不動産屋が無くなる!? IT化の進む10年〜20年後の不動産業界とは | 不動産投資を考えるメディア

不動産屋が無くなる!? IT化の進む10年〜20年後の不動産業界とは

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高層ビル群とIT化のイメージ

これまでに、IT化の進む不動産業界の進化をご紹介させていただいた中で、ブロックチェーン技術によって今よりも公平かつ透明化された不動産業界になっていく可能性や、IT重説やVR内見などが普及すれば更にスマートな不動産流通が促進されるのではないかといったことをお話させていただきました。

今回ですが、2013年に発表されて大変な話題となった、オックスフォード大学が認定する「10~20年後に自動化される職業」について書かれた「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」という論文から、不動産業界の未来はどうなるのか考えてみたいと思います。

「雇用の未来」とはどのような論文なのか

2013年9月13日付で、オックスフォード大学の「マイケル・A・オズボーン准教授」と「カール・ベネディクト・フライ博士」の共著で発表されたのが、雇用の未来です。
副題として「HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?(コンピューター化がどのような仕事に影響するのか)」とされており、論文の趣旨はあくまで過去から現代までの職業がどのように変化してきたかを分析し、今後の職業の未来を真面目に考察する内容となっています。
本論文は、米国労働省で定められている702種類の職業の全てを分析し、約半分の職業がAIやロボットに取って代わられると結論付けています。
論文の最後にはコンピューター化される確率ごとの職業ランキングが掲載されていますが、店舗のレジやカウンター係、テレフォンオペレーター、事務系の職業、インフラ系の工事の労働者など、本当に様々な職業が9割以上の確率でオートメーション化されるとしています。
どういった理由かはわかりませんが、中にはモデルや左官業までが高い確率でオートメーション化される候補として挙げられています。
では、これらのリストの中で不動産業に関わるものはないのでしょうか。論文のリストを和訳してみると意外な事実が浮かび上がります。
以下は、全てGoogle翻訳での和訳となります。

  • 財産、不動産、およびコミュニティ協会マネージャー
  • 不動産販売代理店
  • 不動産ブローカー
  • 不動産の鑑定士と査定

これらは、近い将来コンピューター化される職業として、確率が80%以上のものとして紹介されていました。論文の元データがアメリカの職業からのものですので上記のままではピンとこないかもしれません。
そこで、それぞれがどのような職業なのか解説させていただきます。

アメリカの不動産関連業の中身

財産、不動産、およびコミュニティ協会マネージャー

この名前だけでは何のことか全く分からないかもしれませんが、まず「財産、不動産、およびコミュニティ協会マネージャー」という職業は、不動産の管理会社や管財会社のような職業を指します。
オーナーの所有する不動産のあらゆる管理を行いながら、価値を下げないためのアドバイスや運用状況の見直しの助言をしたり、入居者からの苦情処理や相談などまで行っています。

不動産販売代理店と不動産ブローカー

これらは似て非なるもので、「不動産販売代理店」とは会社に属する販売店ということですので、所謂マンション販売の受託業者のようなことを指すと考えられます。対する「不動産ブローカー」は、そのまま不動産仲介業、つまり一般にある不動産屋さんをイメージするとよいでしょう。

不動産の鑑定士と査定

これはその名前のとおり鑑定士による不動産査定を行う仕事ですので、日本で言う不動産鑑定士や買取販売を行う不動産会社と考えればよいでしょう。
このように、アメリカの職業を日本の不動産業界に当てはめてみると分かりやすいのですが、無くなるかもしれない職業として考えると、ふと疑問に思えることも出てきます。

不動産業界の仕事がIT化される理由

不動産業界においてもIT化の推進が叫ばれており、少しずつその兆しも現れてはいますが、IT化される可能性の高い職業とまで言えるのでしょうか。
ここで、一つの疑問が湧きます。
「アメリカの職業と日本の職業では仕組みも名前も違うし、当てはまらないのでは?」ということです。
以前に「日本と世界の不動産投資、不動産業界の違いについて調べてみた。」という記事にて、不動産会社という概念から所有権、税金の仕組みまでが日本とは違うと解説させていただきましたが、「不動産業」という括りだけで見ても答えは出ないかもしれません。
そこで、日本の不動産業界がどのような流れで成り立っているか紐解いてみると、確実にIT化できるものが多くあることに気付きます。
比較的業務量の少ない賃貸業務の流れで考えてみましょう。

