【2019年 公示地価】全国的に21年ぶりの高価格!全エリアで土地価格上昇

20190323
不動産関連の話題として、その年の最初のイベントとも言える「2019年公示地価」が発表されました。

公示地価と言えば毎年恒例の「日本一高いあの土地」も気になるところですが、今年はそれだけでなく、全国的に前年より更に地価上昇が進んでおり、「不動産バブル継続」という結果になっています。

公示地価の発表概要や全国の土地価格にどのような変化が見られたか、不動産バブルの終焉の兆しはあるのか、引き続き好調に推移しているのか、他ではあまり語られない部分にも着目しましたので、ぜひご一読ください。

2019年公示地価の発表概要

今回発表された公示地価の概要について、最初にいくつかのポイントに絞ってご紹介します。

  • 全用途の全国平均が前年比1.2%上昇して、今年で4年連続である
  • 地方圏の住宅地平均が前年比0.2%上昇と27年ぶりの上昇率である
  • 全圏域の地価が上昇、改善しており、上昇基調が強まっている
  • 地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)の上昇率が引き続き高い水準である

「地方圏の住宅地の平均地価が27年ぶりの上昇率」というのが目を引くかと思いますが、実は全用途の全国平均地価も21年ぶりの高価格であり、実に1998年以来の水準になっています。

【全用途の全国平均地価】
1998年全国平均地価22万7300円
2019年全国平均地価22万4600円

国土交通省のまとめた資料によると、住宅地に関しては「低金利」「住宅取得支援政策」の下支えにより、かつ利便性の高い地域を中心に需要が堅調としています。

また、商業地については、昨年までと同様、外国人観光客による店舗やホテルなどの需要拡大、商業地の景気回復によるオフィス需要の拡大が地価上昇の背景にあるとしています。

ここまでは各メディアで報じられている内容とほぼ同じですが、データを見ていくともう一つ気になる事実があります。

それは、主要都市圏だけでなく地方圏も含めた全圏域で前年比を上回る変動率になっているという事です。

前年に比べて全圏域で土地価格が上昇・改善

公示地価は、「全国」「三大都市圏」「大阪圏」「地方圏」といったようにエリアを大きく分けたデータと、都道府県や市区町村で細かく分けたデータがあります。ここでは前者を「圏域」として解説します。

今回の公示地価と前年の公示地価を圏域別に比較したところ、「全圏域で前年よりも地価が上昇・改善している」ということが分かりました。

データ量が多いため全てはご紹介できませんが、「全用途」「住宅地」「商業地」の3つに絞って、各圏域の前年比の変動率をご紹介します。

【公示地価変動率の比較】
エリア用途地域2018年変動率2019年変動率
全国住宅0.30%0.60%
商業1.90%2.80%
全用途0.70%1.20%
三大都市圏住宅0.70%1.00%
商業3.90%5.10%
全用途1.50%2.00%
東京圏住宅1.00%1.30%
商業3.70%4.70%
全用途1.70%2.20%
大阪圏住宅0.10%0.30%
商業4.70%6.40%
全用途1.10%1.60%
名古屋圏住宅0.80%1.20%
商業3.30%4.70%
全用途1.40%2.10%
地方圏住宅-0.10%0.20%
商業0.50%1.00%
全用途0.00%0.40%
地方圏(地方四市)住宅3.30%4.40%
商業7.90%9.40%
全用途4.60%5.90%

全ての圏域で地価が上昇したこと自体は特に珍しくはなく、2013年や2016年にも全圏域で前年比を上回る地価となっていました。ただ、各年と比べると今年の上昇基調は強く、全体的に土地価格の上昇に弾みがついた印象です。

また、上記のデータでは「地方圏(その他)」が前年に続いて下落となっていますが、毎年5%前後の下落が続いてきた中で下落率が-0.2%まで改善していますので、十分ポジティブな結果と言えるでしょう。

もちろん、都道府県別、市区町村別で見ると前年比で下落した地域もありますが、全国的に地価上昇の圧力は強まっています。

詳細なエリアの上昇率などのデータは以下の国土交通省のサイトから確認できます。

■国土交通省「地価公示」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

気になるあの土地の価格と意外な上昇を見せた土地

ここまで2019年の公示地価の概要や圏域別の公示地価の状況を解説しましたが、やはり毎年恒例の「あの土地」の価格が気になる方は多いかと思います。

「あの土地」というのは、言うまでもなく東京都の山野楽器銀座本店がある「東京都中央区銀座4-5-6」の土地です。さっそく、山野楽器銀座本店の地価を2018年と2019年で比較してみましょう。

