入居希望者からの家賃交渉は受ける?受けない? | 不動産投資を考えるメディア

入居希望者からの家賃交渉は受ける?受けない?

シェアする

AorB

賃貸経営を行う中で、空き室への入居希望者から家賃の値下げを交渉されたことはないでしょうか。
その交渉がオーナー様にとって嬉しいものかどうかは別としても、できるなら家賃を下げずに入居してもらえることが一番の望みというのは誰しも同じことかと思います。
しかし、もし「家賃を下げない」という結論を出したら、入居希望者の意向が変わってしまわないだろうかと、無理に値下げをする方向で考えてしまうこともあるかも知れません。

では、入居希望者はどんな理由や根拠があって、値下げ幅などを提示してくるのでしょうか。実はその点をよく考えてみると、交渉を受け入れるかの判断が変わってくる可能性があります。
そこで、今回は「値下げ交渉と空室期間」に焦点を絞って、値下げ交渉を受けるべきかを考えてみたいと思います。

賃貸市場の空室問題と家賃交渉の調査結果

賃貸物件市場においては、「アパートの乱立」「空家問題」など、未だ根本的な解決策が見いだされない話題をよく耳にしますが、それらの問題の背景には、少子高齢化や税金対策、またはサブリース会社による収益用建物建築の斡旋などが挙げられます。
総務省の調べによると、平成25年には空室となっている物件は820万戸を超え、全国の住宅の13%以上が空室であるとしています。

参考:総務省「平成25年住宅・土地統計調査 特別集計」
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/tokubetu_2.htm

このような事実もあり、一度空室を放置してしまうと経営は悪化するばかりですから、値下げ交渉があったらすんなり受け入れて入居してもらいたいという気持ちも分かります。

そこでもう一つ、家賃の値下げ交渉をする人はどの位いるのかという、2015年に「株式会社いえらぶGROUP」が発表したアンケートの調査結果を見てみましょう。

Q.家賃の値下げ交渉をしたことがありますか?

はい:39%
いいえ:61%

出典:株式会社いえらぶGROUP「毎月の出費を節約!家賃を下げるマル秘テクニック」
https://www.ielove.co.jp/column/hatena/00380/

実に4割の方が家賃の値下げ交渉した経験があるという事実は、賃貸オーナーの多くが入居希望者から家賃交渉されたことがあるという証かもしれません。

では、入居希望者は何か根拠や理由があって家賃交渉をするのでしょうか。

入居希望者が家賃交渉をする根拠

入居希望者が家賃交渉をしてくる理由と言っても、結果は考えるまでもなく「家賃を安くしたい」ということが圧倒的でしょう。ただ、単に「安くしてください」と言うのではなく、交渉してくるにはそれなりの材料を用意してくることが考えられます。
そこで、コツがあると言われている家賃交渉において、入居希望者視点ではどのようなことを値下げの根拠とするのかまとめてみました。

  • 空室期間が平均より長い部屋である事を知っている
  • その部屋以外にも空室がある
  • 周辺の賃料相場よりも高い
  • 明らかに引っ越しの閑散期である
  • 周辺環境や設備に難がある、駅から遠いなどの欠点が多い
  • 長く住む事を条件とする利害の一致

入居希望者も、家賃を安くするためには以上のような根拠を用意するでしょう。上記に挙げたほとんどが、確かにオーナーにとっては悩みの種となりそうな部分ですので、Win-Winとなるには十分な根拠だと言えそうです。

家賃交渉は受け入れるべき?

では、先ほど例として挙げたような家賃交渉の根拠を提示された場合、受け入れるべきでしょうか?
駅から遠いですとか、周辺の賃料相場という自助努力ではどうにもならないことが空室の理由となっているのであれば、値下げについて前向きに考える必要はあるかもしれません。
しかしながら、「空室期間が長い」ということに関しては、それ以外の設備の問題や単に時期的な問題というところを解消していけば、賃料を下げずとも入居者が決まる可能性もありますので安易に値下げを了承する必要はないかもしれません。

