不動産の積算価格とは?不動産価格の適正な評価方法を分かりやすく解説 | 不動産投資を考えるメディア

不動産の積算価格とは?不動産価格の適正な評価方法を分かりやすく解説

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20190514
不動産投資において「物件価格」は後のキャッシュフローに大きく影響する重要項目です。

恐らく「ローンで購入してキャッシュフローが黒字になればいい」と考える方が多いかと思いますが、ではそのローンを実行する銀行側は物件をどのように評価するのでしょうか。

今回は物件価格の適正な評価額を計る指標で、ローンの審査でも重要な役割を果たす「積算価格」について解説します。

積算価格とは?どんな時に使用する?

「積算価格」とは、土地の資産価値と建物の資産価値をそれぞれ決められた方法で計算し、両方を合計した金額を不動産の価値として表す評価額です。

積算価格を算出する際の計算方法を「原価法」ということから、その不動産を再取得する際の原価や担保価値といった目的で使用されます。

積算価格は不動産の価値を見極めるにあたって非常に重要です。不動産の価格決定には多くの計算方法や手法がありますが、大きく分けると以下の2つです。

【取引事例比較法】
周辺相場や同条件の物件、過去の取引事例、不動産会社の経験などから不動産価格を決める方法。主に不動産会社による物件査定で使用される。
【積算価格や収益還元法など】
緻密な計算による加算・減算などを行いながら合理的な方法で不動産価格を決める。主に銀行や不動産鑑定士が資産価値を見極めるのに使用する。

上記の違いは「不動産取引のための価格」と「担保価値としての最低限の価格」と言い換えてもよいでしょう。

例えば、銀行が不動産絡みの案件に融資する際には、その不動産を担保に入れます。それには担保としての根拠が必要ですが、銀行は不動産の専門家ではありません。そのため、価値を見定める方法として積算価格や収益還元法を使用するのです。

積算価格の計算方法

積算価格は、不動産をローンで購入する際の融資額を決定する基準の一つです。積算価格が安くなるほど融資の実行額も減ると考えると良いでしょう。

逆に買い手ではなく売り手の立場で考えると、ローンを使用して自分の所有物件を購入してくれる人も積算価格までしか融資が受けられないため、融資額付近で物件価格を設定すればスムーズに売却できる可能性が高くなるということです。

では、積算価格の計算方法を見てみましょう。

路線価 × 土地面積 = 土地の価格
再調達原価 × 建物面積(延べ床面積) × (残りの耐用年数 ÷ その物件の耐用年数) = 建物の価格
土地の価格 + 建物の価格 = 積算価格

土地価格を決める際の「路線価」の部分は、積算価格を求める目的(公示地価や固定資産税路線価など)によって変わる場合がありますが、国税庁の公表する路線価を使用するのが一般的です。

再調達原価とは?

厄介なのが建物の価格です。「再調達原価」とは、その建物と全く同じ建物を作り直すと仮定した場合の1㎡当たりの単価を指します。再調達原価の算出方法は主に以下の2つに分かれます。

【直接法】
建築時の見積書などに書かれた㎡単価を参考にする
【間接法】
近隣の類似物件の工事費用などを参考にする

上記2つに加えて更に、銀行や不動産会社が目安として使用する直接法でも間接法でもない再調達原価もあります。

この辺りが非常にややこしいのですが、直接法や間接法は不動産鑑定士が積算価格を計算する際の手法であり、銀行や不動産会社が独自に使用する目安としての再調達原価もあると覚えれば概ね問題ないでしょう。

なお、銀行や不動産会社が独自に使用する再調達原価の目安は以下の通りです。

鉄骨鉄筋コンクリート 30.42万円
鉄筋コンクリート 26.31万円
軽量鉄骨 21.41万円
木造 16.86万円

国土交通省「建築着工統計調査(2018年)」より算出

銀行は国交省の建築統計年報から算出する単価を再調達原価として積算価格を計算するとされていますが、実際には各銀行や案件に応じて原価は変わりますので、上記の目安は一つの基準として考えておきましょう。

実際の物件で積算価格をシミュレーション

それでは、実際に積算価格をシミュレーションしてみましょう。以下の物件は「不動産競売物件情報サイト BIT」に掲載されていた埼玉県さいたま市のある物件です。

不動産競売物件情報サイト「BIT」

【物件情報】
構造 木造
築年月 平成17年7月
土地面積 104.34㎡(約31.62坪)
建物面積 95.62㎡
路線価 7.8万円

上記の物件を例に積算価格の式に当てはめて計算してみます。

≪土地価格≫
7.8万円 × 104.34㎡ = 813.85万円
≪建物価格≫
木造16.86万円 × 延べ床面積95.62㎡ × (残存耐用年数8年 ÷ 耐用年数22年) = 586.24万円
≪積算価格≫
813.85万円 + 586.24万円 = 約1400万円

上記物件の最低価格となる売却基準価額を確認したところ、1192万円でした。また、同じような物件をSUUMOなどの不動産情報サイトで探したところ、土地面積が5坪ほど広く築年数がほぼ同じの物件が2300万円で売られていました。

競売物件は安い時で市場価格の半額程度、一般的には市場価格の70~80%前後で落札できると言われています。2300万円の70%は1610万円ですので、土地面積の差分を考えてもおおよそ相場通りの積算価格ということになります。

競売の一般的な水準で落札できるのだとすれば、十分お買い得と言えそうです。

積算価格から不動産投資を考えるポイント

積算価格で考えると先ほどの物件は自分が住むならお買い得と言えそうです。ただ、不動産投資としての魅力は薄いと言えます。理由は以下の3点です。

  • 物件の家賃相場が〜10万円程度
  • 減価償却期間の残りが10年前後
  • 減価償却期間内でローンを利用すると金利2%でも返済額が14万円弱

不動産投資ローンは減価償却期間内に完済するのが望ましいとされます。減価償却期間の計算方法は省略しますが、前述の物件の償却期間は約10年です。

この物件を借入期間10年、金利2%で購入したとすると、賃料が10万円ほどしか見込めないのに返済額が14万円では単純計算でも採算が合いません。

借入期間を5年延ばせば返済額は10万円を切りますが、キャッシュフローがほとんど残りませんから、自己資金を相当額入れなければ危険な賭けになるでしょう。

積算価格というのは、あくまで融資を受ける際の最低限の担保価値であって、不動産価値の目安にしてしまうと、特に不動産投資の収支シミュレーションにおいては全く見当違いの結果になりかねません。

積算価格はあくまで不動産の資産価値を決める目安です。不動産投資においてはそれよりも安くて質の良い物件が見つかるかどうかが重要と言えるでしょう。

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