賃貸経営も無関係でない「改正個人情報保護法」の変更点とは? | 不動産投資を考えるメディア

賃貸経営も無関係でない「改正個人情報保護法」の変更点とは?

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パソコンとセキュリティのイメージ

2003年に個人情報保護法が制定されて2007年には全面施行となり、気づけば早10年以上が経過しました。実はあまり世間でも話題になることはありませんでしたが、2017年5月に個人情報保護法の改正があったのをご存知でしょうか。
今回は個人情報保護法の制定から初めてとも言える大きな改正であり、その内容を見ると、実は賃貸業を営む個人事業主の方には全く無関係とは言えないものとなっています。
今回は改めて、個人情報保護法の簡単な改正内容と、賃貸オーナーの方はどのような点に配慮すべきなのか確認してみたいと思います。

改正個人情報保護法のまとめ

まず最初に、2017年の個人情報保護法改正の内容がどのようなものか、簡単におさらいしてみましょう。
改正や新設を含めて大きく以下の5つに分けることができます。

  • 個人情報保護委員会の新設
  • 個人情報の定義の明確化
  • 個人情報の有用性を確保
  • 名簿屋対策
  • その他(個人情報取扱事業者の定義の拡大など)

個人情報保護委員会とは、専門の委員会を設置の設置と管理監督等の権限を委譲することにより、一元化した管理監督を行うことを目的とした機関となります。これまで各省の大臣が個人情報の取り扱いについて監督する立場にありましたが、より公平な判断を下すためには有効であると考えられます。
また、名簿屋対策を主な目的として、第三者への個人情報の提供については渡す側と受け取る側に互いの氏名や連絡先、提供年月日、経緯といった記録の作成と保存が義務付けられました。ただ、個人情報を不当に扱う目的ではない、所謂、サービスや研究などの為に個人情報を扱うべき場面も多くあるわけですが、そういったイノベーションの可能性が排除されないように、匿名加工情報により個人情報の有用性を確保するための規定も新設されています。

さて、この5つの具体的な改正内容ですが、特に賃貸経営等に関係する2つの改正を紐解いて解説させていただきます。

個人情報の定義の明確化

(旧法)
「個人情報」とは当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの

(改正後)
一 「個人情報」とは当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他文書や図画、若しくは電磁的に記録されることにより特定の個人を識別することができるもの
二 個人識別符号が含まれるもの(指紋や声紋、年金・免許証番号、マイナンバーなど)

つまりは、どのような方法で記録されていたとしても、特定の個人を識別できる情報は個人情報ということになります。
また、人種、病歴、前科、犯罪被害情報、身体・精神障害等、健康診断その他の検査の結果、刑事事件に関する手続といったセンシティヴな情報(要配慮個人情報)については、取得する時点で本人の同意を得ることが原則となりました。

参考:個人情報保護委員会「改正個人情報保護法の基本」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/1706_kihon.pdf

その他(個人情報取扱事業者の定義の拡大)

これまで5000件以上の個人情報を取り扱う事業者についてが「個人情報取扱事業者」と定められていましたが、今回の改正により5000件という決まりが撤廃となり、個人情報をパソコンや紙媒体などで1件でも取り扱いがあれば個人情報取扱事業者という扱いになりました。

無関係ではない!?賃貸オーナーの責務

本来であれば、上記に解説させていただいたもの以外においても、個人情報を取り扱っている賃貸業を営むオーナー様は個人情報保護法について把握しておくべきだと言えます。何故なら、入居申し込みの段階から契約に至るまでの間で既に書面などで取得する個人情報は多くありますし、それらがどういった方法で取得されたかに関わらず「個人を特定できるもの」となれば、その時点で取り扱い事業者となりますので、取り扱いに関する法令を遵守する必要があるためです。

とはいえ、いざ契約書等の書面で個人情報を取得したとしても、それらを厳重に保管するというボンヤリとしたイメージしか湧かないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、個人情報の管理方法について、何か法令で決まりがあるのか確認してみたところ、以下のような規定があります。

