こんな時どうする!?ケース別、減価償却費の計算方法 | 不動産投資を考えるメディア

こんな時どうする!?ケース別、減価償却費の計算方法

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計算のイメージ

年が明けてから本格的に確定申告の準備を始められる方もいらっしゃれば、逆に「もう帳簿は揃ってるから余裕!」なんて方もいらっしゃるかもしれません。
毎年この時期、個人事業主の大家さん向けの話題や税制改正の話題が非常に多くなりますが、確定申告の基礎となる部分は毎年解説されていても、実は重要な「減価償却」について解説されているものはそう多くはありません。
そこで、「知らなかった!」なんて事で損をしないように、所有している不動産による減価償却費の計算の違いを解説させていただきたいと思います。

減価償却のキホンをおさらい

最初に、既にご存知の方も多いかと思いますので、減価償却についてのおさらいを簡単にさせていただきます。
減価償却は所謂「劣化を経費と見なして計上するもの」です。つまり、年々その建物は劣化して価値が下がっていくわけですので、それを一定割合で経費として計上するのです。実際に金銭的負担がないのに経費計上できることから「魔法の経費」なんて言われることもあります。
この減価償却費の計算方法ですが、以下をご覧いただくとお分かりいただけるように、基本の部分はさほど難しいものではありません。

建物の購入価格 × 減価償却率 = 減価償却費

たったこれだけです。ではなぜ、わざわざ解説が必要なのかというと、この「減価償却率」の考え方が、状況によって複雑になる場合があるためです。

減価償却費の計算で必要になるもの

早速、計算方法の解説をさせていただきたいところですが、その前に、計算をするのに必要となる材料、つまり計算式の項となるものを揃えなければいけません。先ほどの計算例で簡単に算出できそうなのですが、減価償却率を割り出すのにいくつかのステップが必要なのです。
減価償却費を計算するのに必要になるのは以下となります。

  • 不動産の購入代金(建物部分のみ)
  • 事業用(賃貸物件)か非事業用(自宅)のどちらであるか
  • 不動産の耐用年数
  • 経過年数(中古の場合)
  • 耐用年数以内であるか、耐用年数を経過しているか

不動産の購入代金ですが、土地は劣化していくものではないため減価償却できません。つまり、建物の価格を確認することから始まります。その後、対象となる不動産が賃貸物件か自宅であるかで分けます。これは、建物が自宅である場合、事業用物件の耐用年数の1.5倍で計算しなければいけないためです。
そして、耐用年数を国税庁等のHPで確認し、最後に所有物件の新築からの経過年数と、それが耐用年数以内か耐用年数を超えているかを確認します。
ここまでの材料が揃えられたのであれば、この後の計算は楽になります。では早速、ケース別の減価償却費の計算例を見ていきましょう。

所有物件が中古物件の場合~法定耐用年数以内~

まずは中古の不動産を購入して賃貸していた場合の計算例を見てみましょう。既にご説明させていただいたとおり、マンションの場合は売買価格を土地と建物で分ける必要があり、更に耐用年数以内かどうかにより計算方法が分かれます。
耐用年数以内であれば以下のようになります。

( 法定耐用年数※1 - 築年数 ) + ( 築年数 ※2 × 20% )※3 = 耐用年数

※1 国税庁「耐用年数(建物・建物附属設備)」
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php
※2 1年未満の部分は切り上げ
※3 端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年

ここで算出された耐用年数を、国税庁のHPで確認できる償却率表と照らし合わせて償却率を確認し、以下の計算に当てはめます。

不動産価格 × 償却率 = 減価償却費

参考:国税庁「減価償却資産の償却率表」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070914/pdf/06.pdf

いかがでしょうか。最初に計算をするための材料を揃えていたので、非常に簡単に計算することができました。
では、築10年である鉄筋コンクリートのマンションを2000万円で購入したとして実際の計算をしてみましょう。

( 法定耐用年数47年 - 築10年 ) + ( 築年数10年 × 20% ) = 耐用年数39年

マンション価格2000万円 × 償却率0.026 = 減価償却費52万円

所有物件が中古不動産~法定耐用年数を超えた場合~

先に小難しい計算をこなしてしまえば、法定耐用年数を超えた不動産の減価償却率については非常に楽に理解できるでしょう。
結論から申し上げると、計算式は以下のようになります。

