建築基準法違反も発覚!大阪北部地震と南海トラフ巨大地震との関連性 | 不動産投資を考えるメディア

建築基準法違反も発覚!大阪北部地震と南海トラフ巨大地震との関連性

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201806201

6月18日7時58分に起きた大阪北部地震。震源地は高槻市、茨木市、摂津市の境となる地下13kmという浅い場所で起きた為、地震速報も間に合わなかったようです。

今回の地震では負傷者400名超、死者5名という被害となり、交通網の混乱等から一部の物流が停止。水や食料の品切れを起こす店舗も多く発生しました。そんな中、頻繁に取り沙汰されているのが巨大地震である「南海トラフ巨大地震」への影響。

そもそも南海トラフ巨大地震について知らない人も多いという調査結果もありますので、今回は大阪北部地震による今後の巨大地震の可能性と南海トラフとは何かといったところを中心に解説させていただきます。

発覚した建築基準法違反と耐震化が進まない理由

今回の地震では被害者も多数出ていることから、今後の余震を含め、更なる大地震への注意が呼びかけられています。

地震により崩れた塀の下敷きになったり、倒れてきた家具の下敷きになって死亡した方がいらっしゃいますが、実はこの崩れた塀による被害の中に建築基準法違反の建築物があったと発覚して大問題となっています。

塀はなぜ崩れたのか?

あまり知られていませんが、実はブロック塀の高さには制限が設けられています。基本的に地面からの高さは2.2mを超えてはいけない、そして1.2mを超える場合は控え壁という支えも作らなければいけません。

しかし、今回の地震で女児の命を奪った塀は3.5mという高さ。ニュース等で公開されている映像等を見る限り、控え壁があった形跡も見受けられません。

実はこの崩れた塀、以前から危険性が指摘されていたと言います。

学校側の見解は「プール内を覗く変質者がいたため対策として塀を高くした」としていますが、死亡者が出た上に建築基準法違反があったと考えると、自治体に対する責任追及は免れないと考えられます。

他にも、大阪市東淀川区の住宅の塀が崩れ、下敷きになった80歳の男性が死亡しています。

報道写真等を見る限り、高さはギリギリ2mほどと思われますが、控え壁は見受けられず、やはり塀の途中から崩れている様子がうかがえます。

人的被害をもたらした地震。実は過去にも…

これら人的被害は過去の地震においても報告されており、熊本地震でも塀の下敷きで1人が死亡して訴訟となっています。

また、約40年前の宮城県沖地震ではなんと20名近くの方が塀の下敷きになり死亡したと報告されています。

もっとも、阪神・淡路大震災においても非常に多くの人が被害を受けましたが、ブロック塀等による人的被害は2468件と報告されています。

■参考:総務省消防庁「阪神・淡路大震災について(確定報)」
http://www.fdma.go.jp/bn/%E9%98%AA%E7%A5%9E%E3%83%BB%E6%B7%A1%E8%B7%AF%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%EF%BC%88%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E5%A0%B1%EF%BC%89.pdf

これらの事例から得た教訓や規制があったはずなのですが、繰り返されてしまう死亡事故。

これ以上の被害を出さないようにするためには、国や自治体による点検や、法改正以前のものであっても建築基準法に則った整備の義務化などが必要なのかもしれません。

建築基準法違反による過失。どんな罪に問われる?

そもそも、このように繰り返される人為的ミスや違反による事故ですが、違反した場合どのような罪に問われるのでしょうか。

実は賃貸経営においても、修繕義務を怠ったことで住人にケガをさせたといったことにでもなれば、罪に問われる可能性は十分にあります。仮に建築基準法違反があった場合、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人であれば1億円以下の罰金が科せられます。更にその違反建築物で死者出た場合、業務上過失致死罪という刑事罰も加わり、懲役5年以下もしくは禁錮又は100万円以下の罰金となります。

例えば、過去に新宿歌舞伎町ビル火災で多くの人が亡くなった事件を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。あの事件ではビルのオーナーが被害者に対して10億円の和解金を支払うこととなりましたが、それとは別に、業務上過失致死罪で禁固2年から3年、執行猶予4年から5年の有罪判決を受けています。

