不動産業界で暗躍する地面師。直近の事件と騙されない為の方法とは? | 不動産投資を考えるメディア

不動産業界で暗躍する地面師。直近の事件と騙されない為の方法とは?

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不動産業界で暗躍する地面師。直近の事件と騙されない為の方法とは?

2017年を振り返ると不動産業界におけるニュースには様々なものがありました。
特に民法改正に関する話題は不動産業界だけでなく、飲食業界や金融業界などにおいても大変重要な法改正だとして、ニュースだけでなく、書店に専用コーナーが設置されるほどでしたが、不動産にまつわる話題はそれだけではありません。
各メディアでよく目にされた不動産関連のワードには「不動産バブル」「2020年問題」「低金利」などがありますが、その中には「地面師」というワードも含まれます。

地面師とは一般に不正な登記を行い土地の所有者になりすます詐欺師の事を指しますが、実はこの地面師による詐欺事件がここ数年で横行してきているというのをご存知でしょうか。
地面師なんて日本のバブル最盛期の頃のものだと、まるで都市伝説のように思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、今年は地面師に関する話題も多くありました。
2017年、地面師による事件にどのようなものがあったのかを振り返り、そして騙されない方法を考えてみましょう。

最も不動産業界をザワつかせた「積水ハウス63億円詐欺事件」

積水ハウスが地面師によって63億円を搾取されたニュースは記憶に新しいという方も多いでしょう。
事の発端は、五反田にある「海喜館」という古い旅館の建つ600坪の土地の売買を、とあるペーパーカンパニーが積水ハウスに持ち掛けたことから始まります。

事件の元となった土地の所有者はAさん(女性)でしたが、体調不良等により土地建物はほぼ放置状態となります。数年後、AさんからI社へ所有権の移転が行われ、I社から積水ハウスへ転売するという流れが組まれていましたが、積水ハウス側も以前から取引のあったI社から持ち込まれた案件であったため、信用して売買代金の9割にもなる63億円を支払ってしまったのです。
しかしAさんが死去したことにより、土地の所有権が正式に実弟へ相続登記されたため、積水ハウスは代金を支払っておきながら土地を取得できないという事態に陥ります。同時に、I社へ売買を持ち掛けた土地の所有者Aがなりすましの人物であったことが発覚したのです。

こういった、なりすましを使う手口は地面師の常套手段であり、そもそも本物件が以前から曰く付きであると言われていたにも関わらず、何故、降って湧いたような話に大手の会社が騙されてしまったのかと疑問視される声もありました。

後日、捜査関係者や各メディアの調べにより、なりすましのAが「他にも土地を欲しがっている者がいる」と言いながら、積水ハウスだけではなく他の不動産業者にも話を持ち込んでいたという事も分かりました。

12億円搾取された「アパ事件」

金額的な違いも要因となるかもしれませんが、2017年の地面師に関するニュースで積水ハウスの事件の次に取り上げられることが多かったのは、アパホテルが地面師により12億円搾取されたという事件でしょう。

東京赤坂にある、約120坪ほどの駐車場がこの事件の舞台となります。
アパホテルと言えば、レストランやマンションなど不動産事業を広く手掛ける元谷外志雄会長と、テレビでも見かけることの多い妻の芙美子社長で有名かと思いますが、2013年7月から8月にかけて、宮田康徳容疑者により持ち掛けられた赤坂の駐車場の土地をめぐる売買で、12億円の詐欺被害に遭っています。
やはりここでも、宮田康徳容疑者が用意した土地を相続したなりすましの所有者が現れます。
宮田康徳容疑者は、なりすましの所有者より物件を売却したいと意向を受けて手付金を支払っているとの話から、アパ側の仲介業者に売買の話を持ち掛けます。当然、依頼人はなりすましの土地の所有者ですから、そのような話が存在するわけもなく、とはいえ好立地の物件であることにアパ側も飛びついたと考えられます。
その後、銀行の会議室にて取引が行われることとなりますが、驚くことに、この取引には宮田康徳容疑者、不動産業者、アパ側の仲介業者、そして双方の司法書士と弁護士というメンバーが一堂に会しての取引であったというのです。
取引も無事に終えたと思っていたアパ側は後日、アパ側が法務局より「提出書類に偽造がある」との連絡を受けて事件が発覚したのでした。

