拡大するディズニーランド。建設時ウラで動いた巨額資金と漁業権 | 不動産投資を考えるメディア

拡大するディズニーランド。建設時ウラで動いた巨額資金と漁業権

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ディズニーランドイメージ

東京ディズニーランドが、2020年に新アトラクションを建設することを表明し話題になっています。今回の開発については海への拡張はなく空いているエリアを利用する予定ですが、ディズニーランドはもともと海を埋め立てて建設されています。当時、埋め立てプロジェクトの裏では莫大な資金が動いたと言われています。それはどういった意味の資金だったのでしょうか。ディズニーランド建設時の裏側に迫ってみたいと思います。

ディズニーランド建設における埋め立て地

ディズニーランド建設にあたりディズニーランドの周りのホテル建設地などを含めると、約260万坪の海洋が埋め立てられています。海洋は近隣で漁業を営んでいる人たちの働き場所であり、埋め立てるということは、その人たちの仕事場を奪うことになるのです。埋め立てる際には巨額の資金が動いたと言われるこのプロジェクトですが、海洋の権利関係はどのような仕組みになっているのでしょうか。

海洋や河川の所有権はあるか?

埋め立て地には建物が建てられると住所が割り当てられます。そして土地建物とも一般の不動産として売買されます。しかし、埋め立てられる前の海に住所はありません。

不動産登記法を見ると42条で「土地が滅失した時は滅失の申請をしなければならない」という趣旨の条文があります。また、民法第86条において「土地およびその定着物は不動産とする」と謳っています。さらに河川法2条にて「河川の流水は、私権の目的となることができない」と定められています。

土地やそこに建てられているものは不動産と認められますが、海水や河川の表面は認められないということです。このことから海洋にはもとから所有権はなく、海洋の一部エリアが売買されたのではないということがわかります。では、漁業関係者に支払われたお金はどのような意味のものなのでしょう。

所有権はないが漁業権がある

土地が河川や海洋は個人の所有権は認められていませんが、海の場合、漁業権というものが存在します。漁業権とは漁師がその海洋で漁業をする権利のことを指します。漁業権は漁業協同組合(漁協)と漁業協同組合連合会(漁連)が受けられる権利になっています。水産庁のホームページでは、この権利は「一定の水面で特定の漁業を営む権利」という趣旨で解説されています。それぞれの組織に所属する人はその権利のもとで誰にも邪魔されずに漁業を行うことができるということです。

ディズニーランド建設予定地で漁業を行っていた人たちには、所有権ではなく漁業権が与えられていたということになります。ではその権利を売ったのでしょうか。

さらに法律をひも解くと、漁業法には漁業権を守る漁業補償というものが存在します。これは「なんらかの行為によって漁業に損害を与えた場合に行われる金銭的な補償」というものです。漁業関係者が受け取ったのは、権利を売買したものではなく、漁業ができなくなったための補償金ということになります。

こんなにいる漁業権放棄者たち

千葉県の埋め立て地はディズニーランドだけではありません。ディズニーランド周りの浦安市から東にかけて千葉県南部の沿岸はほぼ埋め立てられています。埋め立て地は川崎製鉄や新日本製鉄の工場が占めています。この埋め立てのために漁業権を放棄した組合数は33組合、組合員数は1万4,000人を超えています。テーマパークや工場を建設する際にそれだけの人の生活が奪われているということになります。

漁業権を放棄した人のその後

対価が支払われるからといって、全ての人が喜んで放棄しているわけではありません。今までの生活や収入が奪われるわけですから、すすんで放棄したいという人は少ないでしょう。

漁業権を放棄し、得られた資金で土地などを購入しうまく運用している人もいますが、全ての人が漁業を辞めて成功しているわけではありません。悪徳業者に騙されたり、知り合いに賭博に連れて行かれて、ほぼ貯蓄を食いつぶした人もいるとききます。人によっては少額の補償だった人もいるようです。

私たちが楽しんでいるテーマパークや、経済を担うもとになっている工業地帯が建設されたその裏側には、多くの漁業関係者の苦しみや悲しみがあるということを忘れないようにしたいと思います。

まとめ

「永遠に完成しない場所」とウォルトディズニーが言ったというディズニーランドは2020年から数年かけてリニューアルします。言葉通りその後も変わっていくことでしょう。東京ディズニーランドは今年で開園35年になるそうですが、いまだに来客数は増え続けているようです。しかし、この成功の裏には漁業産業の犠牲があるということも忘れてはならないでしょう。この相対関係が今後の日本にどのような影響をおよぼすのか興味深いところです。

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