そのような火災と比べると「たかがブロック塀」と思われるかもしれませんが、事件の規模ではなく、建築基準法違反の時点で罰則が設けられていることや、それによる死傷者が出た場合の罪は非常に重いものとなります。

もし、地震が所有する物件等で心当たりなどが少しでもあれば、今すぐに対策を始めたほうが良いでしょう。もちろん、日頃から所有する建物の管理は行うべきですが、今後起こり得る巨大地震の可能性が高まっていることを考える尚更です。

耐震化が進まないワケ

それでは実際、住宅の耐震化はどのくらい遅れているのでしょうか。平成15年に国土交通省が発表した資料によると、住宅4700万戸に対して耐震性があると認められたのは約3550万戸。残り1150万戸について耐震性が無いとされていました。

■参考:国土交通省「住宅・建築物の耐震化の現状と課題について」
http://www.mlit.go.jp/common/000233510.pdf

その後、平成20年には耐震性が無いとされる住宅は1050万戸まで減っていますが、少々気になるのは、旧耐震基準として耐震性が認められたものが3250万戸であるという事実です。

新旧耐震基準の違いを簡単に言うのであれば「震度5の地震に耐えられるかどうか」。つまり、震度5を基準とした耐震性の建物が3250万戸という事になり、日本の真の耐震化はほとんど進んでいないと言えるのです。

それでは何故ここまで耐震化が進まないのでしょうか。同資料では、耐震化をしていない住宅について以下のようなアンケート調査の結果も公表しています。

耐震化していない理由(東京都調べ)
工事費用が高い 66.1%
建物に合った改修工法の選定ができない 22.0%
テナント(借家人)への対応が難しい 17.9%
信頼できる工事業者の選定ができない 15.9%
信頼できる相談者の選定ができない 15.1%
区分所有者の合意形成が難しい 21.2%
その他 21.2%

繰り返し起こる建築物による人的被害。そして、いつ起こるかもしれない南海トラフを始めとした巨大地震。確かに耐震化に伴う費用は高くなるのは否めませんが、せめて大阪北部地震のような被害者を出さないためにも、できることから始めるべきと言えるでしょう。

1000年に1度の地震。南海トラフとの関連性に割れる見解

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日本に限らず地震の度に建築物の倒壊などによる人的被害は起こりますので、少しずつでも、しかし確実に法整備や各建物の安全性を高めるほかありません。

不幸中の幸いと言うべきか、今回の大阪北部地震では阪神・淡路大震災の教訓もあり、死傷者は出たものの翌日には交通などのライフラインが復旧しているところも多く、比較的に被害は抑えられたのではないかという向きもあります。他にも直下型の一瞬の揺れだったことや、震度6クラスに抑えられたということも要因として挙げられています。

ただ気になるのは今後の地震発生の可能性。先ほど「今後起こり得る巨大地震の可能性が高まっている」と申し上げましたが、何のことかと思われた方がいらっしゃることでしょう。まず、メディアや専門家の多くは今後1週間ほどは注意が必要と言っています。

気象庁の見解

18日に記者会見を開いた気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は以下のように述べています。

「陸のプレート内で起きた規模の大きくない地震であるため、南海トラフへの影響は考えづらい」

また、同じ記者会見で「今回の地震はかなり珍しい」とも語っており、実際に文部科学省の地震調査研究推進本部の情報を確認すると、今回の大阪北部地震の原因と指摘される「有馬―高槻断層帯」は、過去3000年の間に3回しか活動していないとされています。

つまり今回、1000年に1回ほどしか起きない地震が起きたという事になります。

他の専門家の見解

気象庁による南海トラフの見解に関しては「安心した」と思われる方も多いかもしれませんが、今回の大阪北部地震が他の大地震を引き起こす可能性があるとの別の専門家の意見もあります。

