損してるかも固定資産税!公図と現況のズレとは? | 不動産投資を考えるメディア

損してるかも固定資産税!公図と現況のズレとは?

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不動産登記簿権利情報(登記済証)

土地を所有されている方や土地購入を検討されている方にとって、その土地の面積を調べることは恐らく造作もないことでしょう。
確認方法は人それぞれかと思いますが、紹介された物件図面や売買契約書だけでなく、重要事項説明書や登記簿謄本、地積測量図、公図など、本当に様々な書類から土地の面積を知ることができます。

ただ、これらの書類に明記された土地面積は、一体何の根拠をもって記載されているのでしょうか。
土地面積は固定資産税を決める重要なファクターだと考えると、土地面積の根拠を知りたいという気持ちも強くなってきますが、実は、固定資産税を決める際の土地面積の根拠を調べていくと少々意外な事実が分かってくるのです。

そこで今回は、公図と地籍に隠された固定資産税額に関わるズレについて解説させていただきます。

固定資産税の土地面積は登記簿が基になっている

土地の固定資産税額を決める際、自治体ではどのような基準や計算方法で納税額を決定しているのでしょうか。
納税額の算出方法でよく知られているのは「課税標準額×1.4%」という計算式です。
土地の課税標準額は、田や畑、宅地、山林、雑種地といった地目により評価方法が違う上に、専門的な知識と計算方法が必要となるため、毎年送られてくる課税明細書や自治体に備えられた固定資産課税台帳で確認するというのが一般的です。

とはいえ、せめて課税標準額が算出される際の地目や土地面積に相違が無いかくらいは確認したいところですが、実は固定資産税額を決定する土地面積は、地方税法により告示されている固定資産評価基準にて「評価額を求める際は、原則として登記簿の地積によるものとする」と決められているため、基本的には登記簿謄本に記載された土地の面積がそのまま固定資産税額の決定に使われているのです。

そうすると今度は登記簿に記載される土地面積、つまり地積がどのような根拠で記載されるのかという疑問が湧いてきますが、登記簿に記載されている地積は「公図」が基になっています。
この公図ですが、実は固定資産税の決定において由々しき事態を起こすかもしれない可能性を孕んでいるのです。

公図は不正確なものが存在する

法務局で取得できる公図の写しですが、主な用途として地番を調べたり地積を調べたりすることに使用しますが、記載された形や地籍が正確ではないことが多いという事を知る人は、そう多くはありません。
当然、不動産業者や不動産鑑定士、測量士、税理士といった専門家にとってはよく知られた事実ですが、一般の方にとっての公図は、公的書類として絶対的なものと考える方も多く、まさか記載された情報がアバウトなものだとは思ってもみないでしょう。

では何故、公的機関で取り扱われている公図がアバウトだと言われているのでしょうか。
もちろん、正確な地積や地型で記載された公図もありますが、不正確な公図が存在する理由を追求すると明治時代にまで遡ることになります。

日本の土地の所有権や固定資産税といった制度が確立していなかった明治時代、当時の政府は土地の所有者や土地面積を正確に把握するため「地租改正」として全国の土地の測量を行いました。
しかし、その頃の測量技術はまだまだ未熟であり、実際の土地面積とのズレや不一致が生じることとなりました。
現代に残る公図は、この頃に作成された「土地台帳附属地図」を基にしている物も多く、現代の技術で地積測量を行ってみた結果、公図と10mものズレがあったという事も珍しいことではないのです。

ここで気付くことが一つあります。
固定資産税額が決まる登記簿は公図が基になっている。そしてその公図は、明治時代に作成された地図を基にして作成されていることがある。更に明治時代に作成された地図は現況と大きくズレている可能性もある。
つまり、現況よりも広い面積で登記されている土地を所有している場合、固定資産税の納税において、大きく損をしている可能性があるのです。

公図と地籍のズレを確認する方法

日頃から節税対策を心がけている不動産投資家にとって、固定資産税が高く見積もられているとなれば由々しき問題だと考える方も多いことでしょう。
自分が固定資産税を多く払いすぎていないかを確認するためには、まず実際に公図と地籍、実測を確認する必要があります。

