人口減少と高齢化。バリアフリーリフォーム費用の相場は? | 不動産投資を考えるメディア

人口減少と高齢化。バリアフリーリフォーム費用の相場は?

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バリアフリーイメージ

先日、「国立社会保障・人口問題研究所」により公表された、平成30年推計による「日本の地域別将来推計人口」が報道されて話題になったのをご存知でしょうか。
以前から人口減少や高齢化社会というキーワードが今後の懸念事項として様々なメディアで取り上げられていますが、未だ抜本的な対策がされているとは言える状況ではありません。
一部では、いずれ1人で1人の高齢者を支える時代になると見る向きもありますが、不動産投資家にとってそれは歓迎できるものとは言えないでしょう。
果たして、進む人口減少と高齢化に向けて、不動産投資家にできることはないのでしょうか。
今回は、不動産投資家の方でもいずれ必要になるかもしれない「バリアフリーリフォーム」の費用と相場について解説させていただきます。

止まらぬ人口減少と高齢化

国立社会保障・人口問題研究所の資料を確認すると、日本の総人口は平成27年(2015年)時点で約1億2700万人ですが、今から27年後の平成57年(2045年)には約1億600万人にまで減少すると試算されており、その8年後の平成65年(2053年)には1億人を切り、更に7年後の平成72年(2060年)にはいよいよ8800万人にまで減少するとされています。

では、今年公表された都道府県別の総人口に対する年齢割合が、現在と比べてどのように変化するのか見てみましょう。下記は国立社会保障・人口問題研究所の資料より、平成57年における65歳以上の高齢者割合を高い順に並べ替えて平成27年と比較したものです。※()内は平成27年

  • 1.秋田県 50.1%(33.8%)
  • 2.青森県 46.8%(30.2%)
  • 3.福島県 44.2%(28.7%)
  • 4.岩手県 43.2%(30.4%)
  • 5.山形県 43.0%(30.8%)
  • 6.山梨県 43.0%(28.4%)
  • 7.北海道 42.8%(29.1%)
  • 8.高知県 42.7%(32.9%)
  • 9.長野県 41.7%(30.1%)
  • 10.徳島県 41.5%(31.0%)
  • (中略)
  • 36.佐賀県 37.0%(27.7%)
  • 37.千葉県 36.4%(25.9%)
  • 38.大阪府 36.2%(26.2%)
  • 39.岡山県 36.0%(28.7%)
  • 40.埼玉県 35.8%(24.8%)
  • 41.広島県 35.2%(27.5%)
  • 42.神奈川県 35.2%(23.9%)
  • 43.福岡県 35.2%(25.9%)
  • 44.滋賀県 34.3%(24.2%)
  • 45.愛知県 33.1%(23.8%)
  • 46.沖縄県 31.4%(19.7%)
  • 47.東京都 30.7%(22.7%)

参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/1kouhyo/gaiyo_s.pdf
「年齢別人口割合 65歳以上人口」
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/2gaiyo_hyo/kekkahyo3_3.xls

東北地方に関しては総人口に対する高齢者の割合が総じて3割を超えており、驚くことに秋田県は平成57年(2045年)に人口の半数以上が高齢者であるという数字が示されています。
それに対し東京は人口の3割が高齢者という結果であり、決して低い数字とは言えませんが、東京一極集中と地方の人口減少、そして日本全体の高齢化を改めて感じさせるものとなっています。
では、止まらない人口減少と高齢化に向けて、所有する物件に今後何が必要になるのか。
当然導き出される答えは「バリアフリーリフォーム」です。

バリアフリーリフォームが必要な箇所

先ほどお話させていただいたとおり、27年後の平成57年には今よりも人口が2000万人減り、各地域で高齢者割合が3~5割となります。
これまで、人口減少や高齢化社会を身近な問題として認識されていなかった方にとって、これらのデータはそう遠くない時期に各住宅のバリアフリーリフォームが必要となることを指し示すものと言えるかもしれませんが、不動産投資家の方にとっての住戸のバリアフリーリフォームはどう考えればよいのでしょうか。

