市場の雰囲気を読み解く。2018年の不動産市場はどうなる? | 不動産投資を考えるメディア

市場の雰囲気を読み解く。2018年の不動産市場はどうなる?

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2018年 都市の風景

年明け早々から株価やJ-REIT指数が好調な滑り出しとなっており、2018年の不動産市場も快活であることを願うばかりですが、今年の市場全体を予測する記事はあまり多くありません。とはいえ、オフィス、商業関連、住宅、J-REITといったジャンル別に分析をする方はいらっしゃいます。
それぞれ様々な見解が示されているのですが、それらをまとめると2018年の不動産市場がどうなるのか、どうにも予測が難しいなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そういった様々な記事やデータから、投資家やアナリストがどのような見方をしていて、どう判断していくべきなのかまとめてみました。

J-REIT指数2000ポイントを超える日はいつ?

まずは、J-REIT指数をテクニカルに見た場合の簡単な予測をしてみたいと思います。
2017年のJ-REIT市場は、2016年からの上昇傾向がそのまま続くかと見られていましたが、以前から続く金融庁による毎月分配型の投資信託のあり方に対する厳しい姿勢を理由に資金の流出が増え、結局はダラダラとした動きに終始しました。7月から10月にかけては特に低調で、1620ポイントを割るかどうかといった展開にまで追い込まれていた状況です。
しかしながら、ここ最近でJ-REITに底打ち感という、買いのシグナルを送る記事を目にする機会が多くなりました。
その理由の一つとして、J-REIT指数のチャートが2017年の11月中に底を付け、その後は下げ渋っていることを見ている投資家の意見があります。

事実、同指数の日足の動きは2017年11月10日から同月15日まで1620ポイントを付けた後に反発し、11月21日には1700ポイントを一時的に突破しています。その後、調整が入りジリジリと下げつつも、12月に再度1700ポイントにトライ。上抜けには失敗していますが、1670ポイントを明確に割らないまま下げ渋っているのです。
本記事の執筆時点では、1700ポイントを上抜けたと考えられる動きをしており、いよいよ1900ポイントから2000ポイントという分厚い壁に再度トライするのではないかという風にも見えます。
但し、1700ポイント付近から上には抵抗となるラインが点在するため、基本的にはよほどの好材料が無ければ2000ポイントを超えるのは難しいのではないかと考えられます。
まずは、2017年8月の1720ポイント付近から1750ポイントの抵抗ライン、その後の1830ポイント付近の抵抗ラインを容易に抜ける力強さが必要と言えるでしょう。

オフィス市場予測は横ばいの見方が強い

続いて、実需面での動きはどのように見られているのでしょうか。
まず、都内のオフィス需要に対して見解を示す、みずほ証券の上級研究員である石澤卓志氏の意見は以下です。

  • 2018年以降のオフィス供給量は過去30年と比べても過剰とは言い難い
  • 建て替えが中心であるため実は純増床面積は少ない
  • 2018年竣工のビルも契約が済んでいる戸が多く、2019年竣工のものですら満室のものがある
  • 東京、札幌以外のビル供給量は低水準になる見込み
  • 一部で地価が上昇したのは確かだが、オフィス市場全体はさほど変わりはない

以上のようなことから、結果的にオフィス不動産市況は「横ばい」であるとの結論を出しています。つまり、2018年問題や不動産バブルの崩壊を懸念する声に対して「取り越し苦労」であると言っているのです。
更に、ニッセイ基礎研究所の不動産市場調査室長である竹内一雅氏は以下のように述べています。

  • 現在の不動産市況悪化の懸念は、これまでが好調であったため
  • 様々な要因があるが、大規模ビル満室のケースが目立つ
  • 2019年が2018年よりも供給量が少ないため、オフィス需要自体が急激に悪化することはない

同じく、これまでの動きからして急激な悪化もなければ、好材料となる明確な理由もないとの見解を示しています。
お二人ともにポイントを抑えたさすがの分析をされており、全面的にこれらの見解を参考としたいところ。結論的には2018年のオフィス市況は横ばいと言って良いのかもしれません。

住宅市場予測は横ばいか、やや鈍化

では最後に、個人売買に関わる不動産市況についても見てみましょう。

レインズが発表している中古マンション市場のデータを見ると、2016年に比べ2017年は低調であったことが分かります。
2016年1月の在庫数は4万戸弱だったのに対して2017年11月には約4万5千戸と増加しておりますが、成約数は3000~4000件ほどの間で変化のない横ばいが続いています。むしろ、前年同月比で見ると成約数は2017年初めから急激にダウンしており、内面的にはかなりの不調であったと言えます。
ただ、成約した㎡単価は2016年後半から続いた高値に張り付いたままの状態となっており、対して前年同月比で見た場合には2016年に比べてかなりの鈍化。いよいよマイナス圏へ突入するかという様相です。

