株式市場のアノマリーは不動産市場にも有効?実際に調べてみた。 | 不動産投資を考えるメディア

株式市場のアノマリーは不動産市場にも有効?実際に調べてみた。

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バブル崩壊と主に歩んできたとも言える平成の時代も、いよいよ30年という節目を迎えました。平成生まれの若い人たちが30歳目前ということを考えると、時の流れの速さに焦りさえ感じる方もいらっしゃるかもしれません。
さて、そんな2018年の不動産投資を占うというわけではありませんが、投資の世界からは切っても切れない関係にある「相場」の概念の中に、「アノマリー」という考え方があるのをご存知でしょうか。
今回は、アノマリーをご存知の方や初めて知ったという方にも、「一般的に認知されているアノマリーが不動産市場と相関性はあるのか」調べてみましたのでご紹介させていただきます。

そもそもアノマリーとは?

アノマリー(英:Anomaly)を直訳すると「変則」「異例」といった意味になります。主に株式市場の世界では「そのようになる根拠の説明は難しいが、何故か規則性のある動きをすること」という意味で使用されています。ただ、「根拠がない」「説明できない」という前提にありながらも、相場の世界ではある程度の仮説でその動きを説明されているのも事実です。
少々抽象的な表現で分かりづらいかもしれませんので、日経平均株価をモデルとして、もう少し詳しくご説明させていただきます。

まず、毎年1月4日の大発会を初日としてスタートする日本の株式相場ですが、一般的な傾向としては1月は上げ下げが年によって異なり、2~3月までは上昇相場となります。4月に再度上げ下げをしつつ、5月まで上昇します。
しかしながら、天井を付けた相場は5~6月にかけて大きく下落します。時に大暴落になることもあるため「Sell in May(売りの5月)」という、5月の下落相場を揶揄する格言もあるほどです。
下落が一段落した後は9月ごろまで保ち合いとなることが多く、短期売買をされている方にとってはヤキモキする期間となりますが、10月頃に再度安値を付けた後は12月まで上昇を続けます。

これが所謂、日本の株式相場におけるアノマリーですが、アメリカの株式相場のアノマリーが基となっている部分もあるため、必ずしもそのような動きになるという事ではないですが、過去の日経平均株価の動きを見てみると、おおよそ似た動きになっていますので、参考までにご覧いただくと面白い発見があるかもしれません。

では何故、このような動きになるアノマリーが存在するのでしょうか。
これには、月別で様々な見解がありつつも、市場参加者の共通した見解をまとめると以下のように説明できます。

「新年が始まったら3~4月の決算に向けて株を購入する人が多く、決算が出そろった5月は保守的な売りやGWに向けて手仕舞う動きが多くなり、夏枯れと呼ばれる夏休みシーズンを越えるまでに安値を付けに行くが、そのタイミングで割安感からの買いが入り、クリスマス商戦に向けた買いが更に相場を上昇させる」

これらは明確な根拠があるわけではなく、過去の動きなどからそのような仮説があるというだけで、アノマリーそのものが市場心理に影響を及ぼすほど認知されているため、更にその動きを確固たるものにしているとも言えるのです。

不動産市場にアノマリーはあるの?

では、上記のような株価の動きは、不動産の売買市場にも影響するのでしょうか。
よく考えてみると、日本も年明けから受験シーズンに突入して一人暮らしを始める若者の姿を多く見かけるようになります。

また、決算シーズンには転勤や異動が多く行われますので引っ越し業者にとっては大繁忙期となり、4月頃までは不動産業界全体が好景気と言えるのかもしれません。

その後はGWや夏休みがありますので、そのタイミングで不動産も動きそうだという予測もできますが、あくまでこれらは一般論であり、賃貸市場と売買では動きが違うとも言えますので、実際に数字として見た時にどのような動きをしているのか見てみたいと思います。

下記は東京カンテイの不動産市況レポートのオープンデータと、レインズのオープンデータから独自にまとめた過去5年間における中古マンション70㎡価格の前月比騰落率と、中古マンション成約件数の前月比増減割合です。

