400万以上得する中古住宅インスペクション。知る人は少ない4つの減税措置とは? | 不動産投資を考えるメディア

400万以上得する中古住宅インスペクション。知る人は少ない4つの減税措置とは?

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住宅診断

2018年4月に施行されたホームインスペクション(住宅診断)に関する改正宅建業法。新築よりも中古住宅をもっと活用していこうという目的の下に創設されたものですが、新設されたのは以下の2つの義務です。

  • 住宅のインスペクションを行ったか否か、行ったのであればその結果を重要事項説明時に必ず説明する
  • 媒介契約前にインスペクション業者を斡旋できるかどうかを示す

義務化にもかかわらずなかなか浸透しないホームインスペクション。メリットがないかと言うとそうではなく、実は中古住宅購入時にインスペクションを行うことには金銭的に大きなメリットが生まれるかもしれないのですが、それを詳しく知る人はそう多くはありません。この記事ではホームインスペクションでどんなメリットがあるのか解説させていただきます。

宅建業法改正もホームインスペクションが広まらない理由

ホームインスペクションに関連する宅建業法の改正ですが、まず以下の興味深い記事についてご紹介させていただきます。

■NIKKEI STYLE 中古住宅の「診断」浸透せず 改正法施行4カ月
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO33676430R00C18A8000000

注目すべきは1ページ目のホームインスペクションの実施割合です。記事内では東京都内の中古マンションで0.3%ほど、中古戸建で0.7%としており、インスペクションの実施割合が非常に低いものとなっています。そして理由を以下のように述べています。

  • 売主側がインスペクションを必要としていない(今まで問題なく住めていた為)
  • インスペクションをするかどうかは不動産業者の儲け(仲介手数料)に関係ないため重視されていない
  • むしろ不動産業者はインスペクションによる瑕疵発覚で売却の媒介契約を取り損ねることを避けようとする

つまり、売主と売主側の仲介業者がインスペクションに対して積極的ではない為、業界内での広まりが無いということです。かといって買主側でインスペクションを行えばよいという訳でもありません。インスペクションには最低でも10万円前後の費用が掛かるため、買うかどうかも分からないものにそんなお金を出す訳がないのです。

中古住宅をホームインスペクション込みで購入するメリット

新築住宅を購入した会社員の方であれば、確定申告の際に住宅ローン控除を申請して節税の恩恵を受けた記憶のある方は多いでしょう。実は中古住宅であってもインスペクションを行ってリフォーム・修繕を行うことで、住宅ローン減税を含めた様々な減税措置により大きく得をする可能性があります。主に以下のような減税効果があります。

  • 住宅ローン減税の幅が広がる
  • すまい給付金がもらえる
  • 不動産取得税が減る
  • 登録免許税が減る

上記の減税措置を受けるためにリフォームを行う必要が出てくることも十分に考えられますが、結果的に安くて質の良い住宅を手に入れられることになります。例えば、インスペクションなどで瑕疵が発覚したとしましょう。「瑕疵があるから」と購入を諦めるのではなく、それを修繕するための費用分を値下げ交渉し、もし安く購入できることになったら瑕疵部分の修繕と併せて住宅性能を上げるリフォームを行います。結果として、減税措置を存分に享受できると同時に値下げした分でリフォームできてしまいますので、高品質の建物を安く手に入れられることになるのです。筆者の感覚値ではリフォームや修繕が必要となった場合、200~300万円ほどの値下げであれば承諾してくれる売主は比較的多くいます。

ホームインスペクションにより受けられる4つの減税措置

ここでご紹介させていただく減税措置ですが、国がホームインスペクションにより中古住宅の活用を図ろうとしているという背景もあることから、仮に「築20年以上、固定資産税評価額2000万円の一戸建て(土地40坪、建物90㎡)をフルローンで購入した場合」という仮定で簡単なシミュレーションしてみたいと思います。

住宅ローン減税

新築住宅ですと当然のように活用できる「住宅ローン減税」ですが、中古住宅の場合はいくつかの要件を満たさなければなりません。逆に言えば、安く購入した中古住宅でも条件さえ揃えば最大で400万円もの節税が可能ですので、結果的に新築の比ではないほど住宅取得費用が安くできる可能性もあります。では、実際の主な要件と減税額を見てみましょう。

≪適用要件≫
1.建築後使用されたものである
2.以下のいずれかに住宅取得前の2年以内に該当している
・耐震基準適合証明書により耐震基準に適合していると判断できる
・既存住宅性能評価書で耐震等級1以上と判断できる
・既存住宅売買瑕疵保険に加入している
3.延べ床面積が50㎡以上である
4.当該住宅ローンの借入期間が10年以上である
5.年収3000万円以下である
≪減税額≫
年13万円前後、10年で130万円の節税(シミュレーション物件を売買価格とした場合)
※住宅取得価格、またはローン残高の少ない方の額の1%を所得税から10年間控除(最大400万円)。所得税から控除しきれなければ住民税からも控除される。

なお、耐震検査は10万円ほど耐震リフォームは100~150万円程度の費用がかかりますので、注意点として忘れてはならないのが、耐震基準適合証明書や住宅性能評価書、瑕疵保険をいつ取得するかです。「住宅の取得前に」というのが基本ですから、売買契約をする前に「いつまでに何を揃えれば良いか」を検査機関や税務署等でしっかり確認しておく必要があります。せっかくリフォームや検査を行っても、住宅ローン控除が受けられなければ住宅性能を上げたという事以外のメリットが全くなくなりますので注意しましょう。

すまい給付金

ご存知の方も多い「すまい給付金」ですが、新築物件の場合は住宅性能の検査が行われますので、着工前に申込さえすればほとんどの場合で受け取ることができます。中古住宅の場合はそうはいかず、以下のような要件を満たさなければいけません。