第19条 個人情報取扱事業者は、個人情報を正確、且つ安全に保存し、必要なくなった場合は遅滞なく消去しなければならない
第20条 個人情報取扱事業者は、漏洩、滅失、既存の防止と安全管理のための適切な措置を講じなければならない
第21条 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるにあたって、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
第22条 個人情報取扱事業者は、個人情報の取り扱いを委託する場合においてその安全管理が図られるように、委託先に必要な監督を行わなければならない。

参考:e-Gov「個人情報の保護に関する法律」
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC0000000057&openerCode=1#36

不動産オーナー様の中には、契約書等だけでなく、空室対策や入居者との関係を良好に保つコミュニケーションの一環として緊急連絡先や趣味、血液型、出身地、家族構成などの個人情報に関わるものをリスト化されている方もいらっしゃるかもしれません。
それらが個人を特定できる情報なのであれば、それらを管理するパソコンのウイルス管理やバックアップ、紙媒体であれば厳重に保管方法といった対策が義務となります。
当然、それらの情報を家族や知人との会話の中で漏らすなどは、以ての外です。

「そういえば!」実は身近にあるかもしれない個人情報

さて、これまではあまり気に留めることもなかった入居者の個人情報やその取扱いについてですが、今後は個人事業主である賃貸オーナー様にとっても重要な法令であることがお分かりいただけたかと思います。
ただ、実は自分でも気づかないうちに個人情報を取得してしまっている可能性があり、それを個人情報と認識しないままに第三者に提供してしまうことになったら、大きなトラブルに繋がる可能性も秘めています。
そこで、個人情報の定義をもう一度思い出してみましょう。

改正後の個人情報の定義に「氏名、生年月日、その他文書や図画、若しくは電磁的に記録されることにより特定の個人を識別することができるもの」という条文が加わりました。つまり書面だけでなく、映像や画像といった電子的に記録されるものも個人情報となり得るのです。
分かりやすいところで申し上げると、「防犯カメラ」がそれにあたるでしょう。
そもそも、個人情報保護法の第18条において、個人情報を取得するにあたっては事前にその利用目的を公表しておくか、取得時に利用目的を本人に通知しなければならないと決められています。よって、この条文だけで考えるのであれば、防犯カメラ設置するオーナー様は入居者にその事実と利用目的を通知しなければなりません。既に設置済みであっても通知は必要ということになります。
ただし、次のような条文もあります。

第18条4項 (第18条3項まで)の規定は、次に掲げる場合については適用しない。
1 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
2 当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
3 国の機関等が法令の定める事務を遂行することに協力する必要がある場合、利用目的を本人に通知することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
4 取得の状況からみて利用目的が明らかである場合

参考:e-Gov「個人情報の保護に関する法律」
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC0000000057&openerCode=1#34

つまり3号で例えると、警察から捜査のために防犯カメラの映像提供を求められたと、わざわざ容疑者に伝えてしまうと容疑者が逃亡してしまう可能性がありますので、通知は不要という事を言っているということです。
4号についても同じで、明らかに防犯目的であると分かる場合は、事前の通知は不要と言う事ができます。

とはいえ、不動産運用は入居者との信頼関係の上にあると言っても過言ではありませんので、防犯カメラを設置する場合は事前に入居者に伝えたほうが、未然のトラブル防止に繋がると考えたほうが良いでしょう。

まとめ

最後に防犯カメラの映像という意外なものが個人情報にあたると解説させていただきましたが、他にもマンションの管理組合の理事については、個人情報保護法の第21条の「従業者」にあたると考えられますので、組合員であるオーナーはその監督が求められる可能性もあります。
このように、これまで意識していなかったところに個人情報となるものがあったり、意外なところで管理を求められる可能性がありますので、今一度、自身の不動産投資の中で個人情報が含まれていないかをしっかり確認し、適切に管理するよう心掛けたいところです。

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