巨額地面師事件が内部紛争に波及!?積水ハウス会長の座をめぐるクーデターとは? | 不動産投資を考えるメディア

巨額地面師事件が内部紛争に波及!?積水ハウス会長の座をめぐるクーデターとは?

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クーデターイメージ

昨年8月、積水ハウスが63億円とも言われる巨額資金を地面師に騙し取られたという事件があったのをご存知の方も多いかと思います。
未だに犯人逮捕に至らないこの事件は迷宮入りするのではないかと言われてもいますが、実はこの事件を発端に積水ハウス内で内部紛争が起こっていたという事が報道されています。
和田元会長、阿部元社長の間でクーデターが起こったと言われてもいますが、一体何が起きたのでしょうか。
今回は、事の発端となった地面師事件の概要から、会長交代劇に至るまでを解説させていただきたいと思います。

地面師事件の概要

事件が発覚したのは昨年8月。当然これより前から犯人は着々と行動を起こしていました。
SNSで拡散された登記情報によると、品川区にある海喜館(うみきかん)という古い旅館がある600坪の土地に対し、4月の時点で積水ハウスにより売買予約と所有権移転請求権の仮登記が行われました。
その後、6月1日には積水ハウスより売買価格の90%にあたる63億円の決済が行われますが、不思議なことに7月24日には土地所有者である実弟らによって相続による所有権移転が行われた上に、翌日25日には積水ハウスの所有権移転仮登記が抹消されています。
同登記簿にはその理由として「6月13日解除」とだけ記載されています。

そしてついに、8月2日に同社ホームページにて、63億円を支払った相手方と連絡が取れなくなったと発表があり、大きく報道される結果となりました。
時系列を見ると、6月1日の決済後から6月13日の所有権移転請求が解除される間に、当時の担当者らが騙されたと気付いたのだろうと推測できます。

事件発覚までの内部の様子が明らかに

事件発覚後、積水ハウスでは本件の調査対策委員会を設置し、事件の原因究明と再発防止策の協議を始めます。とはいえ、その後も事件解決に向かうような話題もなく、犯人は既に海外逃亡しているなどの噂が出る程度に留まっていました。

しかし、年が明けた1月24日。
突然、積水ハウスから「代表取締役の異動に関するお知らせ」が公表されました。内容は、和田会長が相談役取締役に就き、阿部社長が会長に昇格するというもの。
それについて、2月23日に日経新聞により内部で何が起こっていたのかということが報道されていますが、その内容を見ると、どうやら地面師事件に絡んで責任追及をしている間に内紛が起こり、会長交代劇にまで発展した様子が伺えます。

昨年設置された調査対策委員会が社内の聞き取り調査等を経て提出した報告書によると、事件当時、取引対象となった土地についての情報を積水ハウスが仕入れたのが3月のこと。
その時は社長であった阿部氏が4月に稟議書を通し、取引が進められていったと言います。
しかし、5月に入ってから土地の所有者と名乗る人物より「売買はしていない」「本件は別人による偽造である」との内容証明が届いていたにもかかわらず、積水ハウス側は単なる怪文書と判断していました。
更に、6月に入ってから本件の担当者が土地に入ろうとした際、警察に通報されて任意同行を求められたものの、それすら「何者かが妨害しようとしている」と判断するのみで、そのまま手続きを進めていったのです。

この報告書の内容から、当時の和田会長は阿部氏の責任が非常に重いと見て、取締役会にて退任を提案することになります。

クーデターとまで言われる会長交代劇

取締役会で行われた決議の席ついていたのは社内と社外の取締役11人。
和田会長から阿部社長の退任が提案されたため阿部社長は一旦席を離れますが、採決は5:5で分かれとなります。
その後、阿部社長の反撃が始まり、副社長を議長として和田会長の解任決議が行われます。
結果、6:4で和田会長の解任が決定したのです。

積水ハウスではこれまでにもお家騒動と言われる会長の座をめぐる暗闘が何度かありましたが、今回の騒動については、師弟関係とも言われた和田氏と阿部氏の間で起こったことから、和田氏は「事件のもみ消しを計るためのクーデターだ」とまで発言しています。
その証左とも言えるのが、和田氏は1月に阿部新会長による記者会見が行われるという報告を受けていなかったと証言しており、また、当時の阿部社長が昨年8月には副社長に対して社長になるよう打診していたという事について「あり得ない」とも言っています。
更には、和田相談役は会社名義の自宅から出ていくようにも言われているそうで、阿部会長と和田相談役の相当な不仲が見て取れます。

広報は会長解任を真っ向から否定

さて、報道各社による様々な話に対して、積水ハウスではどのような反応をしているのでしょうか。
事の発端となった事件から今回の会長交代劇に至るまでに、公式発表はあまり多く出ていませんが、1月24日の「代表取締役の異動に関するお知らせ」では、人事異動の理由を以下のように説明しています。

「世代交代を図り、激動する市場環境に対応できる新たなガバナンス体制を構築し、事業の継続的な成長を図ってまいります。」

引用:積水ハウス株式会社「代表取締役の異動に関するお知らせ」
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2018/01/24/20180124.pdf

今年3月には和田氏の取締役退任まで決定している上、「もう不要だ」と言わんばかりに略歴にもその名前が出てきていません。
そして2月20日には、日経新聞社による報道内容について以下のようなニュースリリースも出されています。

「本記事(報道内容)の一部には重大な事実誤認を含んでおりますのでお知らせいたします。前会長は解任という事実はなく、本人の意思による辞任で世代交代を決定したものです。」

引用:積水ハウス株式会社「代表者異動に関する一部報道について」
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/20/20180220.pdf

当然、和田氏が意図的に嘘をついているのだとしても、それに対して上記のような説明では到底株主も納得するわけもなく、広報の言う「新たなガバナンス体制」を語るには心許ないものと言えるかもしれません。

まとめ

テレビCMでも温和なイメージの積水ハウスですが、地面師事件を発端として実はこのような身内の争いがあったのかと驚く方もいらっしゃるかもしれません。
報道内容と広報のどちらが事実なのかを判断する立場ではありませんが、一つの事件が人の人生を狂わせ、トップの座が争われる事態にまで発展したことは事実です。
仮に1人でもこの事件で救われた人がいるのだとすれば、地面師によって所有権が積水ハウスに移ることを免れた、本来の所有者だと言えるのかもしれません。

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