では中古戸建はどうでしょうか。
こちらもレインズのデータを確認してみると、前年同月比の成約数が2017年1月から急激に伸びたものの、季節要因からかそのまま減少。8月には前年同月比マイナス10%ほどにまで減少しました。しかしながら、後半になって突然成約数が伸びており、中古マンションよりも中古戸建というシフトしたかのような動きが見られます。

新築の状況も見ておきましょう。
株式会社不動産経済研究所の公表している「首都圏マンション・建売市場動向」を見ると、首都圏の新築マンションの平均価格は2017年が始まって早々、前月よりも1000万円以上も高くなる異常な動きを見せていましたが、すぐに落ち着きを取り戻します。
再度7月に同程度の水準にまで平均価格が上がり、再度11月にかけて下がり続けたという動きでした。
ただ、そんな異常な動きに対して契約数は冷静です。
2017年には新築マンションの契約数は61%程度に留まり、その後も良いところ72%程度。10月には60%台まで減りますが11月に67%まで上昇しています。
蓋を開けてみれば、供給戸数も大幅に増えた、減ったということはないことが同データから分かりますので、価格だけが高値に張り付いた状態だったと言えるでしょう。これは中古マンション市場と同じ状態だともいえます。
併せて見ておきたいのが、株式会社東京カンテイの公表する新築一戸建て住宅平均価格の推移です。
結論としては例年どおりといったところで、季節要因による多少の価格差はあっても大幅な上昇下落というシーンもなく、これは首都圏だけでなく関西圏や福岡でも同じです。
マンション、戸建ての市場も、何らかの材料が出ない限りは特に大きな動きもないのではないかと考えられます。

2018年はJ-REITが市場を牽引する!?

さて、オフィス、住宅市場がほぼ横這いの結論となったのに対し、他に不動産市場に明るい話題となるものはないのでしょうか。
不動産市場に大きく影響する政策金利ですが、マイナス金利が2016年2月に導入されてから今に至るまで特に変更される様子はなく、2017年12月の日銀決定会合では「現状維持」という発表を行っています。更にクロトンこと黒田総裁の任期後は再任の可能性が高いという意見も多く、今後しばらくはマイナス金利が続くものと考えられます。マイナス金利は住宅ローン金利を下げる要因ともなりましたので、その点では個人に歓迎されているとも言えるかもしれません。
しかしながら、一部の業界では打撃となったのも事実。
都市銀行には特に大きな影響は出ていないようですが、地方銀行にとってはマイナス金利によりローン金利を下げてでも貸し出さざるを得ない状況である中で、アパートローンの貸し出しに歯止めをかけるかのような金融庁の動きもあり、二重苦三重苦のような状況が続いています。つまり、マイナス金利による今まで以上の個人への恩恵は望めなさそうです。

そこで最初のお話に戻ってJ-REITについてもう一度見てみると、少々面白い動きがあったことが分かります。
2016年からのJ-REIT市場の投資家の動きを見ると、外国人投資家による売買金額が約1年半ぶりに大幅に増え始めているのです。
実際のところ、2016年4月に外国人投資家のJ-REITへの投資額が622億円の買い越しとなっていたのを機に、しばらくは売り越しばかりが続いていました。しかしながら、2017年9月についに119億円の買い越しに転じ、その後10月に173億円、11月には354億円と倍増しています。
12月のデータはまだ出ていませんが、最初にお話しさせていただいたJ-REIT指数の動きを見る限りでは、外国人投資家以外も積極的な買いにシフトするのではないかと期待できます。
法人、個人、外国人投資家、証券会社という4者のうち、2017年11月まで売り越しが続いているのは法人と個人だけです。この2者が買いに転じたとしたならJ-REIT市場が活況に変わる可能性が十分に考えられます。

日銀による買い入れ介入も続けられる上に、今年度からGPIFによる不動産市場への資金流入があると考えられています。
もしかしたら、J-REITが不動産市況全体に良い影響を及ぼすのではないか、そんな展開を予測しています。

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まとめ

前年2017年後半ごろから、2018年以降の不動産市場を悲観する記事を多く見かけましたが、悲観するほどでもないという記事が出始めているのも事実です。実際にデータを見てみた限りでは何か大きな変化があったという事もなく、強いて言うのであればマンション市場の鈍化といった範囲です。
消費税増税が控える2019年に向けての駆け込みも予測されますが、早くても2018年後半だという見方が大半です。
今年1年も前年同様に、じっくり見極めた投資が求められる、そんな年になりそうです。

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