賃貸経営も消費税増税で負担増!?影響のあるランニングコスト一覧

20190319
消費税の増税前ということで、昨年の終わり頃にニュースや各ネットメディアでは消費税の話題で持ちきりになっていたのは記憶に新しいところではないでしょうか。

ここ最近は消費税の増税に関するニュースを目にする機会も減ったように思いますが、ふと考えてみると、そもそも賃貸経営に関わる消費税の増税について触れる記事は少なく、あったとしても「賃貸物件の家賃は消費税が非課税!」といったものばかりです。

確かに入居者の家賃自体に消費税はかかりませんが、不動産を運営するオーナーにとっては、消費税増税は収益を圧迫する可能性がある重要な問題です。

そこでこの記事では、賃貸経営を行う中で消費税増税により影響を受けるランニングコストについて、各費用がどの程度の負担増になるかを解説いたします。

賃貸経営で必要な費用と非課税になる費用

不動産投資の収益に関わる大事なことですので、本題に入る前にまず賃貸経営中にどんな費用が必要となるか整理してみましょう。

物件もアパートやマンション、一戸建てなど種類はありますが、ここでは賃貸経営の経費として挙げられる一般的な種類をご紹介します。

《賃貸経営中のランニングコスト》
  • ローンの事務手数料等
  • 管理委託費
  • 広告宣伝費
  • 修繕・クリーニング費
  • 水道光熱費
  • 外注費(税理士費用)
  • 交通費
  • 通信費
  • 接待交際費
  • 消耗品費
  • 新聞図書費
  • 租税公課
  • 減価償却費
  • 損害保険料
  • ローンの利息

正確にはもう少し細かく分けられますが、大まかなものでも実に15種類の費用があることが分かります。

なお、基本的に家賃収入に対する消費税は非課税ですので、たとえ家賃収入が1000万円を超えようが関係ないでしょう。

では、上記のランニングコストのうち、どれに対して消費税がかかるかを改めて整理しましょう。

《消費税のかかるランニングコスト》
  • ローンの事務手数料等
  • 管理委託費
  • 広告宣伝費
  • 修繕・クリーニング費
  • 水道光熱費
  • 外注費(税理士費用)
  • 交通費
  • 通信費
  • 接待交際費
  • 消耗品費
  • 新聞図書費

このように整理すると、主に挙げた15種類の費用の多くに消費税がかかることが分かります。

一般に「家賃は非課税」ということで賃貸経営と消費税を一刀両断するメディアが多い中、不動産投資家や賃貸オーナーにとって消費税の増税は由々しき問題なのです。

【負担増のコスト1】ローン関連費用

では、前章で挙げた消費税のかかるランニングコストについて、もう少し詳しくその内容を見てみましょう。

ランニングコストの中にローンの事務手数料等がありましたが、「ローン関連費用」といっても種類は様々です。

そこで一例として、賃貸経営中にローン関連でかかる可能性のある費用をご紹介します。

  • 全部繰り上げ返済手数料
  • 一部繰り上げ返済手数料
  • 金利種類の変更手数料
  • その他借入条件変更手数料

なお、ローンの支払いが遅れた際の遅延損害金は利息と同じ扱いとなり、消費税法により非課税となっています。

上記の各手数料は銀行により「一律5000円」や「借入金額の○%」と様々ですが、いずれにしても消費税が10%になることで、数千円以上の負担増になることは覚悟しておいた方が良いでしょう。

【負担増のコスト2】管理委託費

「管理委託費」の相場は、家賃の3~8%です。

一般的に5%が基準として例に挙げられることが多い中、サブリースなどの一括借上方式となると10%を超えることも珍しくありません。

では、仮に管理委託費用を家賃の8%と少し多めに見積もって、6戸のアパートで家賃7万円とした場合、消費税の増税でどのくらいの負担増になるかシミュレーションしてみましょう。