物件探しから内見までVRで完結

まず最初に物件探しです。
これまでは、店頭の募集チラシを隅々まで見たり、複数のポータルサイトでアレコレと条件を変えてみたりと、色々と模索しながら物件を絞り込んでいく必要がありました。
これらは、やはり以前にご紹介させていただいたブロックチェーン技術により一発解決できる課題だと考えられます。物件情報や過去の取引履歴が全て確認できますし、VR内見や更なる情報処理技術が進めば、現地に出向かなくてもその良し悪しを判断することができるようになるかもしれません。
極論、物件探しから内見までのフェーズが、既にここで完結します。
不動産屋さんには問い合わせもしていませんし、訪れることもしていません。

不動産会社の仲介が不要になる

ここで、「その募集物件をインターネットで掲載するのは不動産会社ではないか」と反論の声が聞こえてきそうですが、それもやはり不要になる可能性があります。
もし、貸主が直接募集をかけられるシステムができたとしたらどうでしょうか。
事実、エージェント制(買主と売主の両方に別の担当者が付く制度)や、Yahoo!JAPANとソニー不動産が共同で運営する「おうちダイレクト」という、売主と買主の直接のマッチングを目的としたサービスも出始めています。
つまり、貸主(売主)が物件を掲載し、それらの中から借主(買主)が探すというごくシンプルな仕組みが流行り始めているのです。

契約や重要事項説明もIT技術で代替可能

先ほどもお話させていただきましたが、ブロックチェーン技術は何も仮想通貨だけのものではありません。
あらゆる情報を分散管理できるのがブロックチェーン技術の強みですので、当然ながら不動産の契約にまつわる情報も管理できます。つまり、ブロックチェーン技術を応用してスマートコントラクトという「契約事務の自動化」が進められれば、設定された契約条件と一致すれば契約できるという分かりやすい仕組みが出来上がるため、契約事務全般が不要になるのです。
IT重説も始まったばかりですが、今後ますます利用が加速するでしょうし、売買であれば、登記すら不要になるとまで言われています。

不動産管理まで自動化される

最後に、不動産管理についてですが、これらも人の手を煩わせることのないIT化が進んできています。
例えば、IoTによって建物のあらゆる部分がインターネットで繋がれば、設備の故障や異常を感知するだけでなく、事前の警告も可能になるでしょう。また、セキュリティに関しても生体認証や遠隔ロックなどのスマートロックが普及し始めていますし、防犯カメラの設置台数も年々増加傾向にあります。
更に、不動産の過去の契約状況や物件情報をブロックチェーン内で管理できるという事は、不動産鑑定士や不動産会社が一から全て調査して価格や家賃を決めるという必要が無く、AIなどによる公平な判断の下で適正な金額が算出できれば、いざ空室が出たとしても周辺相場などから自動的に家賃が設定されるなんてことも可能になるのです。

まとめ

不動産会社が無くなるなんて誰しも想像ができないかもしれません。事実、未だに街には不動産屋さんの看板があちこちに見られ、お客さんを乗せた不動産会社の車も多く見かけます。日本ではまだまだそれが一般的な不動産業界の姿なのです。
しかしながら、確実に不動産会社の業務は減ってきています。不動産事務ですら今まで電卓と手書きだった書類の多くが、ExcelやPDFでの管理が可能になったのですから今回のお話にあったような未来も十分に可能性として考えられる範囲なのです。
しかしながら、身体の不自由な方への補助や、やはり人から直接説明を聞きたいという顧客ニーズは無くならないでしょう。
だとするなら、人だからこそ生み出せるサービスへの付加価値を追求し、人間本来のニーズをいかに汲み取れるかという方向にシフトしていくことが、今後の不動産業界に求められることなのかもしれません。

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