トランプ大統領も行使した空中権。ドローンが侵入したらどうなる? | 不動産投資を考えるメディア

トランプ大統領も行使した空中権。ドローンが侵入したらどうなる?

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高層ビルとドローン

アメリカのトランプ大統領が所有するトランプタワーは、58階から隣のティファニーのビル越しにニューヨーク市街が一望できることで知られています。それはティファニー本店が7階建てのためですが、そうなった原因にトランプ大統領が所有する空中権というものが関係しているようです。空中権とはどういう権利なのでしょうか。もしドローンでその空間に入ったら不法侵入になるのでしょうか。

空中にも所有権が発生する

土地や建物を所有すると所有権が発生しますが、実は空中にも所有権が発生します。土地や建物を所有すると、その上の空間も所有したことになるのです。
国土交通省の民法207条では「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と明文化されています。
上というのは土地の上の空間、下というのは地下のことです。空間と地下にも所有権があるということが法律で定められているのです。

トランプ大統領の場合、ティファニー本店の空中権を購入したことでその空間はトランプ大統領が所有者となり、ティファニーは8階以上の建物を建築できなかったというわけです。

売買できる範囲は決まっている

空中権といっても、遥か上空まで売買できるわけではありません。空中を所有するには限界があります。
航空法では、「航空機は少なくとも建物の300メートル以上を飛ばなければならない」とあるため、上限は建物の上空300メートルまでというのが定説になっているようです。

ただ空中権を売買する場合は少し違う見解になります。
建物を建築する際は、容積率というものがあり、敷地の広さに対し建てられる建物の高さや面積の上限が決められています。空中権が売買できるのはこの容積の範囲までになります。

先のトランプ大統領の例で言うと、ティファニーがその場所に建築できる容積分までしか購入できないということです。仮にその土地に35階建のビルが建築できるとしたら、35階と建築された7階の差である28階分が売買されたことになります。
また、トランプ大統領は購入した容積分しか上乗せできないことになります。逆に言うと、近隣の空中権を購入することで、本来の容積率を超えた建物の建築が可能になるということが言えます。

ドローンは住居侵入にならない?

空中権を所有している人がいる場合、その空間には第三者は建物を建てることができません。では、ドローンでその空間に入ると、空中権の侵害となるのでしょうか。

通常、建物に不法侵入することは犯罪です。庭に他人が勝手に入ってきたり家の中に入ってきたりした場合、住居侵入で罪に問えますが、住居侵入は「人」が侵入する場合にしか適用されません。
つまり、ドローンなど人ではない「モノ」が侵入してもこの法律では住居侵入には問えないということです。しかもドローンにはカメラがつきものですので、当然カメラを通して第三者に庭を見られている可能性も高くなります。

そこで、総務省は 『「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン』(案)を作成しました。
その中でドローンの規制について書かれています。主なものを抜粋すると、「上空150メートル以上は飛行してはならない」、「人や物から30メートル以内に近づいてはいけない」などです。
つまり、一般的な一戸建ての庭は明らかに家から30メートル以内ですから、他人の家の庭にはドローンでは入れません。

さらに、人口集中地区の上ではドローンは飛行してはならない、と明記されています。人口集中地区とは、1キロ平方メートル内に4,000人以上の人口が密集する地帯が連なっているエリアを指します。
また、空港や港湾、工業地帯、公園は人口密度に関係なく人口集中地区になります。都心はほぼ全域が人口集中地区ですので、基本的に都心では飛行できないということになります。

ただし、そのような地域でも地方航空局長の許可があればドローンを飛ばしても良いようなので、テレビで放映されているドローンによる映像は許可を得ているのだと思われます。

ティファニー本店上空でドローンを飛ばすとどうなる?

では、このような規制がアメリカでも通用するという前提で、トランプ大統領の所有しているティファニー本店上空でドローンを飛ばした場合、どうなるのでしょうか。

ティファニー本店はオフィスも入っている7階建てのビルですので、高さはマンションより高めの30メートル前後だと推測されます。
建物から30メートルは離れなければいけませんので、地上から60メートル辺りを飛ばすことになります。トランプ大統領の空中権内を飛んだとしても、ドローンは不法侵入にはならないことはわかっていますので、あとは人口集中地区かどうかということですが、当然ニューヨークは人口集中地区だと思われますので、航空法で罰せられることになります。

ただし、事前にトランプ大統領に許可を得られればドローンを飛ばすことはできるようです。

まとめ

総務省や国土交通省などでは、思ったより早くドローンについての規制を定めていたことに感心するとともに、その規制の数の多さに驚きました。空中権以外にも空間は多く規制されているのです。
テレビでは、当たり前のようにドローンを使ってスポーツ中継をしたり、郊外を撮影していますので、こんなに多くの規制があることはあまり知られていないでしょう。ドローンを使う人は要注意です。
今後は宅急便をドローンで運ぶ構想など新しい使い方も考案されていますので、法律もそれに対応して変わっていくのではないでしょうか。

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