過去5年間における中古マンション70㎡価格の平均騰落率
1月 0.38%
2月 0.67%
3月 -0.02%
4月 0.03%
5月 0.32%
6月 0.15%
7月 0.41%
8月 0.59%
9月 0.34%
10月 1.31%
11月 0.55%
12月 0.31%
過去5年間における中古マンション成約件数の平均増減率
1月 -0.62%
2月 28.82%
3月 11.65%
4月 -19.34%
5月 -2.82%
6月 5.30%
7月 -4.51%
8月 -22.23%
9月 33.34%
10月 -1.00%
11月 -1.14%
12月 -8.25%

意外にも、過去5年間で最も中古マンションの価格が伸びた月は10月という結果になりました。
更に、中古マンションの成約率については9月が最も多いことが分かります。
中古マンション市場はどうやら秋口が活発に流動していそうだという事が分かります。

逆に、価格が落ち込むのが3月と4月で、成約件数は最も少ない8月以外では4~5月にかけて落ち着いた動きとなっています。

春先に向けて引っ越しが多くなるのはデータを見るまでもなく明らかではありますが、その時期よりも秋口の方がマンション売買の取引が多く活発なのは、賃貸とも株式の動きとも違う特徴だと言えるでしょう。
2015年頃からマンション価格は上昇を続けてきましたので、アノマリーとして考えると判断の難しいところではありますが、過去のデータから価格の騰落率や成約件数の増減を見る限りでは、「高く売るなら秋、安く買うなら春」というように見ても良いのかもしれません。
とはいえ、実際の不動産の価格変化や市況にアノマリーを見出すのは至難の業になるでしょうし、むしろアノマリーという考え方で取引を考えるのはむしろ危険と言えますので、結局のところ、市場全体や税法改正などを加味した総合的な判断をするのが得策です。

J-REITは株式相場と連動する!?

さて、不動産投資には不動産売買の他にもJ-REITという比較的小口で投資できる商品があります。
先ほどは、実際の不動産取引でアノマリー分析をするのは意味をなさないかもしれないとご説明しました。

しかしながら、J-REITは少々様子が違いそうです。
J-REITは不動産を運用先としたファンドであり、集められた資金で不動産が購入されていくというプロセスであることは周知の事実ですが、これは通常の不動産投資と同じですから先ほどの話のようにアノマリーが通用するのか疑問にも思えます。
そもそも不動産価格は株式市場のようにリアルタイムで変化するようなものではなく、J-REITと株式市場の動きに相関性はないと明言している専門家や投資家もたくさんいます。
しかしながら、下記にご紹介する「一般社団法人 不動産証券化協会ARES」というサイトで確認できる「東証REIT指数・東証株価指数(TOPIX)の長期推移」をご覧いただくとお分かりいただけるように、東証株価指数と東証REIT指数の値動きはぴったり一致しています。
当然、騰落率はそれぞれ違いますが、上げ下げという点だけで見た時、株価とJ-REITにおける投資家心理が見事にチャートに反映していることが分かります。
また、楽天証券で確認できる東証REIT指数と日経平均株価の過去10年分の動きも見比べてみましょう。
値幅は違うものの、それぞれの動きは一致しており、おおよそ最初にご説明させていただいたアノマリー通りと言える部分も見受けられます。
つまりチャート上の動きは、春ごろまで陽線が出やすく、5月以降は陰線続きになることが多く、11月以降から再度陽線が出やすくなるということです。

参考:
ARES「東証REIT指数・東証株価指数(TOPIX)の長期推移」
https://j-reit.jp/market/02.html
楽天証券「東証REIT指数」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/treit.html
「日経平均株価(日経225)」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/n225.html

当然と言えば当然ですが、株価が全体的に上がるという事は日本経済全体が活況であるという事ですから、それに釣られてJ-REIT指数が上がっていくのも頷けます。その逆も同様です。
J-REITが季節性やアノマリーに沿った動きをするのであれば、それを一つの参考に取引をしてみるのも妙味なのかもしれません。

まとめ

今回は、少々強引かと思いましたが、一般的に知られる株式相場のアノマリーと不動産市場に相関性はあるのかということを解説させていただきました。
本来は、アノマリーは「何故そのようになるかは分からないが、毎回同じ動きをする」という少々ミステリアスな意味がありますが、相場という世界においては季節性とアノマリーを混同して使用されることが多々あります。
とはいえ、「投資」というカテゴリにおいては、いつの時代もアノマリーが語られがちではありますので、数あるアノマリーを一つの季節性として判断材料にしてみるのも良いかもしれません。

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