《消費税8%》
(6戸 × 7万円) × 8% = 33,600円
《消費税10%》
(6戸 × 7万円) × 10% = 42,000円

消費税が2%増税するだけで、月に8400円も負担が増える計算となりました。年間にすると実に10万円以上のコスト増になります。

【負担増のコスト3】広告宣伝費

「広告宣伝費」とは、空室時に管理会社や不動産会社に入居募集を依頼する際の費用です。通称「AD」と呼ばれることもあります。

相場は「家賃の1ヶ月」ですが、不動産会社によっては入居者から得る仲介手数料を折半する形で「0.5ヶ月」としている場合もあります。

では、仮に家賃7万円の部屋を入居募集するにあたって、広告宣伝費を相場の1ヶ月分とした時に消費税増税による負担がどのくらい増えるか計算してみましょう。

《消費税8%》
7万円 × 8% = 5,600円
《消費税10%》
7万円 × 10% = 7,000円

負担増は1400円となりましたが、空室が発生する度にかかる費用ですので、決して少ない額とは言えません。

【負担増のコスト4】修繕・クリーニング費

「修繕・クリーニング費」も賃貸経営では必ずかかる費用ですが、こちらも施工業者や修繕箇所、施工内容等によってピンキリですので、概算を出すのも難しいところです。

そこで仮に、家賃7万円の物件で修繕やクリーニング費用を敷金2ヶ月分で賄えるとした場合、消費税の差がどの程度になるか計算してみましょう。

《消費税8%》
14万円 × 8% = 11,200円
《消費税10%》
14万円 × 10% = 14,000円

消費税の増税で2800円の負担増となりました。
修繕費は空室発生時だけでなく入居中にも発生する可能性がありますし、アパートの場合、室内だけでなく室外の設備や清掃費用もかかります。

消費税増税により負担が増える費用として、この修繕費やクリーニング費を抑える対策は考えておいた方が良いでしょう。

【負担増のコスト5】電気・ガス・水道

「電気・ガス・水道」などの光熱費もまた、その建物の規模やグレードにより異なります。

一般的な不動産投資コラムでは「アパート1棟あたり年間10~20万円前後」とか、「1戸あたりで換算して年間数千円~1万円」としているケースをよく見かけますが、その根拠となるデータなどは見当たりません。

とはいえ、大幅にズレた相場とも言えないため、ここでは単身者用6戸のアパートで年間6万円の光熱費がかかると仮定して考えてみたいと思います。

《消費税8%》
6万円 × 8% = 4,800円
《消費税10%》
6万円 × 10% = 6,000円

年間で1200円の負担増ということになりました。
この試算だけ見ると大した負担ではないように感じます。

しかし、ここまでに解説した負担増になるランニングコストの消費税額を合計してみると、その金額は年間で10万円を優に超えます。

この事実だけでも不動産オーナーをテンションダウンさせるには十分な内容ですが、実は消費税増税によって増えるコストにまだ大きな物が一つ残っています。

【負担増のコスト6】税理士費用

もし毎年の確定申告を税理士に一任していた場合、その手数料も消費税増税により負担が大きくなる費用の一つです。

税理士ドットコムでは税理士費用の相場を掲載していますが、個人事業主の場合、月間顧問料の4~6ヶ月分が決算料の目安となっています。

■税理士ドットコム「顧問税理士の報酬相場」
https://www.zeiri4.com/c_1/c_1027/

上記ページの表を参考に、仮に月額顧問料を2万円、記帳代行も依頼して5000円をプラスされるとした場合、決算時に10~15万円が税理士費用ということになります。

多めに見積もって税理士費用を15万円として消費税増税による負担を計算してみましょう。

《消費税8%》
15万円 × 8% = 12,000円
《消費税10%》
15万円 × 10% = 15,000円

結果は3000円の負担増となりました。
多めに見積もったとはいえ、いざという時の税務相談や不動産事業の規模により費用額は増えるため、あくまで最低限必要な負担と考えていただいた方が良いでしょう。

【負担増のコスト7】その他雑費等

さて、最後となるのが「その他雑費」です。
これこそ何にどのくらい費用がかかるか全く検討がつかないものですが、経費計上できる費用として以下のものがよく挙げられます。

  • 交通費
  • 通信費
  • 接待交際費
  • 消耗品費
  • 新聞図書費

例えば通信費であれば、賃貸経営用に契約したプロバイダで月額5000円を支払っていたら、消費税は400円から500円に増えます。年間で1200円の負担増です。

また、賃貸経営のために不動産や経済情報を得るという名目で新聞を月額4000円で定期購読していたら、月に320円だった消費税が400円に増え、年間で1000円弱の負担増ということになります。

ここまで様々なランニングコストについて消費税増税による影響を考えてみましたが、管理委託費が最も負担が大きくなることが分かりました。

他の費用についても月額もしくは1回あたりの負担は少ないとしても、年換算や複数回の支払いが必要なケースが発生すれば決して軽視できない金額となります。

既に不動産投資や賃貸経営を行っているオーナーも「家賃は非課税だから」と安易に考えず、今一度、賃貸経営でどんな費用がかかっているのか、そして今年10月の消費税増税で実際にどのくらい負担が増えるのか、これを機に見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

現代のメディアの欠点かもしれませんが、表面的な情報は拡散されやすく、法や税務に関する重要な部分はなかなか拡散されないのが実情です。

事実、今回の消費税の話題に関しても、多くの記事で「家賃は非課税」と解説するに留まり、オーナー負担については詳しく触れられていません。

不動産オーナーにとって、たった数%の費用をどう削減するか、逆に数%のキャッシュフローをどう確保するかが成功と失敗を分ける要因になったり、場合によって賃貸経営における死活問題となることすらあります。

消費税だけに限りませんが、今後も税制改正等があった場合は、自身の運営する不動産にどう影響しそうなのかは必ずチェックしたほうが良いでしょう。

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