GPIF年金積立金が不動産投資を開始!?ニュース記事から読み解く巨額資金の行方と市場への影響 | 不動産投資を考えるメディア

GPIF年金積立金が不動産投資を開始!?ニュース記事から読み解く巨額資金の行方と市場への影響

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)

先日、少々面白いニュース記事を拝読しました。その内容とは「GPIFが不動産市場に参入する」というもの。
GPIFとは、年金積立金管理運用独立行政法人のことであるのは多くの人がご存知かと思いますが、これまで私たちの年金積立金は主に国内債券への運用に偏り、株式や海外の債券と株式などへの投資割合が低いとして世間からバッシングを受けることもありました。
ただ、そんな年金積立金のポートフォリオも徐々に変化してきており、いよいよ不動産市場にその巨額資金が流れ込むのではないかと見られているのです。
今回は、様々なニュースや記事から、2018年に始まると思われるGPIFの不動産投資について調べてみたいと思います。

GPIFが不動産に投資を始める?!

冒頭でも申し上げましたとおり、GPIFが今年2018年に不動産への投資を行う可能性が高まったと以前から報道されていましたが、あまり話題になることはありませんでした。
GPIFの運用資金は2017年時点で約157兆円あります。この運用資金は国内債券と株式に52.85%、海外債券と株式に38.05%、短期資産9.1%という割合で投資されていますが、GPIFが創設されたばかりのころは国内の債権と株式に9割以上の投資が行われていましたので、今では随分と分散されてきたという印象があります。
本題に戻しますが、GPIFはこれまでにオルタナティブ投資を行うことを検討してきましたが、昨年の平成29年12月19日、三菱UFJ信託銀行を介して国内不動産を中心としたファンドへ投資を始めると発表しました。
正確には、ジャパン・コア型の不動産運用を行う委託機関を決定したということなのですが、そもそもオルタナティブ投資やジャパン・コア型とは何でしょうか。

日頃から投資について学ばれている方であれば常識かもしれませんが、オルタナティブ投資は伝統的投資と呼ばれる株式、債券以外への投資、つまり「代替投資」という意味となります。オルタナティブ投資は更にヘッジファンドやベンチャーキャピタルへの投資を主としますが、もう一つ「不動産」への投資も含まれます。
今回GPIFではジャパン・コア型の不動産投資、つまり国内不動産から得られるインカムゲインを狙った投資を始めるための準備が整ったという事を発表しているわけですが、コア型とはそういった賃料収入を目的としたファンドであると考えていただければ差し支えありません。

では、GPIFが国内不動産を始めたとしたなら、市場にどのくらいの影響を及ぼすのか考えてみたいと思います。

GPIFが不動産投資市場に与える影響

まず、日本の不動産市場の大まかな規模を見てみましょう。
2017年までに不動産バブルだと言われ続けたマンション市場ですが、株式会社不動産経済研究所の公表しているデータによれば、2016年の分譲マンション発売戸数は約7.7万戸、平均価格が4560万円だとしています。つまり3.5兆円が分譲マンションの売買で動いていることになります。
また、一般社団法人である日本証券化協会によると、2017年11月のJ-REIT市場は59銘柄で時価総額約12兆だとしています。
他にも中古マンションや戸建住宅、商業用不動産といった市場も含めて不動産市場全体を見れば、その規模はもっと大きくなることは簡単に予測できます。

では、GPIFが不動産を投資対象とした時に、市場に与える影響を考えてみましょう。
先ほどもお伝えさせていただいたとおり、GPIFの運用資金額は約157兆円あります。しかしながら当然、その全てが不動産に回るわけではなく、オルタナティブ投資への運用は全体の5%という上限が決められてもいます。
対する日本の不動産投資市場の規模はどうかというと、昨今では主にJ-REITが不動産投資市場の柱となっていると言われており、それ以外を含めても国内不動産の投資市場は十数兆円規模であるとされるのが一般的です。

ここで既にお気付きかもしれませんが、日本の不動産投資市場に対して、もしGPIFの運用資金が流れ込んできたとしたら、相当なインパクトを与えることが容易に想像できます。
157兆円の運用資金の内の5%といったら約7.9兆円にもなるわけですから、その規模がいかに大きいものであるかが分かります。
2015年に安倍総理が打ち出したGDP300兆円の目標がありますが、その計画の一環として国交省が2016年に発表した「2020年を目途に不動産投資市場を30兆円規模にする」という目標があります。
現在の不動産投資市場の十数兆円という規模を30兆円にするという倍増計画。そこにGPIFの7.9兆円が参入するとなれば、倍増計画に大きく寄与することは間違いなさそうです。

具体的な運用先は?

さて、GPIFが決定したオルタナティブ投資の推進計画ですが、運用資金の5%をフルに活用するかは不明です。事実、2017年のオルタナティブ投資割合は0.1%に留まっているのが現状です。
ただ、今回のオルタナティブ投資の委託先を選定するまでの間に、GPIFでは「オルタナティブ運用室」という独立した課を設置し、また、運用リスク管理課を部署内から独立させて「運用リスク管理室」へ格上げするとしています。更に専門性を高めるために、投資、リスク管理の専門人材の採用を積極的に行う姿勢も見せており、これまで遠いと言われていた上限5%にかなり近づいた運用がされるのではないかと考えられます。

では、GPIFのオルタナティブ投資を受託した三菱UFJ信託銀行は、どのような投資を考えているのでしょうか。
元々、GPIFの不動産投資はFoF(ファンド・オブ・ファンズ)への投資としていましたので、不動産への直接投資はしないことは明確です。事実、現在はまだ具体的な内容は示されていませんが、三菱UFJ信託銀行のニュースリリースを見る限りでも、「不動産への直接投資ではなく、非上場不動産ファンドから適したものを選定する」としています。
また、それらを補足する情報として、日本経済新聞社の報道では「複数の私募ファンドを束ねる」「主にオフィスへの投資が対象となる」としています。

J-REITも、昨今になってオフィスなどの商業不動産以外への投資割合が多くなったと言われていますが、それでもJ-REITが所有している不動産の4割以上がオフィスだとされていますので、そこにGPIFの資金が投入されたとして、果たしてオフィスの過剰供給に繋がることはないのかというのが少々疑問です。
とはいえ、オフィスの需要も働き方の変化によりこれでとは違う活用も見受けられるようになってきましたので、変革の波に上手く乗ることができれば、これまで以上の運用実績も不可能ではないと言えるのかもしれません。

まとめ

GPIFのオルタナティブ投資が、2018年の不動産市場に一石投じることになるのかといったことは少々気になるところです。
先にも述べましたとおり、2017年は「不動産バブル」「空き家問題が深刻化」「2020年問題はどうなる」「低未利用地の活用」といったことなどが主な話題であったため、GPIFがオルタナティブ投資として不動産投資の公募を始めたという事はあまり話題になることはありませんでした。
もし上限額5%という巨額資金が不動産市場に流れ込むことになれば、不動産投資市場には大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
ただ、急激な変化は混乱を招きますので徐々にGPIFの資金が投入されていくのではないかと思われますが、どちらにせよ、2018年の不動産投資市場が活況の内に大団円を迎えられるように願うばかりです。

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