TATERU資料改ざん事件の詳細が判明!内部で起こっていた驚きの事実とは | 不動産投資を考えるメディア

TATERU資料改ざん事件の詳細が判明!内部で起こっていた驚きの事実とは

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20190113
昨年8月末、不動産テック会社としてはパイオニア的存在であるTATERU社が、スルガ銀行の事件に続いて資料改ざんを行っていた事実が発覚し、ニュースなどで大きな話題となりました。

不動産テック大手「TATERU事件」が各市場に波及【総まとめ】
不動産テック大手「TATERU事件」が各市場に波及【総まとめ】
スルガ銀行に続き、有名不動産テック企業である「株式会社TATERU」において大問題が発覚しました。既に各市場では混乱が起きるのではないか思わせ...

上記の記事でも2018年3月からやり取りを行っていた顧客の通帳残高をTATERUが改ざんしたという事実について触れていますが、どうやら資料改ざんはかなり前から恒常的に行われていたようです。その証拠となるのが、今回公表された「特別調査委員会による調査結果報告書」です。これはTATERU社が設置した第三者機関による調査委員会がまとめたものです。一体、TATERU社の中で何が起きていたのか。報告書から見えてくる資料改ざん事件の詳細と併せ、内部で起こっていた驚きの事実を解説していきます。

事件後のTATERU側の動き

先にお伝えした通り、事件が発覚したのは2018年8月末です。日経新聞社によりスクープされたこの事件は不動産業界だけでなく、様々な場所で拡散されて大きな話題となりました。当然、TATERU社の株価は暴落し、未だ回復の兆しは見えていません。事件後のTATERU社の動きは比較的迅速であり、発覚後1週間もしないうちに外部のアドバイザーなどをメインとした調査委員会を設置。更にその1週間半後には社内の業務フローやコンプライアンスの見直しを含めた再発防止策の策定などを行ってきました。その後は、決算発表の報告が行われるのみで調査進捗などは公表されてきませんでしたが、ついに2018年12月27日に調査委員会が作成した報告書を公表するに至りました。経済産業省が選定した「攻めのIT企業銘柄2018」にも選ばれていたTATERU社ですが、報告書に何が書かれていたのかを分かりやすくまとめてみました。

資料改ざんは積極的に行われていたことが発覚

報告書の内容を見ると、大変多くの事実が発覚したことが事細かに記されているため、全てをご紹介できません。今回は事件に深く関わる重要な部分のみを抜粋しましたのでご覧ください。

・資料改ざんは株式上場前の2010年頃から行われていた。
・資料改ざんは複数の事業所で行われていた。
・資料改ざんが発覚したことで金融機関との取引が停止になったこともあったが、1人の営業担当の不正行為として片付けていた
・改ざんした資料データは、証拠隠滅を目的としてパソコンなどから削除していた。
・改ざんは、主に営業部長と部長代理が画像編集ソフトを使用して預金残高を書き換えていた。
・複数の口座を持つ顧客に対しては、1つの口座の残高のコピーを取らせ、その口座残高を2つ目の口座に移動させた上で残高を増やし、その口座の残高を多く見せるという「口座間移動」という手口も発覚した。
・他人の預金通帳の残高が書かれたコピーを、顧客のエビデンスとして流用していた。

主要な部分だけ抜粋しても、これだけの事実が発覚しています。特に驚きなのは、資料改ざんは8年前から既に行われていたことであり、更には証拠隠滅の事実や部下を統括すべき責任者が積極的に資料改ざんを行っていたという事実です。複数の事業所で資料改ざんが行われていたようですが、TATERU社は東北から九州まで全国に支社を設立しているもののそこまで数は多いわけではなく、そう考えると規模が大きすぎてチェックしきれなかったという言い訳もできないでしょう。TATERUは何故このような不正を見逃し続けたのでしょうか。

