今度は大東建託!不動産会社に根ざす違法労働の実態 | 不動産投資を考えるメディア

今度は大東建託!不動産会社に根ざす違法労働の実態

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夜のオフィス

2018年6月上旬、大東建託が違法残業等により、労働基準監督署から是正勧告を受けました。
先日、本サイトでは建築基準法違反があったと発表したレオパレス21の異常な経営体質に言及したばかりですが、今度は大東建託が社員への違法な長時間労働を強要し、残業代も未払いだったとして大きく報じられています。

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不動産業界における違法労働と言えば、昨年末に野村不動産の社員が過労によって自殺し、厚生労働省から是正勧告を受けたというニュースも記憶に新しいところですが、不動産業界では違法労働に限らず、常に暗い噂が絶えません。

では、実際の不動産会社とは一体どんな所なのでしょうか。今回は大東建託のニュースと筆者の経験も踏まえ、不動産業界の諸問題がなぜ今になって大きく報じられているのか解説させていただきます。

大東建託だけでない業界全体に蔓延る風潮

「成果を上げるまで帰るな!」

こんな見出しが印象的なYahoo!ニュースの記事。書いたのはNPO法人POSSEの今野晴貴さんです。

■参考:Yahoo!ニュース「大東建託に労基の是正勧告 「ビジネスモデル」はどう改善できるのか?」

今回のニュースは神奈川県川崎市にある大東建託の支店が月97時間という残業に対して報酬を支払っていなかったとして、川崎北労働基準監督署から是正勧告を受けたというものです。

会見した元男性営業社員は「諦めていた」と話しており、同社では朝礼などのシーンで営業成績が上がらないことに対する叱責や謝罪の強要は日常茶飯事で、殺伐とした空気の中、社員同士の殴り合いもあったと報じる記事まで出ている始末。

大東建託にはかつて、電通の鬼十則と内容がほぼ同じの「大東十則」いう社則があったわけですが、そもそも不動産会社の営業は昭和の時代に美徳とされた「モーレツ社員」の風潮が残っているところも多く、朝8時に出社し帰宅は夜10時を超えるといった会社はザラにあるという事は筆者も経験済みです。

「週刊金曜日」では、今回の大東建託のニュースに先駆けてか「大東建託、相次ぐ社員自殺の背景」といった記事を掲載しており、確認できている限りでも昨年に社員2名の自殺が判明しており、過去にも4名ほど自殺者が出ているのではないかとしています。

■参考:週刊金曜日オンライン「大東建託、相次ぐ社員自殺の背景」

賃貸アパートを経営する不動産会社の主な収益源として、管理手数料を想像される方も多いと思いますが、実際はそれだけで会社の事業拡大や人件費を賄えるはずもなく、次々と新規物件の開拓やアパート建築の受注契約を取るノルマが課せられているのが現状です。

アパートの供給過剰と言われる要因の一つはここにあるわけですが、同時にそれは多くの不動産会社で営業社員を奴隷のような使い捨てのコマにしてでも、一発逆転のアパート建築の受注を取ってこさせる風潮が無くならない要因でもあります。

不動産業界が陥る悪循環

さて、こんな話をしてしまうと不動産業界は恐ろしい所だと感じる方もいる一方で、不動産関係者にとっては「利益が出せないなら仕方ないだろう」と考える方もいることでしょう。

たしかに大手不動産会社ともなれば、ダイバーシティや働き方改革、リモートワークやフレックスタイムの導入など、社員の負担を軽減する工夫をしている会社が多いのは事実ですが、それが営業職やグループ会社の社員にまで浸透しているかというと疑問が残ります。

たとえ会社が社員の働き方に革新的なアイディアを導入しても、末端社員に近くなるほどその恩恵にあずかることはできず、結局は本社とその周辺部署に勤務する社員だけの内輪での盛り上がりに終始している企業は少なくありません。これは不動産会社にかかわらず、大手企業全般にありがちな問題とも言えます。

では、なぜ不動産会社は様々な諸問題が発覚して報道されることが多いのでしょうか。これまでの報道を見る限りでは、以下のような悪循環が諸問題に直結していると考えられます。

  1. 新規契約による利益が会社の経営基盤になり過ぎている
  2. そのため、営業成績=社員資格となり、過度な叱責や暴言等を当然の風潮とする会社が多い
  3. 結果、営業成績が上がるまでサービス残業を強いられる
  4. 追い込まれた社員が営業成績の為に不正をし始める
  5. 社員の不正や違法労働が常態化し、あっさり発覚する

これは各報道内容だけでなく筆者も経験しているため明確に言えることですが、かつて問題となった「深夜まで行われる訪問販売」のような悪しき慣習が不動産業界に未だ残っている理由には、時代錯誤の働き方が根底にあると言えるのかもしれません。

不動産業界が直面するパラダイムシフト

筆者が過去に勤めていた不動産会社での経験ですが、先輩社員のこんな一言が未だに記憶に残っています。

「こんな、新規契約が無いと利益が上がらない会社なんて続くわけない」

経営手法がストックビジネスではなく、契約ありきのフロービジネスに偏っている不動産会社が未だに多いことは先ほどもお伝えした通りです。

もちろん商品を売らないと利益が出ない「お店」にも同じことが言えますので、フロービジネス自体が悪いわけではありませんが、こと「不動産」という商品においては一般人が気軽に買えるものではなく、人口減少や高齢化、空き家問題といった喫緊の課題に直面していることを鑑みても、今後の不動産業界は新しいビジネスモデルが求められていることは疑う余地がないでしょう。

世間が働き方改革に取り組む中、不動産業界は働き方改革を恐れているとも言われています。理由の一つにシェアオフィスの需要増により賃料収入が減少する可能性があるというものがありますが、営業職が定時で帰宅するような風潮が広がれば、収益を伸ばせず会社の死活問題に関わると考える経営者がいてもおかしくないでしょう。

しかしながら、さすがの不動産業界でも近年IT化が急速に進んでおり、社員の働き方から物件選び、顧客獲得手法に至るまで、抗うことのできないほどのパラダイムシフトを迎えています。

たとえ営業成績が悪くても長時間働けばいつか成果は出るという時代遅れの考え方は変えていかなければなりません。今回の大東建託や昨年末の野村不動産の事件は、そういった働き方に対する時代の変化に乗り遅れた結果とも言えるでしょう。

まとめ

今回は、大東建託の事件から不動産会社の働き方について解説させていただきましたが、私たちに直接関係する不動産事情は昔と比べて大きく様変わりしました。

顧客同士をマッチングしてくれるCtoC取引が人気を集め、賃貸物件も現地調査無しである程度の判断ができるほどインターネット等で得られる情報は多くなりました。業界内においては、IT重説やVR内見、近い将来ブロックチェーン技術により書面を必要としない取引も可能になると言われています。

不動産に対する需要や考え方が変化しているにもかかわらず、業界関係者の働き方が変わらなければ、次第に不動産業界全体に亀裂が入り始めるのは当然のことと言えるでしょう。

そう考えると、今後も似たような諸問題が不動産業界内で発覚する可能性は十分に考えられます。不動産投資家においては、この業界が今どのような状態にあり、各不動産会社がその変化に対応できているかを見極めることも重要だと言えるかもしれません。

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