山野楽器銀座本店の地価
2018年2019年
1㎡=5550万円1㎡=5720万円

結果は昨年より約3.1%上昇となりました。

一般人には全く手が届かない非常に高額な土地であることに変わりありませんが、実は昨年は9.9%の上昇で、その前年は25.9%の上昇でした。

それまでも10%以上の上昇を続けてきましたので、山野楽器銀座本店の地価に限って言えば、上昇基調はかなり鈍化したと言えるでしょう。

それに対し、東京23区内のあるエリアで意外な地価上昇を見せた地域があります。まず東京23区における全用途の地価を見てみましょう。

23区平均上昇率6.5%
千代田区7.2%
中央区8.2%
港区7.8%
新宿区7.1%
文京区7.5%
台東区10.6%
墨田区7.0%
江東区6.9%
品川区6.5%
目黒区4.9%
大田区3.9%
世田谷区5.1%
渋谷区7.4%
中野区5.9%
杉並区5.2%
豊島区8.2%
北区7.9%
荒川区8.9%
板橋区5.5%
練馬区3.5%
足立区5.2%
葛飾区3.8%
江戸川区4.8%

23区の平均上昇率が6.5%なのに対し、台東区は10.6%と突出して高い上昇率を示しています。商業地の各上昇率は今回省略しますが、23区平均が7.7%の中、台東区だけが11%と高い上昇率になっています。

それもそのはず、東京圏に限定した公示地価の変動率上位3位を台東区の浅草エリアが独占しているのです。詳細は以下の通りです。

東京都台東区浅草1-1-234.7%上昇
東京都台東区浅草2-34-1124.9%上昇
東京都台東区西浅草2-13-1024.8%上昇

いずれも外国人観光客に人気の浅草エリアであることから、やはり今年も外国人観光客による店舗需要が旺盛であることがよくわかる結果です。

上記データは国土交通省の公示地価のページ「33商業地の変動率上位順位表(圏域別)」からダウンロード可能となっています。

■国土交通省「平成31年地価公示」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000251.html

現在の不動産市況は回復or高騰?

最後に、全国的に4年連続で上昇を続けている日本の土地が1991年以降に始まったバブル崩壊からの「回復」なのか、それとも異常な「高騰」なのかを考えてみたいと思います。

国土交通省が公表する公示地価は、昭和50年以降からのデータが見られるようになっています。同データの1991年の全国平均地価と2019年の全国平均地価を比較してみましょう。

用途地域1991年全国平均地価2019年全国平均地価1991年比の2019年の倍率
全用途59万4800円22万4600円0.38倍
住宅地30万6500円11万6900円0.38倍
商業地215万5200円55万6800円0.26倍

さすがに1991年当時ほど土地が高い状況とは言えず、各メディアでも「4割ほど戻した」と表現が多くなっています。

日本は不動産バブルだと言われていますので高騰と思われる人もいるかもしれませんが、実際にはまだ「回復」の段階なのです。

ただ、別の側面から見た時に、現在の地価上昇が「高騰」と感じる人もいることでしょう。

例えば、マイホームを必要とする一般消費者です。
地価の上昇は、当然ファミリー向け戸建住宅の価格にも影響しますが、2013年に三大都市圏で16万9300円だった住宅地の地価は、今回の発表で19万1500円に上昇しました。
その差は2万2200円で、仮に40坪程度のポピュラーな一戸建てを購入するとしたら、2013年に比べて土地価格が300万円ほど高くなったということです。

住宅ローンでマイホームを購入すると考えると、2013年なら3500万円で買えた一戸建てが現在は3800万円ですから、金利1.2%前後で住宅ローンを組むなら、毎月の返済額は1万円ほど高くなります。

ここ数年続いてきた地価の上昇は消費者目線からすると、単に「マイホームが購入しづらくなっただけ」でしかなく、もしかすると「収入が上がらないのに不動産だけが高騰している」とネガティブに捉える人も徐々に増えてくるかもしれません。

まとめ

公示地価の上昇は資産価値の上昇にも直結するため、各メディアは基本的に歓迎ムードになります。

ただ最後にご紹介したように、足元の経済が弱い中で土地価格だけが上昇したところで、果たしてそれが本当に喜んでよいものでしょうか。

土地だけでなく、不動産市場の影響が出やすいと言われるマンション価格も、都市圏に関しては数年前と比べて手が出しにくい水準になったと言われています。

日本の不動産バブルは国内需要より外国資本による影響が大きいとも言われていますが、確かに価格だけが上がり続ける土地に対し、人口減少、人手不足、改善しない所得と目標達成が難しいとされる物価上昇率などの様々なネガティブ要因を考えると、外国資本が逃げに回った時、3度目のバブル崩壊という憂き目に遭う可能性も否定はできません。

4.75/5 (4)

記事の平均評価