そして2017年11月。この事件の主犯である宮田康徳容疑者と、これらに関わったとされる司法書士の亀野裕之容疑者が逮捕されます。

秘密裏に捜査が行われた「世田谷5億円詐欺事件」

さて、2017年11月にアパ事件の関係者が逮捕された直後でもある12月6日、町田市の不動産業者から5億円をだまし取ったとして北田文明容疑者を含む4名の男女が逮捕されました。
この事件は、元々NTTの寮があった土地をめぐるものですが、上記2つの事件と違い、なりすましが存在しません。
事件の経緯ですが、まず2015年4月に北田文明容疑者が町田の不動産業者にこの土地の売買を持ち掛けます。取引は北田文明容疑者が土地を一旦買い上げ、それを町田の不動産業者に転売するという流れが組まれていましたが、当然、北田文明容疑者には土地を買い上げる資金があるわけもなく、町田の不動産業者から売買代金5億円を搾取することに成功します。その取引のスピードは速く、「他にも買いたいと言う人がいる」という事で5月には売買決済を完了させていますが、実はこの事件にはアパ事件にもかかわっていた司法書士の亀野裕之容疑者の存在もあります。
その後、2017年11月8日にアパ事件に関する不正な登記をしたとして宮田康徳容疑者らが逮捕されますが、その中に亀野裕之容疑者もいたのです。宮田康徳容疑者らは11月29日には詐欺容疑で再逮捕されていますが、世田谷の事件においてもやはり亀野裕之容疑者が関わっており、どうやら一連の事件は、詐欺師集団による根深い暗躍がありそうだと感じます。

地面師の手口に共通点!?騙されない方法とは

2017年になり、上記にご紹介させていただいた以外にも、実は小さく報道されていた地面師グループの逮捕報道はいくつかありましたが、必ずと言っていいほど使われる手口として「取引を急かす」というものがあります。
積水ハウスの事件においても、最初になりすましの人物が別の不動産会社にも持ち込んだ際に「他にも買いたいという人がいる」と、競争を促すセリフがあったとされています。これは世田谷の事件も同じです。
アパの事件に関しては資金力の面から、急かされたところで問題ないという事もあったのでしょうが、どちらにしても決済を非常にスピーディに終わらせているところを見ると、やはりスピード感のある取引が促されたのだろうと考えられます。
詐欺を働くグループの多くは離合集散が得意だと言われており、つまり、詐欺を実行する際には見事な手口でサラリと相手を欺き、成功すれば即座に行方をくらますというのが常套手段です。

また、地面師が狙う土地には共通点があります。それは「建物がないこと」「抵当権等の第三者の権利が絡んでいないこと」「放置されているような物件であること」「高齢者が所有者であること」といったものです。
もし、そのような物件で、且つ立地も申し分ない物件の取引が突然持ち込まれたら少々警戒する必要があるかもしれません。

これらの点を踏まえて、地面師による詐欺に遭わないためには、以下のようなポイントで見分ける必要があると言えるでしょう。

  • 取引を不自然に急かすようなことを言われる
  • 該当の物件の所有権が何度も移転されていないか
  • 相手の仲介役の会社がペーパーカンパニーでないかどうか
  • 建物があるのに中を見させない、若しくはその土地に入らせない
  • 誰もが欲しがるはずの物件の売買を持ち込んだ経緯
  • 用意された書類が偽造でないか慎重に判断する

まとめ

地面師のニュースがここ最近多くなっているのは、東京オリンピックに向けた不動産需要が背景にあると言われています。事実、積水ハウスが騙されてしまった物件も、予てより多くのマンションデベロッパーや不動産業者の垂涎の的とされています。
何故今になって地面師の動きが活発なのかと聞かれれば、不動産取引が活発な時期だからこそ、どさくさ紛れに詐欺行為が行える環境が整っているとしか言いようがありませんが、司法書士や弁護士を目の前にして、臆することなく相手を欺く地面師の手口は恐ろしいものだとつくづく感じます。

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