まず、公図と現況のズレを確認するためには国土交通省が公開する「公図と現況のずれ公表システム」を利用すると、地図上で簡易的に確認することができます。
地図をある程度拡大していくと、右側にある「表示項目選択」から「公図と現況のずれ」にチェックを入れることができ、地図に以下のような基準で色分けがされます。

精度の高い地域 ズレが10cm未満
小さなズレのある地域 ズレが10cm以上30cm未満
ズレのある地域 ズレが30cm以上1m未満
大きなズレのある地域 ズレが1m以上10m未満
極めて大きなズレのある地域 ズレが10m以上

参考:国土交通省 地籍調査Webサイト「公図と現況のずれ公表システム」
http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/

もし、公図と現況のズレ公表システムでズレがあると判断できた場合は、今度は実際の公図を取得してみましょう。
公図には、その地図の分類や種類が書かれており、分類部分に「法第14条1項」と書かれていた場合はシッカリ地籍調査が行われたものですので、ある程度安心して良いでしょう。
しかし、もし分類部分に「地図に準ずる図面」と記載されていて、尚且つ種類の欄に「旧土地台帳附属地図」と書かれていた場合は注意が必要です。
この「地図に準ずる図面」「旧土地台帳附属地図」というのが先ほどご説明させていただいた明治時代に作成された公図を参考にした地図であるということを指すため、現況とはズレている可能性があります。

公図と現況のズレを修正する方法

もし、公図と現況にズレがあった場合で、現況よりも地籍や公図の土地面積が広かった場合、当然それは固定資産税額に影響を及ぼすことになります。
仮に、公図と現況のズレによる影響がどのようになるかを簡易的に計算してみると、以下のようになります。

(公図、登記簿による課税標準額)
土地面積140㎡(=平米単価14万円)、課税標準額2000万円の場合: 2000万円 × 1.4% = 固定資産税28万円
(現況、実測による課税標準額)
土地面積130㎡(=平米単価14万円)、課税標準額1820万円の場合: 1820万円 × 1.4% = 固定資産税25万円

非常に簡易的な計算ではありますが、10㎡(3坪)のズレがあるだけで3万円の差が出ます。もし、郊外にもっと広い土地を購入したとなれば、納税額の差はもっと大きくなるでしょう。
ただ、このような公図と現況のズレが判明したとしても、それを修正することはそう簡単なことではありません。

まず、公図と現況がズレていると証明するためには、実際の地積測量を行わなければなりません。
この地積測量の費用ですが、個人の地積測量について国や自治体が負担してくれるという事もありませんので、基本的には自費での調査が必要となります。更に、地籍を調べていく中で、もし隣人の土地との境界線の問題が発生した場合は、裁判に発展する可能性も出てきます。
つまり、公図と現況のズレについて、制度が整っているとは言い難い現状があるのです。

とはいえ、国もこういった事実を完全に放置しているわけではなく、少なくとも隣人との境界線問題をスムーズに解決できるように「筆界特定制度」を設けています。
筆界特定制度とは、わざわざ裁判することなく土地の所有者の申請があれば、筆界特定登記官が筆界調査委員の意見などを聞きつつ土地の境界を特定する制度であり、測量まで必要ないと判断された場合は数千円程度の手数料のみで境界の特定やズレの修正が行える可能性があります。

参考:法務省「筆界特定制度」
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html

先ほど申し上げましたとおり、公図と現況のズレを簡単に修正できるような制度はまだ整っていませんので、筆界特定制度というものがあるのだという事を頭に入れつつ、もし公図と現況のズレについて相談すべきことがあった場合は、管轄の法務局等に相談してみるのがベストです。

まとめ

今回は、あまり一般の方には知られていない公図と現況のズレについて、それによる固定資産税への影響について解説させていただきました。
区分所有の物件をお持ちの方ですと、このような事例についてはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、マンションも土地の持分というものがありますので全く無関係という事もありません。
かといって、常日頃から危機感を持っておく必要があるという性質のものでもありませんが、昭和26年から始まった日本の地籍調査は、平成28年度時点で進捗率は52%だとされていますので、ようやく半分終わったといったところです。
いずれ自分の土地を所有するかもしれないと考えると、日本の土地の制度にはこういった事実があるのだということを頭の片隅に入れておくだけでも購入する物件の見方が変わってくるかもしれません。

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