2019年10月に迫る「消費税増税10%」。不動産投資への影響は? | 不動産投資を考えるメディア

2019年10月に迫る「消費税増税10%」。不動産投資への影響は?

シェアする

消費税10%

2018年初めの衆院予算委員会で、はっきりと「消費税増税への状況を作っていきたい。」と述べた安倍首相。需要変動対策の検討にも本格的に乗り出しており、2018年8月現時点では、2019年10月に消費税が10%になる方向へと進んでいます。では、消費税が10%になれば、不動産投資にはどのような影響があるのでしょうか。

増税で賃貸経営はキャッシュフローが悪くなる

e289546f-0995-4e55-98b7-d440189e6dcb

家賃に消費税が上乗せできない

消費税が10%になることで不動産投資に大きく影響が出てくるのが、家賃収入と経費の問題です。現在の税法では「地代(駐車場除く)、家賃(事務所除く)、賃貸契約による保証金・敷金・更新料」には消費税を課税することができません。

では消費税増税分を家賃の値上げとして反映できるかというと、それも現実的ではありません。空き室を埋めるために、家賃が数か月無料になるフリーレントや敷金・礼金0円といった大家泣かせの賃料システムが常態化している現在、家賃を値上げに踏み切るのは実質的には不可能と言えるでしょう。

経費にはしっかり消費税が課税される

家賃を上げることができないにも関わらず、リフォーム費用や管理費、水道光熱費などの諸経費にはしっかりと10%の消費税がかかってきます。

例えば、5万円が毎月の経費だった場合、
消費税8%の時は、5万円×1.08=5万4,000円
消費税10%の時は、5万円×1.10=5万5,000円
差額1,000円

これは実質的に家賃を1,000円値下げしたような状況とも言えます。もし、30部屋あるとしたら、毎月3万円経費が増えることになります。家賃収入が変わらないのに経費が増えるので、キャッシュフローが悪化するのは確実です。

物件によっては空き家リスクが高まる

b97ac355-13b5-4dc4-b857-be7704d9b766

上記グラフは、みずほ総合研究所が2013年に消費税率引き上げに伴う家計負担を年収別に試算したものです。消費税がアップすると年収が高い人ほど影響を受けると思われがちですが、データから年収300万円以下の低所得者ほど税負担率が高いことがわかります。

消費税アップにより家計が苦しくなった場合、まず毎月の固定費の削減を検討する場合が多いと思います。一番大きいのは家賃。増税により低所得者階層がより家賃の安いアパートや公営住宅等に引っ越していく可能性も十分考えられます。低所得者の入居が多い賃貸物件では、増税後の空き室リスクも頭に入れておく必要があるでしょう。

■出典:消費税率引き上げに伴う家計負担 みずほ総合研究所
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp131003.pdf

増税前の駆け込み需要でライバル物件が増える可能性も

売買による土地取引件数の推移

■出典:2017不動産業統計集 公益財団法人不動産流通推進センター
https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/201803/201803_3ryutsu.pdf

消費税増税前の駆け込み需要

不動産売買では高額の取引になるため、わずか2%の増税でも価格に大きく影響を与えます。

例えば、5,000万円のマンションの場合、
税率8%の時は、5,000万円×1.08=5,400万円
税率10%の時は、5,000万円×1.10=5,500万円
差額100万円!

同じマンションでも消費税2%の違いで売買代金が100万円違ってきますので、駆け込み需要が増えるのも当然と言えるでしょう。上記グラフの土地取引件数の推移を見ても、5%→8%の増税直前にそれぞれ取引が一時的に活発化していることがわかります。前回の8%の増税直前の2013年は、戸建て住宅以外にも新築一棟マンションの駆け込み需要も過熱しました。

今回の10%の増税では、前回2014年よりも税率の引き上げこそ少ないですが、日銀のマイナス金利政策という追い風が吹いています。増税による駆け込み需要で、投資物件エリア内に同じような物件が建つ可能性も十分に考えられます。

物件は増えるが、人口は減少する

e82858f4-4eca-4fb6-8cc9-94297c8fc267

■出典:「日本の将来推計人口(平成29年7月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

増税前の需要でライバル物件は増えますが、今後の日本は少子高齢化により総人口は減少していきます。人口は更に都市部へと集中し、牌の奪い合いとなって空き室リスクは必然的に高まるでしょう。消費税アップによる賃貸経営の経費負担増加を何とか辛抱できる大家さんでも、保有物件に空き室が増えることは致命的なダメージとなりかねません。

市場は以前と同じ動きをするとは限らない

過去の消費税増税直後は、増税前の需要増の反動で一時的に不動産取引件数も減少しましたが、その翌年には上昇に転じています。以前よりも人口減がより深刻な問題となっている今、増税後に同じような動きをするとは限りません。増税による家計の圧迫・消費マインドの落ち込み、そして日本の少子高齢化は不動産投資にもボディブローのようにじわじわ効いてくるでしょう。

また、東京オリンピック開催決定後の2013年頃、都内のマンションがキャピタルゲイン狙いの海外投資家によって大量購入されたことが話題になりましたが、売り抜けると予想される時期が2019年と言われています。増税と売り抜けるタイミングが重なれば、不動産価格の値崩れを引き起こす可能性も高くなります。今回の消費税の増税により、不動産バブルが終焉になることを指摘する声もあります。

不動産投資を検討している人にとっては数年後にチャンス到来?

ここまでは増税は先行きが暗い影響ばかりではないかと思われそうですが、不動産投資に向けて資金を着々と貯めている人にとっては、むしろ数年後にチャンスが訪れる可能性もあります。無理な資金計画で賃貸経営を行っていた人は消費税増税や不動産価格の値崩れにより、退場を余儀なくされるケースもあると思います。となれば、数年後には良質な物件が低価格で市場に出回る可能性も高くなるでしょう。

これから不動産投資を検討している人は、数年後に向けて資金を十分貯めておくことが賢明だといえます。すでに賃貸経営を行っている人は、増税後の経費負担増と空き室リスクに備え、家賃収入をしっかりプールしておくことが大切なのではないでしょうか。

記事の平均評価

各種お問い合わせやご相談はこちら