まず、日経新聞が報じた東北大学の遠田教授は「今回の地震で周辺の活断層が刺激されて大きな地震に繋がる可能性がある」と述べています。

更に、過去に東京大学地震研究所に勤務し、地震の歴史に詳しい都司嘉宣氏は「1853年以降の安政の大地震では、1854年(嘉永7年)7月7日にきっかけとなる地震があり、その2日後の7月9日にマグニチュードM7以上の地震が発生した。結果、死者は1000人近くに上った。もし有馬―高槻断層帯の歪みがまだ残っていたら、2?3日後に同じことが起こる可能性がある。」とウェザーニューズ社に述べています。

どちらにしても、大阪北部地震をきっかけとして大地震が引き起こされる可能性は否定できず、予断を許さない状況であることに変わりなさそうです。

ただ、あくまでこれら専門家の見解は今回の大阪北部地震をメインとしたもの。実は先ほどご紹介した地震調査研究推進本部の地震調査委員会は、以前もっと深刻な発表をしているのです。

南海トラフ巨大地震が30年以内に起こる確率は80%!?

今回の有馬―高槻断層帯による地震ですが、地震調査委員会が公表していたものでは発生確率は0.03%以下とされていました。

なお、同委員会では今後30年以内に大きな地震が起こる可能性を、以下のような発生確率によってランク分けしています。

  • 「Sランク」3%以上
  • 「Aランク」0.1~3%
  • 「Zランク」0.1%未満
  • 「Xランク」不明(すぐ起きる可能性もある)

これに当てはめると大阪北部地震はZランクですが、これをはるかに上回っているのが、南海トラフ巨大地震の「発生確率70~80%」という評価。

陸地の活断層の中でも比較的高確率の糸魚川-静岡構造線断層帯でさえ13~30%ですが、南海トラフ巨大地震の発生確率は、それよりも大幅に高い確率となっているのです。しかも、10年以内の発生確率は30%、50年以内に90%以上の確率。

もし南海トラフ巨大地震が起こった場合、津波は30mの高さになり、死者は30万人を超える言われており、日本の経済的損失は200~300兆円規模になるとの試算もあるほどですから、実に恐ろしいことです。

■参考:地震調査研究推進本部「活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」
https://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/ichiran.pdf#page=28

大阪北部地震は南海トラフ巨大地震の予兆?!

今回の地震の前日、群馬県を震源とした震度5の地震がありました。前述の東北大学遠田教授は「関連は薄い」という見解ですが、将来の大地震への可能性は否定できないという情報もあります。

例えば、先ほどご紹介した南海トラフ巨大地震の発生確率を公表しているデータでは、最後に南海トラフ巨大地震が起きたのは72年前であるのに対し、平均発生周期は約88年だとしています。仮にこの周期で南海トラフ巨大地震が起こるとすれば、あと16年という事になります。

また、現代ビジネスのコラム「信じる者は救われる 南海トラフ大地震は本当に来るよ」という記事でインタビューを受けている武蔵野学院大学の島村英紀特任教授は「前回の南海トラフでも、内陸部での地震が多発した」と語っています。

更に同コラムでは立命館大学の高橋学教授もインタビューを受けており「ここ最近、地震の珍しい韓国などで地震が増えているのも何かの兆しである可能性」と述べています。

■参考:現代ビジネス「信じる者は救われる 南海トラフ大地震は本当に来るよ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36141

確かに、熊本地震や大阪北部地震の他にも今年5月25日には長野県北部で震度5強の地震がありました。いずれも共通するのは地表から浅い場所で起きた地震であるということ。

前述の島村教授は、阪神・淡路大震災ですら南海トラフの地震の予兆かもしれないと述べており、今回大阪北部地震と南海トラフ巨大地震の関連性について、専門家の意見は真っ二つに分かれていると言えるでしょう。

今後、巨大地震が起こる可能性は否定できず、むしろその可能性は高いと考えたほうが良さそうです。

南海トラフや活断層とは?

