平成30年3月期 大手不動産5社決算ランキング&大和ハウスが絶好調な理由 | 不動産投資を考えるメディア

平成30年3月期 大手不動産5社決算ランキング&大和ハウスが絶好調な理由

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TOP5 大和ハウスが8期連続増益!大手不動産5社を上回る好業績の理由

平成30年3月の決算時期を迎え、各メディアで成績発表と言わんばかりに多くの企業の業績が取り上げられています。
当然、気になるのは不動産業界。

大手不動産5社の決算が出揃ったところで気になるその内容を調べていたところ、大和ハウス工業の業績が主要不動産5社を差し置いて絶好調である事が分かりました。
今回は、大手不動産会社5社の決算ランキングと共に、大和ハウス工業が絶好調な理由を探っていきたいと思います。

不動産大手5社の決算ランキング

まずは、大手不動産会社の平成30年3月期の決算から、売上高をランキングで見てみましょう。
※()内は前期増減率

1位「三井不動産株式会社」
売上高:1兆7511億円(2.7%)
営業利益:2459億円(5.7%)
経常利益:2403億円(9.4%)
最終利益:1558億円(18.3%)
2位「三菱地所株式会社」
売上高:1兆1940億円(6.1%)
営業利益:2130億円(10.7%)
経常利益:1905億円(12.2%)
最終利益:1204億円(17.3%)
3位「住友不動産株式会社」
売上高:9484億円(2.5%)
営業利益:2056億円(9.3%)
経常利益:1868億円(11.4%)
最終利益:1197億円(15.7%)
4位「東急不動産ホールディングス株式会社」
売上高:8661億円(7.1%)
営業利益:775億円(5.9%)
経常利益:686億円(8.0%)
最終利益:351億円(11.6%)
5位「野村不動産ホールディングス株式会社」
売上高:6237億円(9.5%)
営業利益:766億円(-0.8%)
経常利益:680億円(-1.3%)
最終利益:460億円(-2.1%)

野村不動産と東急不動産とでは、野村不動産が最終利益で100億円以上上回っていますが、前期増減率を重視してランキングを行いました。
増収増益となった企業が多く、いずれも都心での再開発事業が好調です。
野村不動産は建築コストの上昇や棚卸資産の評価損が影響した他、仲介事業の新規出店の経費等も嵩んで最終利益が大幅に減少することとなりました。

とはいえ、大手不動産会社5社ともに働き方改革などの影響を受け、そのオフィス需要からビル事業がポジティブな内容になっています。来年度決算においては、オフィス需要が緩むとの見方もあるため今後の不動産市場の動向が気になるところです。

実は大和ハウス工業がトップ!? 8期連続増益!

さて、大手不動産会社5社のランキングをご覧いただきましたが、それらを凌ぐ営業利益を叩き出す不動産会社があります。
それが今回のテーマの一つでもある「大和ハウス工業」。

今や不動産業界のみならず、知らない人はいないというほど成長した不動産会社ですが、平成30年3月期の決算を見てみましょう。

「大和ハウス工業株式会社」
売上高:3兆7959億円(8.1%)
営業利益:3471億円(11.9%)
経常利益:3445億円(14.7%)
最終利益:2363億円(17.2%)

不動産大手5社でトップだった三井不動産を大きく上回り、3兆円の売り上げを出しています。
しかも、8期連続の増益。

最終利益増減率こそ三井不動産が勝るものの、最終利益の額や8期連続増益という事実を見れば大和ハウス工業の好調さは語るまでもなく、更に平成31年度は4兆円の売り上げを見込んでいるというのですから驚きです。

売り上げを大きく伸ばしてきた大和ハウス工業ですが、一体、好調すぎる決算の背景には何があるのでしょうか。

現社長である芳井敬一氏は、今回の決算発表において今後訪れる消費税10%への増税に対して「土地施策をしっかり打って、施工の平準化で対応する」と語っています。
その発言を踏まえて、改めて大和ハウス工業の歴史や事業内容を見ていくと、単なるトリビアには留まらない急成長、好決算の理由が見えてきます。

大和ハウス工業は元々、倉庫事業から始まった会社だと言われていますが、創業者である石橋信夫氏は強力な台風でも折れることのない稲穂や竹を見て「パイプハウス」を考案しました。

これが、大和ハウス工業の最初の事業です。
パイプハウスは官公庁を中心とした事務所需要でヒットし、その後もプレハブ、アパート、ホテル、戸建てと事業を展開して現在に至ります。

そして「ヤマト」ではなく「ダイワ」としている理由は「大いなる和をもって経営にあたりたい」。
奈良県に始まった大和ハウス工業の社名はそんな思いが込められており、「ハウス」ではなく「ハウス工業」としたのも建物を工業化しようという創業理念の表れだと言います。

こうした大和ハウス工業の歴史や企業理念を見る限り、大和ハウス工業の決算が好調であるワケや大きく成長してきた理由として、他社とは違う信念や方針が根本にあるのではないかと思わせられます。