( 法定耐用年数 × 20% ) = 耐用年数

つまり、上記のマンションが築50年で法定耐用年数を経過していたとするなら、以下のようになります。

( 法定耐用年数47年 × 20% ) = 耐用年数9年

マンション価格2000万円 × 償却率0.112 = 減価償却費224万円

先ほどと違って、減価償却費がグッと上がりましたので何だか得した気分になるかもしれませんが、減価償却ができる期間(耐用年数)が終われば、最終的に購入金額とほぼ同じ償却費になりますので結果は同じです。
また、「年度の途中で購入した場合はどうなるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合は月割りで計算をします。要は、8月に購入したのであれば「224万円×償却率×(使用月数÷12ヶ月)」という計算をする必要があります。

自宅を途中で賃貸した場合

ここまでくると、さすがに減価償却マスターになったような気分になってくるかもしれません。
例えば、「今年建てた新築木造アパートの減価償却費は?」と聞かれたとしても、すぐに以下のような計算ができるはずです。

不動産価格 × 償却率 × ( 使用月数 ÷ 12ヶ月 ) = 減価償却費

このように、新築であれば非常に簡単ですが、仮に自宅として使用していた不動産を途中で賃貸した場合はどのように計算すべきなのでしょうか。この場合は、改めて細かな計算が必要となる可能性があります。
これは、平成19年4月1日以前に取得した物件については旧定額法による残存価格や未償却残額の計算が必要になるためです。更に先述のとおり、自宅と事業用では耐用年数の考え方も違います。

ではここで、国税庁で紹介している「平成18年6月取得、木造戸建て1000万円、平成29年4月に賃貸への転用」というケースを用いて、具体的な計算方法を見てみましょう。
賃貸に転用した平成29年度分の減価償却費を求めるというだけであれば、旧定額法を用いて月割りでの計算を行います。

  • (1)1000万円 × 90% = 900万円
  • (2)900万円 × 0.046(旧定額法の償却率) = 41万4千円
  • (3)41万4千円 × (9ヶ月 ÷ 12ヶ月) = 31万500円

詳しい説明は省略しますが、途中で登場した「90%」というのは旧定額法による決まりです。取得価格の90%の価格に償却率をかけ、月割りでの計算を行えば平成29年度分の減価償却費が求められます。
ただ、自宅を賃貸に転用したとすると、業務用とそうでない場合の耐用年数の違いがあるため、残りの減価償却費がどのようになるのか疑問になります。

まず、自宅として使用していたのは「平成18年6月から平成29年4月」ですので、10年9ヶ月という期間になりますが、9ヶ月という部分は切り上げられるように決められているため「11年」が自宅として使用していた期間となります。
続いて、その期間の減価償却資産額、つまり既に減価償却された金額を求めますが、業務用の物件ではないため耐用年数は通常の1.5倍として計算することも決められています。

22年(木造耐用年数) × 1.5 = 33年

この33年を旧定額法に照らし合わせると「0.031」が償却率となりますので、自宅として使用していた間に減価償却されたと考えられる金額は以下の計算となります。(自宅として使用している間は減価償却費として計上できません。あくまで、事業主である場合に減価償却費の計上が可能です。)

{(1000万円 × 90%) × 0.031} × 11年 = 306万9千円

つまり、1000万円から306万9千円を引いた、残り693万1千円を今後の賃貸経営の中で減価償却費として計上していくことになります。

まとめ

減価償却費の計算については、先述のとおり税法の改正があったため自宅から賃貸へ転用する場合は知識が必要となります。
よって、計算で困った際にはあまり無理せずに税理士等の専門家に相談するのがベストですが、今後、自宅を賃貸へ転用する際の予めのシミュレーションをするには、是非覚えておきたいところです。また、今後の物件の新規購入の際にも、上記までのような知識があるかないかでは、キャッシュフロー計算には差が出てくることを考えると、知っておいて損はないものだと言えるでしょう。

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