当然、サ高住や有料老人ホームというものが今後も増えることは予想できますので、不動産投資家にとってバリアフリー化は縁遠いものと思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在所有の物件が老朽化して空室が目立つようになった時のことを考えると、バリアフリーリフォームを行って、高齢者にも賃貸できる物件とする選択肢は持っておくべきだと言えます。
では、賃貸物件のバリアフリーリフォームを検討されたことがない場合、所有物件のどこにどんなリフォームを施せばよいのでしょうか。

もし物件のバリアフリーリフォームを検討されるのであれば、間取り図からリフォームが必要な箇所を思い浮かべてみると良いでしょう。

(1LDKの間取り)
・玄関
・廊下
・洗面
・トイレ
・浴室
・キッチン
・リビングダイニング
・居室(寝室)
・バルコニー
・床材

例えば、玄関であれば段差がまず第一に高齢者にとって危険なものになりますし、靴の履き替えなどの際に手すりなどの掴まるものが無いと不便です。
また、トイレ、浴室、洗面といった場所にも段差が多い上、ある程度の広さが無いと、いざ車いすの生活となった場合に行動しづらい場所となります。
更に、部屋の広さ形だけではなく、床の材質にも気を付けなければいけません。
昨今人気のフロアコーティングでは、艶や光沢を優先して、滑りやすいものが人気となっていますが、高齢者にとって滑りやすい床は非常に危険であるため、滑りにくい材質の床やコーティングを施す必要があります。

こう考えると、バリアフリーリフォームを行うとなると施行箇所が非常に多いことが分かりますが、バリアフリーリフォームでどのくらいの予算が必要になるのか見ておきましょう。

バリアフリーリフォームの費用相場

以下に記載するのは、上記の1LDKの住戸を全面的にバリアフリーリフォームしたと想定しての目安ですが、室内のどんな場所でどのような工事が必要になり、更に費用がどのくらい必要なのかという一般的な相場として参考にしていただければ幸いです。

玄関、廊下、トイレ、浴室への手すりの設置 4~12万円 ※1本1~3万円にて試算
段差解消を含む室内を引き戸へ変更(4ヵ所) 80~200万円 ※1ヵ所20~50万円にて試算
玄関を引き戸へ変更 10~30万円
トイレ・洗面の拡張や便器、洗面台の交換 40~100万円
浴室の全面リフォーム 100~200万円
キッチンのバリアフリー化 100~150万円
床をコルク材へ張替え 50万円前後
全工事費 約400~700万円

他にも玄関の段差を無くすための工事やバルコニーへのアプローチにスロープを設置するという工事が必要かもしれませんし、物件によっては廊下の拡張などが必要かもしれません。
逆に、室内の構造によってはリフォーム工事が不要な箇所があるかもしれませんが、どちらにしても所有する物件を全面バリアフリーリフォームするとなれば、費用は前後するとしても数百万円の費用がかかると考えていただいたほうが良いでしょう。
ただ、内容を見ていただくとお分かりいただけるとおり、高齢者にとってどれも必要な工事であり、バリアフリーリフォームがいずれ必要になるかもしれないということは、多くの物件に言える事かもしれません。

まとめ

「高齢化社会とは言っても、若者がいなくなるわけではないでしょ?」
そんな風に思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、昨今の不動産投資のブームでアパートが乱立しているなんてニュースもよく耳にしますが、それらのほとんどが単身者向けのアパートです。
つまり、若い世代が暮らすことを想定して建築された物件が多く、バリアフリー住戸の数はそれらの数に到底及ぶものではありませんので、希少価値という視点ではまだまだ開拓が必要な市場と言えるでしょう。
駅から遠い、見た目が古いなどの欠点や空室が気になり始めたら、一つの選択肢としてバリアフリー化を考えてみると意外な需要が発見できるかもしれません。

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