【入居者・大家さん必見】家賃滞納から立ち退きまでの手順を分かりやすく解説!

賃貸経営

令和2年4月から施行される民法。その中には連帯保証人の保証額に関わる大事な改正点もあり、今後の賃貸業界はますます家賃滞納にシビアになっていかなければなりません。

ところで、家賃滞納が始まったら何ヶ月目から対処しなければならないのでしょうか?そもそも滞納額が回収できないと見込まれたら、どんな流れで立ち退きしてもらうのか分からないと言う方も多いでしょう。

そこでこの記事では「家賃滞納は何ヶ月目からアウト?」というシンプルな疑問から、実際に何ヶ月くらいの滞納事案があるか、立ち退きまでの流れなどを分かりやすく解説いたします。

家賃滞納は何ヶ月目からアウト?

最初に結論から申し上げると、家賃滞納は1ヶ月であろうが1年であろうが滞納は滞納で変わりません。かといって「○ヶ月過ぎると立ち退かなければならない」といった法的な定めもありませんので、「アウト!」と判断される明確な期間はないのが現状です。つまり、家賃滞納に対しての許容度は大家さん次第なのです。

しかし、実際には家賃を何年も滞納しているケースもあります。下図はYahoo!知恵袋に投稿されている、連帯保証人による相談です。

【出典】Yahoo!知恵袋

こういったケースになると「そこまで滞納を放置していたほうが悪い!」ということで、大家さんが連帯保証人側から訴えられる可能性も出てきます。高額になった滞納額を借り主が払えるわけもなく、家賃滞納は多くなるほど泥沼化すると考えたほうが良いでしょう。では具体的に家賃滞納は何ヶ月目から行動を起こすべきでしょうか。

家賃滞納が発生してから立ち退きまでの流れ

賃貸業界では大まかな目安として以下のような流れになるケースがほとんどです。

滞納月大家さんの行動
1ヶ月経過電話や手紙による催促
2ヶ月経過引き続き督促、または契約解除予告
3ヶ月経過内容証明による契約解除通知、訴訟開始
4~6ヶ月経過判決
7~8ヶ月経過立ち退き・明け渡しのための強制執行申し立て
9ヶ月経過強制執行

4ヶ月目以降の動きは、裁判の手続きがどう進むかで若干前後しますが、概ね似たような期間で完了します。大事なのは家賃滞納が始まって何ヶ月目から大家さんが行動を起こすべきかです。一般的には上表のように3ヶ月目から本格的に行動を起こすべきとする向きが多く、筆者の経験上でも3ヶ月は一つの目安です。

3ヶ月という理由ですが、滞納者が一括で払える額だったり、そもそも裁判費用を考えると1ヶ月や2ヶ月で訴訟を起こした方が損だったりと事情は様々です。いずれにしろ家賃滞納を大目に見てしまうと入居者に甘く見られてしまい、結果的に入居者にとっても人生を狂わせる要因にもなりかねません。家賃滞納1ヶ月目からお互いに連絡をしっかり取り合い、具体的にいつ家賃を支払うかなど確認しておいた方が良いでしょう。

入居者は家賃を何ヶ月滞納する?賃貸業界の実態

家賃滞納月や立ち退きまでの流れを見た時に疑問に思うのが「世間では何ヶ月くらい滞納している人が多いのか」という点。具体的なデータはありませんが、一つ参考になる資料があります。以下は民法改正における連帯保証人が保証する額を定めるための参考資料として、国土交通省が公開している「極度額に関する参考資料」の抜粋です。

【家賃保証会社が回収しきれなかった金額】
家賃平均
4万円未満の物件17.7万円(概ね4か月分)
4万円~8万円未満28.2万円(4~7か月分)
8万円~12万円未満50.0万円(4~6か月分)
12万円~16万円未満71.2万円(3~4か月分)
16万円~20万円未満97.3万円(5~6か月分)
20万円~30万円未満126.2万円(4~6か月分)
30万円~40万円未満156.8万円(4~5か月分)
40万円以上437.3万円(概ね11か月分)

■参考:国土交通省 極度額に関する参考資料

家賃保証を事業としている法人をもってしても、最低でも家賃3ヶ月分の損害があるのが分かります。上記はあくまで借り主に支払いを請求して、その上で残ってしまった損害額。そのため実際には、家賃を滞納する人の多くが3ヶ月より多く滞納していると言えるでしょう。

さて、もう一点ご覧いただきたいデータがあります。上記は家賃保証会社が受けた損害額ですが、個人の連帯保証人ともなると更に被害額が大きくなります。同じく以下は、国土交通省が公開してる極度額に関する参考資料からの抜粋です。

判決により連帯保証人に命じられた支払い額
平均家賃13.2か月分
最小家賃2ヶ月分
中央値家賃12ヶ月分
最大値家賃33か月分

■参考:国土交通省 極度額に関する参考資料

驚くことに、平均で1年分以上の家賃滞納額の支払いが命じられています。これを見ると、確かに「なぜ管理会社は滞納を放置したのか」という疑問は絶えません。

とはいえ、家賃滞納に対する一般的な期間とはかけ離れたケースもあるのがよく分かる資料です。オーナーが起こした裁判もあれば、連帯保証人による裁判もあるでしょう。どちらにせよ、家賃滞納を放置すると泥沼化は避けられません。

家賃滞納は1ヶ月目からアウト!入居者も大家さんも要注意

ここまでに何度か結論をお伝えしていますが、「家賃滞納はすぐに対応する」というのが非常に重要です。これは入居者、大家さんに共通して言えることです。例えば、国土交通省が推奨する「賃貸住宅標準契約書」には、以下のような条文があります。

(賃料)

第 4 条 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
(契約の解除)
第 10 条 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができる。
一 第 4 条第 1 項に規定する賃料支払義務
二 第 5 条第 2 項に規定する共益費支払義務
三 前条第 1 項後段に規定する費用負担義務

■引用:国土交通省 賃貸住宅標準契約書

上記はつまり「大家さんは予め期間を決めて賃料の支払いを請求し、約束が守られないようなら契約を解除できる」という意味です。入居者からすれば、家賃を滞納してしまった時点で早めに連絡し、誠意をもって「いつまでに支払う」ということを伝えるべきと言えるでしょう。

ただここで、「契約書の特約に1ヶ月でも滞納したら契約解除と書けば良いのではないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実はその考えは法的に認められていません。

【借地借家法】

建物賃貸借契約の更新等
第三十条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

■引用:e-Gov 借地借家法

借地借家法は、大家さんの追い出しや無茶な家賃値上げなどから借り主を守るための法律。借地借家法において、借り主に不利と判断される特約は無効とされているのです。何をもって不利とするかは専門家でも意見の分かれるところですが、少なくとも「うっかり忘れ」などの家賃滞納もあります。1ヶ月で即契約解除というのは、借り主に不利と判断される可能性が非常に高いと言えるでしょう。

家賃滞納を平和的に解決するのは、やはり入居者の誠意ある行動と大家さんの素早い行動です。たとえ1ヶ月でも滞納は滞納ですから、度々滞納を繰り返してしまうようなら入居者自ら転居を検討すること。そして大家さんは、日頃から滞納に対する迅速な対応を心がけるのが滞納事案を悪化させないための方法と言えるでしょう。

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