≪適用要件≫
1.売主が宅地建物取引業者である
2.延べ床面積が50㎡以上である
3.売買時に以下のいずれかに該当している
・既存住宅売買瑕疵保険への加入
・既存住宅性能表示制度を利用した住宅
・住宅瑕疵担保責任保険に加入、または建設住宅性能表示を利用している築10年以内の住宅
≪給付額≫
最大30万円(消費税8%、かつ年収400万円の妻、子1人という一般的な家庭の場合でシミュレーションした場合)

厄介なのは「売主が宅地建物取引業者であること」という部分かと思います。この条件があるおかげで中古住宅の売買価格の値下げ分で任意のリフォームをするという旨みが無くなってしまいます。中古住宅の売主は個人であることが多いため、所謂「買取再販」という形の物件でしか給付を受けることができず、かといってリフォーム前の物件を売っている業者も多くありませんから、既存の売り物件の中から他の条件を満たした物件を探していくほかありません。とはいえ、インスペクションやリフォームを行った中古住宅で、かつ上記までの全条件を満たす物件も少なくありませんので、「すまい給付金を受け取りたい」という旨を買取再販会社にしっかり伝えた上で物件を探していけば、希望の物件が見つかる可能性は十分にあります。

不動産取得税

不動産取得税にも減税措置がありますが、マイホームを購入後にこの軽減制度を利用している人はこれを知っている人もあまり多くないように見受けられます。不動産取得税は基本的に「土地3%」「建物3%」となりますが、これは売買価格ではなく「固定資産税評価額」により算出されます。不動産取得税の軽減措置の要件は都道府県により違いがありますが、東京都の場合は以下のようになっています。

≪適用要件≫
1.自己の居住用である
2.延べ床面積が50~240㎡である
3.昭和57年1月1日以後に新築されたもの
4.3に適合しない場合は、住宅取得後6か月以内に以下を満たしている
・取得した住宅の耐震改修工事を行う
・耐震改修工事後の住宅が耐震基準に適合する証明がされている
・耐震改修工事後の住宅に取得者が居住する
≪減税額≫
1.建物部分500万円とした場合、住宅の評価額から450万円の控除
2.土地部分1500万円とした場合、以下のいずれか多い方を納税額から控除されるため0円
A.45000円
B.(固定資産税評価額の㎡単価÷2)×(建物の床面積※×2)×3%
※建物の床面積は200㎡が上限

もし、上記の控除制度を使わなかった場合、40万円以上の不動産取得税が課されることとなります。控除制度を活用すると、例として挙げていた中古住宅2000万円の内訳を上記のようにした場合、土地部分が40坪ですから、課税額より控除額が上回るため土地部分の課税額が0円。建物価格500万円から450万円を控除すると50万円ですから「50万円×3%=1.5万円」ということになります。

登録免許税減税

登録免許税とは、不動産の登記の際にかかる税金です。中古住宅購入後にかかる登録免許税は、土地・建物共に移転登記で2%かかりますので、上記までのように建物500万円なら10万円、土地1500万円なら30万円の登録免許税が課せられます。しかし、以下の要件を満たすことで大きく減税することが可能です。

≪適用要件≫
1.自己の居住用である
2.延べ床面積が50㎡以上である
3.住宅取得後1年以内の登記である
4.以上を満たす前提で、以下のいずれかに該当する
・建築されたから20年以内(マンションなどの耐火建物は25年)である
・新耐震基準に適合することを証明するか瑕疵保険に加入している
≪減税額≫
(建物部分)2% → 0.3%(10万円 → 1.5万円)
(土地部分)2% → 1.5%(30万円 → 22.5万円)

これで通常かかる課税額より16万円ほど安くすることができました。中古住宅の場合、新耐震基準に適合するかどうかが重要となりますが、これは前述までのインスペクションやリフォームで基準に達している事さえ証明できていればまとめて承認される可能性は高いでしょう。

結果、ホームインスペクションでどれ位得する?

長くなりましたが、ここまでの解説で得した金額をまとめてみましょう。

リフォームや修繕分として物件価格の値下げ 200万円(仮)
住宅ローン減税 130万円
すまい給付金の受給 30万円
不動産取得税の減税 40万円
登録免許税の減税 16万円
合計 416万円

ではホームインスペクション等でどのくらい費用がかかるかというと、大まかに以下のような費用相場となります。

ホームインスペクション 10~20万円(オプション等による)
リフォームや修繕・各種証明書発行費用 150~170万円
合計 200万円前後

これはあくまで目安ですので、検査内容や修繕規模などによって費用は上下します。中にはこれらをワンストップで行ってくれる業者もありますし、そもそも中古住宅購入にあたって減税措置を目的としたインスペクションを行いたいと伝えれば、必要な修繕は行ってくれるものと考えられます。その他のリフォームとワンセットで行うことで、かかる費用を大きくディスカウントしてくれる業者もいるようですので、中古住宅購入を検討される際は予めの相談を強くお勧めいたします。

まとめ

あまり知られていないインスペクションによるメリットを金銭的な面で考えてみました。一般的には「安心・安全が得られる」ということばかりが語られるのですが、上記までの減税を受けられるように準備していけば、2000万円ほどの中古物件で400万以上も得することが分かりました。「中古物件もリフォームすれば新築同様に使える」というだけの理由で中古住宅の購入を検討する人は少なくありませんが、せっかくインスペクションやリフォームを前提とするなら、上記までの減税措置などを考慮することでリフォーム費用以上のお金を得することになります。但し、各減税措置を受けるには上記のとおり、それぞれ細かな条件を満たす必要や申請のタイミングが大事ですから、インスペクションの業者や管轄の税務署等に事前に確認しておくことが重要です。

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