退去予防が不動産投資のコツ!?賃貸ユーザーの引っ越し事情を知る | 不動産投資を考えるメディア

退去予防が不動産投資のコツ!?賃貸ユーザーの引っ越し事情を知る

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空き部屋イメージ

民法改正により敷金の扱いが明文化されたのは記憶に新しいところですが、それ以前から既に国土交通省によるガイドラインや敷金関連の訴訟も増加傾向であったため、近年の賃貸経営においては必要最低限の敷金や礼金しか得られなくなっています。物件広告も「礼金0!」「仲介手数料無料!」なんてキャンペーンを行う物件も当たり前のように目にするようにもなりましたが、これは敷金に関する考え方だけではなく、賃貸物件の増加や人口減少によって賃貸住宅全体が買い手市場に変わったという証左なのではないかと考えられます。
では、賃貸住宅市場が買い手市場なのだとしたら、不動産オーナーはどのような事を意識すべきなのでしょうか。

入居者が退去する意外な理由

供給過多になってしまった賃貸住宅市場では、耳にタコができるほど「空き家問題」という言葉が聞かれますが、そもそも何故、入居者は退去してしまうのでしょうか。
「退去理由なんてそれぞれ」「余計なお世話だ」と言われてしまえばそれまでですが、少し調べてみると意外な理由が見え隠れしてきます。
直近のデータとして面白いものに、「SUUMO引越し見積もり」で公表されている引っ越し理由のランキングがあります。
その中身を確認すると、なんと「前住んでいた物件に不満があったから」「前より良い条件の物件を見つけたから」という理由がダントツに多く、アンケート全体の約半数を占めていることが分かります。

参考:SUUMO(スーモ)引越し見積もり「なぜなぜ教えて? 引越しをした理由」
https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/qa/42.html

この調査は一都三県の男女400人のアンケートの結果ですので、地域性による違いはあるかもしれませんが、他の調査結果などを調べてみても、順位は変わったとしても物件への不満や良い物件への住み替えという理由が必ず登場してきます。

空室期間と契約更新の確率

そしてもう一つ興味深いデータがあります。それは、空室期間と契約更新の確率についてです。
「株式会社タス」の公表する「首都圏賃貸住宅指標」によると、一都三県の平均的な空室期間が最短で2.78ヶ月、最長で3.85ヶ月となっています。
また、株式会社タスでは契約の更新確率も調査しており、最も高い確率で更新されているのが埼玉県の37.52%、最も低いのが東京市部の26.76%という結果となっています。

入居者が退去する理由も意外なものでしたが、長期契約に至らない物件が多いのではないかと推測できる更新確率もまた、賃貸オーナーにとってはヒヤリとさせるものと言えるのではないでしょうか。
尚、同指標では中京、関西、福岡の調査結果も公表していますが、空室期間で最も長いのが静岡の7.52ヶ月、更新確率で最も低いのが大阪の22.34%となっており、更に各エリアの空室率の推移を見てみると、この2年ほどの間に、空室率が急激に上昇していることも見て取れます。

参考:株式会社タス「2017年8月期 首都圏賃貸住宅指標」
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol94_Vol66residential20171031.pdf

長期契約に繋げるアイディアと努力が必要な時代に!?

満室経営のオーナーにとっても上記までのようなデータは決して無下にできるものではなく、「空いたら募集すれば…」と考えるのではなく、「空き室は極力作らない」という視点で考えていくべきと言えます。国全体として認識されている空き室問題も、根本から解決させる政策が実行されているわけではなく、未だ手探り施策の段階であると言えますので、所謂「退去予防」が今後の不動産経営のコツになると言っても過言ではないかもしれません。
では、退去予防として有効な手段にはどのようなものがあるのでしょうか。考え得る限りでは以下のようなことが挙げられます。

「賃料や更新費をサービスする」

単純な収支で考えても、家賃7万円の部屋の空室期間が平均3カ月とするなら、空室が出るたびに21万円という機会損失が発生します。ならば、更新後の家賃1ヶ月分をタダにしたり、一定期間入居してくれている方は更新費をゼロにするといったサービスを行うことで、空き室による機会損失を最小限に抑えることができる可能性があります。
但し、特定の方の家賃を下げることは他入居者からの家賃交渉を誘発させる可能性も高めますので、これら家賃や更新費に関するサービスを行うのであれば、経営開始時からシッカリ検討して計画的に行う必要があるでしょう。

「入居者との信頼関係を大事にする」

入居者とのコミュニケーションといっても、頻繁に各戸に挨拶に回ろうという事ではありません。むしろ、大家さんが頻繁に様子を伺いに来ることを嫌がる入居者もいるでしょうから、そういった行為は控えるべきです。
とはいえ、入居者の隠れた不満や希望を把握、対処していくことは長期入居の為には重要なことだと言えます。
マーケティングの世界には「サイレントカスタマー(物言わぬ顧客)」という考え方がありますが、賃貸経営においても同じ考え方が通用するかもしれません。
ユーザーのニーズだけでなく、不平不満を把握することで「たったそれだけのこと!?」という退去理由を解消できる可能性もありますし、次回の入居者を長期契約に繋げるための大きなヒントになるかもしれません。
そういった潜在的な入居者のニーズや不満を掘り出そうと直接入居者のもとへ向かいたいところですが、管理会社に入居者目線での対応をしてもらうですとか、アンケートを配るといった方法をとるのがスマートかもしれません。
次第に入居者との距離が縮むことで要望や困ったことを直接話してくれる入居者も現れるかもしれませんし、そうなれば長期入居もある程度は成功したと言えるでしょう。

「更新ありがとうプレゼントを用意する」

更新を促すためのアイディアとしてよく語られるものに「プレゼントを用意する」といったものがあります。これが有効な手段となるかどうかは、まさにその中身とアイディア次第と言えるかもしれません。
例えば、賃貸ユーザーが物件を選ぶ時のポイントとして「設備」が必ず声として上がりますが、これをプレゼントとしてしまうという手段で長期契約を実現されている方もいらっしゃいます。
つまり、通常のインターフォンをモニター付きのものに変えるですとか、付帯設備として新しいエアコンやガスコンロを取り付けるというプレゼントをすれば、更新に繋がる可能性が高まるだけでなく、万一退去となったとしてもそのまま部屋の設備として使用できますので、入居募集のアピールポイントが増えるという事になります。

他にも色々なアイディアは生まれるかもしれませんが、「家賃を下げてもらえれば何もいらない」なんてビジネスライクな意見もあるかもしれません。
あくまで入居者目線で考えていくことが重要であり、家賃を毎月支払ってでも住んでいたいと思わせるものが何かという事を意識することがポイントと言えるかもしれません。

まとめ

一昔前であれば敷金について今ほどシビアではありませんでしたし、物件と借り手の需給バランスも売り手有利であったため退去を気にする賃貸オーナーはさほど多くなかったと言われています。つまり、入退去が多いほうが礼金や敷金による収入が見込めるという考え方が一般的でした。
しかしながら冒頭でも申し上げたとおり、買い手市場となった賃貸住宅市場や不動産投資において退去を食い止めたいと思うのなら、飲食店のように回転率を意識するのではなく、その逆の「回転率を下げる」ための工夫が必要であると言えるでしょう。

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