そもそも、南海トラフや活断層とは何でしょうか。下記の図を基に分かりやすくご説明させていただきます。

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■出典:「活断層で発生する地震と海溝型地震」(地震調査研究推進本部)
https://www.jishin.go.jp

「南海トラフ」は四国の南から駿河湾にまで伸びる大きな海洋プレート。これは地震メカニズムの説明でもよく使われる「海の中のプレートが沈み込む」というイメージを思い出せば足りるでしょう。

日本はそんな何枚かのプレート上にある島国ですが、太平洋側に位置するプレートが沈み込むうちに内陸部の地下に圧力がかかります。内陸部の地下の岩盤には元々いくつかの割れ目が存在しており、それを「断層」と呼びます。

この断層、普段は上手く噛み合って接合している状態ですが、太平洋の海底にあるプレートが沈み込むことで圧力がかかり、徐々にその力は蓄積されていきます。

つまり、噛み合っている断層が圧力に耐えられなくなり、地下の岩盤が割れるように破壊された結果、直下型の地震を引き起こすのです。

「活断層」とは、こういった地震を繰り返してきた歴史のある断層で、言い換えれば「活動中の断層」と言い換えても良いかもしれません。

近所の活断層を調べられるツール

さて、活断層やプレートといったマクロな話では、自分の所有物件に対する危機感を実感できないのでかもしれません。そこで、非常に分かりやすく地震の可能性等を可視化できるツールをご紹介させていただきます。

どれも操作性や視認性がよく、一度使い始めるとあっという間に時間が過ぎてしまうような便利なものです。今回の話を機に自宅周辺の活断層を見てみると、より地震に対するイメージが湧きやすくなるでしょう。

地震ハザードステーション「J-SHIS」

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■出典:J-SHIS 地震ハザードステーション
http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/

国立研究開発法人である防災科学技術研究所が運営する「J-SHIS」。その中で最も使いやすい「J-SHIS Map」は、日本地図の上に内陸部の主な活断層の位置を表示してくれる上、その他の細かな活断層も表示することができます。

更に、表示された断層をクリックすると被災人口予想を表示できたり、地震発生確率を地図上に色分けして表示することもできます。

表示できるものは、画面左側の主要活断層帯、その他の活断層、海溝型地震震源断層、海溝型地震発生領域から簡単に切り替えが可能で、活断層の位置やプレートの位置を確認するには真っ先に使いたいツールです。

■防災科学技術研究所「J-SHIS」
http://www.j-shis.bosai.go.jp/

産業技術総合研究所「AIST」

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出典:活断層データベース 起震断層・活動セグメント検索GoogleMaps版(産総研地質調査総合センター)を使用し、編集部において画像を切り取ったものです。

国立研究開発法人の産業技術総合研究所が運営する産総研地質調査総合センターでは、地域の地震防災計画の資料としたり、地震学や地質学の研究等にも使えるデータとして、活断層の位置、1923年以降の地震による被害地域とその規模、直近2週間以内に起きたマグニチュード4以上の震源地表示、先ほどのJ-SHISのデータなどを一括して表示することができます。

他にも、西暦679年の筑紫地震以降の年表やその地震の位置も公開しており、活断層の知識を深めるのに役に立つのは間違いないでしょう。表示する地図はGoogleマップと地理院の地図から選択できるため、見やすいという点もポイントです。こちらも地震を知るために非常におすすめなツールです。

■産業技術総合研究所「AIST」
https://gbank.gsj.jp/activefault/index_gmap.html?search_no=j025&version_no=1&search_mode=1

まとめ

気象庁は南海トラフとの関連を「考えづらい」と発表していましたが、東日本大震災以降、何度か大地震が起こっている上に研究が行われていても今回のような「まさか」が起こりました。

どの活断層もプレートも地震が起こる可能性はゼロではありませんので、地震列島の日本においてどこで大きな地震が起こったとしても全く不思議ではないのです。

そういった事実に学ぶべきことは、「関連が無い」「可能性は低い」といった言葉を鵜呑みにするのではなく、日頃から自分の住む地域で地震が起きた時に備えて、今回ご紹介したツールを使ってシミュレーションしたり、防災用品を揃える事や、避難場所や経路などを定期的に確認しておくことなどが重要です。

そしてもう一つ、SNSやインターネットサイト等に溢れる情報を見た時、間違った情報に惑わされないように十分に注意する事。実はそれが一番重要なのかもしれません。

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