とはいえ、「でも、随分長い間空室だし」なんて思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも、空室期間はどのくらいの期間が平均なのでしょうか。
空室期間を調べるには、賃貸ポータルサイトの募集物件から広告掲載日から逆算するという方法が以前は有効でしたが、ここ最近では「不人気物件」と捉えられかねないことから、定期的に更新をすることで正確な掲載日が分からなくなっています。
そこで、空室期間を公表している複数の会社の調査結果を用いて考えてみましょう。

まず、東急住宅リース株式会社が公表した、管理物件の空室期間です。空室期間を四半期別に分けて日数で公表しており、以下のようになっています。

  • (2016年)
  • 第3四半期:86.9日
  • 第4四半期:91.5日
  • (2017年)
  • 第1四半期:65.5日
  • 第2四半期:73.8日
  • 平均:79.425日(2ヶ月半程度)

出典:東急住宅リース株式会社「管理物件データの分析結果」
http://www.tokyu-housing-lease.co.jp/info/news/pdf/20171031.pdf#page=3

続いて、株式会社日本財託管理サービスの公表している調査結果です。こちらは、建物の築年数による空室期間を公表しています。

  • (東京都平均)
  • 1987年以前の物件:32.1日
  • 1991年頃の物件:29.7日
  • 1998年頃の物件:27.2日
  • 2005年頃の物件:25.5日
  • 平均:27.7日(1ヶ月未満)

出典:株式会社 日本財託管理サービス「ワンルームマンション賃貸実績レポート(2017年7月~9月)」
http://www.nihonzaitaku.co.jp/mt/201710/MansionReport201707-09.pdf#page=3

では最後に、株式会社タスによる空室期間の調査結果です。こちらは、自社管理などの物件の空室期間ではなく、住宅市場のレポートより作成されているものですので、実態に近いデータとして参考にすることができます。

  • 東京都全域:2.80ヶ月
  • 東京23区:2.78ヶ月
  • 東京都市部:2.89ヶ月
  • 神奈川県:3.85ヶ月
  • 埼玉県:3.29ヶ月
  • 千葉県:3.53ヶ月
  • 平均:3.19ヶ月

出典:株式会社タス「賃貸住宅市場レポート」
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol94_Vol66residential20171031.pdf#page=2

空室期間と収益の問題を天秤にかける

上記までの調査結果を見ていくと、最短でも1ヶ月、最長でも4ヶ月ほどとなっており、少なくとも3ヶ月以内に入居者が決まっていることが分かります。
しかしながら、3ヶ月という期間でどれだけの損失があるか考えてみましょう。もし家賃が7~8万円ほどの単身者向けの部屋だったとしたら、21~24万円の賃料を損しているということになります。つまり敷金分以上、言い換えれば退室後の1回の原状回復費以上の賃料をまるまる損しているということになります。
しかも、もしこの部屋が空室となるときにリフォームなどを行っていた場合、上記の損失にリフォーム費を上乗せして考える必要がありますので、更に損失額は大きくなることが予想されます。

よって、全国の空室期間の平均が3ヶ月だからと悠々と構えるのではなく、本来得られたはずの機会損失の額と、家賃を下げてでも入居してもらった時の減額分の損失などを天秤にかけ、今後の賃貸経営にどのような影響があるかはしっかり考える必要があると言えます。
入居希望者の家賃を下げるのであれば、更新時期に他の入居者からも家賃減額の交渉をされるかもしれませんし、逆に家賃を下げなくても自助努力により来月には入居者が決まるかもしれません。要は、入居者が決まる自信や根拠があるかないかで、値下げ交渉を受けるか否かというところを決めていくことが重要なのです。

まとめ

一般サイトをのぞいてみると、「空室期間の平均は3ヶ月」と言いつつ、まるでそこまでの期間なら許容範囲と伝えるものもあったりしますが、正確にはそれは間違いだと言えます。その期間における損失は考慮すべきですし、かといって安易に家賃交渉を了承してしまうと他の部屋の居住者との不公平感から別の賃料交渉が発生するかもしれません。
管理会社の客付け能力も検討項目としては重要ですが、次回の退去までにリフォームが必要だと判断するのであれば値下げも一旦立ち止まって考える必要があるかもしれません。家賃交渉もまた、一様に受ける受けないを決められるものではないということは覚えておいたほうが良いでしょう。

5/5 (1)

記事の平均評価

各種お問い合わせやご相談はこちら