そこで、大和ハウス工業の話題をもう少し掘り下げ、最近の事業内容を見てみたいと思います。

大和ハウスを牽引する賃貸住宅事業

今回の決算発表において、大和ハウス工業は成長ドライバーを「賃貸住宅」「商業施設」「事業施設」であるとしています。
実際に決算の内容を見てみると、売り上げの約30%となる1兆308億円を賃貸住宅事業が稼ぎ出しており、事業施設が約20%となる8502億円、約15%の6208億円を商業施設が売り上げています。

「多角的な経営」が話題となることの多い大和ハウスですが、賃貸住宅事業の売り上げが突出して良いのは見てのとおり。
一体その理由は何なのでしょうか。

大和ハウスが展開する賃貸住宅ブランド「D-room」をご存知の方も多いかと思います。
1972年の「ダイワユニメント」というアパートから始まり、これまでに「プレジール」「トリヴァンベール」「セジュール」「ハイカムール」といったシリーズを発売し、常に最先端の技術とアイディアで賃貸住宅を提供してきました。
最近では「セジュールシリーズ」が2001年に発売され、大和ハウスのアパートとしては住宅街で最もよく見かけるアパートとなりました。

また、最近発売されたセジュールシリーズ「セジュール キューヴ-Ⅱ」「セジュールオッツ キューヴ-Ⅲ」。
「全室角部屋」を実現したアパートとして不動産メディアを中心に取り上げられました。
雁行型というのは、建物を真四角ではなく凹凸を持たせたり斜めに建てたもので、全ての部屋を角部屋にできるだけでなく、不整形地であっても土地を有効活用できるメリットを引き出せます。

更に別のニュースでは、大和ハウスが開発した高遮音床が、国土交通省による特別評価方法認定の最高ランク「等級5」を取得し、業界では初のことだと話題になりました。
これは、日本工業規格で決められた重量床衝撃音遮断性能の最高ランクよりも上。上階の歩く音や物を落とした時の音を1/3にまで低減するというのですから驚きです。

大和ハウスの代名詞「多角経営」

以上のような最近のニュースだけを見ても、外観や設備の良さだけでなく、性能やアイディアが評価されて売り上げを伸ばす結果になったのだろうという事が読み取れます。
しかし、気になるのは商業施設と同規模の売上を出している「その他の事業」。実はここにも大和ハウスという企業の妙味が隠されています。

大和ハウスではCSRへの取り組みとして「アスフカケツノ」を課題としています。
これは「安心安全」「スピードストック」「福祉」「環境」「健康」「通信」「農業」の頭文字を取ったもので、このアスフカケツノに大和ハウスの多角経営が凝縮されていると言っても過言ではありません。
事実、大和ハウスでは以下のような事業を展開しており、その内容がまた驚きです。

  • パーキング、カーシェアリング
  • ホテル事業
  • 有料老人ホーム
  • 都市開発
  • 医療、介護施設
  • 再生可能エネルギー事業
  • 緑化事業
  • 農業
  • 保険事業
  • 旅行事業
  • フィットネスクラブ
  • エステティックサロン
  • ホームセンター
  • ロボット事業
  • etc…

全てを挙げればキリがありませんが、まさかロボット開発まで行っているとは思ってもみなかったという方はきっと多いはず。
実際、工場で建築資材を生産して現場に持ち込むというお馴染みの工法は、安定して高品質な部材を生産できるだけでなく、竣工までの日数を短縮し、効率的な住宅供給に寄与しています。

そこに登場するのが、産業用ロボット。これにより、部材生産のコスト削減が実現します。
もちろん産業用ロボットだけがロボット事業なのではなく、介護事業に活用できる福祉機器としてロボットを導入した事業も行っています。

こうして見ると、経営の多角化もまた、大和ハウスを成長させてきた大きな要因だと言えるのではないでしょうか。
不動産業界で今もっとも時代を先行く大和ハウス工業。2055年までに売上を10兆円にまで伸ばすことが現在の目標なのだそうです。

まとめ

不動産バブルや不動産テック、そして投資手法や悪質な手口といった話題に終始しがちな不動産業界。
株式投資をされている方なら経験された事もあるかと思いますが、決算チェックだけでなく、創業の歴史や事業内容を細かく見てみると、今まで知らなかった企業の姿が見えてくるというのはよくある話です。

大和ハウス工業の手がける事業は、都心の開発に力を入れる主要不動産会社と比較すると、郊外の住宅供給が主戦場です。
しかし不動産事業だけに留まらず、多角的な経営で私たちの身近な存在であり続けてきた不動産会社として利益を伸ばしてきました。

近年では、大和ハウス意外にも多角的な経営を行う企業が多くなってきましたが、そもそもの発端は大和ハウスであるという向きもあります。
目を見張る成長を遂げた大和ハウス工業。今後の事業に期待したいところです。

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