女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の破たんと1億円の借金 | 不動産投資を考えるメディア

女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の破たんと1億円の借金

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かぼちゃの馬車のイメージ

2018年1月25日ニュース番組のワールドビジネスサテライトで、ある会社のニュースが流れました。「かぼちゃの馬車」という女性向けのシェアハウスを販売している会社が、30年間の家賃保証契約をしている家賃を今後一切支払わない、というものです。会社の名前はスマートデイズ。購入者のほとんどが1億円規模の借金をしているため問題は深刻です。果たして何が起きているのでしょうか。

「かぼちゃの馬車」トラブルの経緯

「かぼちゃの馬車」とはスマートデイズ社が販売する女性専用のシェアハウスのブランド名です。建築エリアは主に東京都、千葉県、神奈川県です。女性専用ということで色々と工夫はされてはいますが、物件により好き嫌いは出そうです。

平均的に1棟の総床面積は150㎡前後、約10室に分けられています。ただ、シェアハウスにありがちな大きなリビングやベランダはなく、テレビでシェアハウスのイメージを持っている人には物足りないのではないでしょうか。

スマートデイズは一般のサラリーマンを対象に不動産投資用の物件として「かぼちゃの馬車」を販売していました。1棟売りで価格帯は1億~3億くらいです。このスキームのポイントは30年のサブリース契約と金融機関の融資スキームです。

購入者は約700人、ほとんどの人が1億以上の融資を受けているということ、そして何よりほとんどの人がサブリース契約をしていたというのです。その家賃を一切振り込まない、いや振り込めなくなった、というのが今回の経緯です。

「かぼちゃの馬車」のサブリース契約とは

サブリース契約と言うと、数年前に話題になったアパート経営をめぐるサブリース問題を思いうかべる人もいるでしょう。オーナーからみるとサブリースは魅力的に見えますが、大きなデメリットも孕んでいる契約だということが露呈された事件でした。

スマートデイズ社の場合、購入者とサブリース契約をし毎月家賃保証をしていましたが、実態は毎月売上利益と銀行からの融資金で補てんする自転車操業だったようです。会社は銀行からの融資を受けなければ持ちこたえられなかったのです。

全室サブリース契約をし、さらに購入者に対しては家賃以上の収入を保証する形態でした。賃借人がついても差額は持ち出しになり、本来のサブリースの概念とはかけ離れたビジネスモデルだったと言えるでしょう。

サブリースは賃借人がいなければ管理会社にとってはとても大きなリスクです。しかし賃貸需要がある立地の物件であれば、入居者から手数料を多めにとれるメリットがあります。1部屋で通常の管理費の4倍くらいは取れますので、仮に1棟4部屋の小さめのアパートであれば、3部屋は空室でも1部屋サブリースの部屋に入居者が入れば満室時の管理費収入と同じ収入になる、というスキームが成り立ちます。

これは4部屋のうちの1部屋のみがサブリースで、他の3部屋は一般管理委託であることが条件です。部屋数に対しサブリース契約件数が25%を越えると事業リスクは格段に大きくなります。

スルガ銀行はなぜ融資を停止したのか

提携金融機関は不動産投資に積極的に融資を行うスルガ銀行でした。スルガ銀行がここにきて、スマートデイズへの融資をストップしたことが事の発端です。このことにより融資を受けられなくなったスマートデイズの事業は破たん、サブリース契約の家賃が支払えなくなったのです。

スルガ銀行は不動産投資に積極的に融資をすることで知られています。特にワンルームのマンション経営には積極的で、一般的には他行では借入できない属性の人にも融資をしています。

通常、借り入れできる上限額は、返済比率というものから割り出します。返済額が年収のおよそ25~30%が最大となり、それ以上は融資を受けられません。例えば年収1000万円の人であれば年間の返済額が250万円もしくは300万円が上限となりますので、それ以上になる場合は融資の対象にはなりません。返済額には対象不動産の返済とそれ以外の返済も全て含みますので、借り入れがあり、収入が少なければ融資はかなり厳しくなります。

しかしスルガ銀行は年収に対して50~60%位まで枠を広げることがあります。そこにはスルガ銀行独自のスキームが存在します。

不動産を購入する際は1割~2割の頭金を入れるのが一般的だという認識の人は多いと思います。実需と呼ばれる自分で住む不動産の場合は頭金を入れますが、投資用の不動産の場合、頭金を入れないケースが多分にあります。スルガ銀行は融資する案件ではほとんど物件価格の100%融資します。頭金がないという人でも不動産を購入できるのです。

すでに投資用の不動産を所有している場合は更に枠が広がります。既存の所有物件の家賃収入を年収に足して計算するスキームが存在するからです。このスキームが返済比率を大きく拡大させます。

また、スルガ銀行の金利は属性が良い投資家でも3.5%、一般のサラリーマンだと4%以上ということが少なくありません。仮に1億の借り入れで30年ローンを4%で組むと月々47万円の支払いになりますので、年収1000万円の人でも自宅の家賃を払いながらではきついでしょう。そういった意味でいうと、今回の「かぼちゃの馬車」の融資は何らかの独自スキームがあったことが予想されます。

ここで一つの疑問がわきます。

スマートデイズへの融資を打ち切ればサブリースは破たんし購入者が返済できなくなる、ということはわかっていたはずなのですが、なぜスルガ銀行は融資を打ち切ったのか、ということです。購入者もスルガ銀行から融資を受けているので、自行への返済が厳しくなる道をあえて選んだことになります。

ヒントはスルガ銀行が支店単位で決済権を持っていることにある、と見ています。ある支店では融資がつかないと言われている物件でも、他の支店では融資が実行できたということは良くあります。

そのような点からある仮説が導き出されます。「かぼちゃの馬車」案件の融資をある支店が独占的に行っていた。経営状況を見誤っていたが気付かずに融資を実行していたところ、他の支店、あるいは本店が気付き、状況のさらなる悪化を防止するために介入してきた。そのために今回のような規制がいきなりひかれたと考えるのが妥当なのではないでしょうか。

どちらにしろ、スマートデイズはもう家賃保証はしません。購入者の今後が心配されます。

まとめ

近年、サブリースをめぐるトラブルが続出しています。今回のように突然家賃保証をしなくなる、というケースは初めての事例ではありません。しかし、経験のない人たちは営業マンの話をうのみにして投資をしてしまいます。しかし、投資をするのなら管理会社や営業に任せきりにせず、自分で見極めていくことが要求されているのだと感じます。常にアンテナを張って情報収集をし、後悔しない投資をしましょう。

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