事前に対策をしておくことは重要なこてとです。

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