営業活動の中に見られる問題点

TATERU社の中で行われていた不正が見逃され続けた理由は、報告書の内容を見ていると徐々に理解できてきます。明らかになった事実に加え、第三者機関の調査委員会がどのような点が問題だったとしているのかを見てみましょう。

【第一の問題点】
まず、報告書では第一の問題点として、顧客の資産状況と売買予定の物件との適合性を確認するルールがなかったとされています。つまり、資産的に考えて明らかに顧客に見合わない物件は売るべきではないという意識が低く、否応なしに売りつける習慣があったということです。その裏付けとなる顧客へ物件を売るまでの流れが調査報告書によると以下のように解説されています。
1.アパート経営に関心がある会員に、営業担当がパソコンやスマートフォンのチャットなどで連絡を取る
2.ニーズと属性に合わせた資料を作成して物件を紹介し、会員が購入の意思を見せたら購入申込書、収入証明などの書類を受け取る
3.営業部長が融資の申請書類を提出し,金融機関による審査が行われる
4.融資が承認されたあとに不動産売買契約等を行う。
5.営業担当は、上記一連の流れを社内システムで報告しつつ、社内の承認手続きを踏む

このように社内のチェック体制はほとんど無かったと言っても過言ではなく、強いて言えば、営業担当が社内のシステムで業務報告を行っているだけの状況だったのです。報告書では他にも問題点が指摘されていますが、要約したものをまとめると以下の通りです。

【第二の問題点】
融資の審査に必要となるエビデンスのコピーについて、顧客から提出された書類の信憑性を確認するために原本との照合を行っていないどころか、顧客から原本を受け取っていなかった。
【第三の問題点】
達成が困難だと考えられる販売目標を課し、それを必達とする厳しい社風があった。
【第四の問題点】
部下は上司の命令に絶対服従というような上下関係が存在していた。
【第五の問題点】
人格を否定するような発言や、目標未達成の場合に降格されるというパワハラにあたる行為があった。
【第六の問題点】
数年に渡って資料改ざんを行っていた事実から、そもそもコンプライアンス意識は欠落していると言わざるを得ない。

不動産テックという言葉が業界で使われるようになった頃には、既にコンプライアンスやパワハラという言葉も世間に認知され、その重要性が認められていたはずです。しかし、上記のような問題点が潜在的にあったということを考えると、時代に逆行するかのような運営体制であったと言わざるを得ないのかもしれません。

提示された再発防止策と上がらない株価

さて、驚くべき事実と続々と明らかになった問題点をご紹介しましたが、調査報告書では以下のような再発防止策と調査委員会からの提言が示されています。

【再発防止策】

1.業務フローの変更
営業部とは独立した「事務課」を新設して,融資関係書類、顧客から受けとった書類などを事務課で確認する。
2.契約適合性手続の厳格化
顧客の資産残高などと提案する物件の適合性について、事務課で厳格なチェックを行う。
3.業務モニタリング
事務課のチェック体制について、内部監査による抜き打ち検査を行う。
4.コンプライアンス遵守体制の見直し
コンプライアンスの重要性を継続的に発信し、コンプライアンス教育、研修体制の強化、見直しを行う。
5.内部通報制度の充実
内部通報制度を社内において改めて周知徹底し、その精度の改善と充実、活性化を図る。

【調査委員会からの提言】

1.企業風土改革
上司に対して率直に意見を言えない企業風土が不正行為を生む原因の一つであったと考えられるため、その改善が求められる。
2.コンプライアンス委員会の拡充
コンプライアンス委員会は付議事項や議論・決議されたことを具現化する方法を明確にする。また、その規程の整備や複数名の外部有識者をコンプライアンス委員に任命するなどして多様化を図りつつ、コンプライアンス委員会の開催頻度や開催時間を増やすなどが求められる。
3.コンプライアンス部の創設
コンプライアンス委員会の下部組織「コンプライアンス部」を創設し、コンプライアンス推進策の策定や全社からのコンプライアンス上必要な情報の収集・調査、コンプライアンス教育・研修の立案、年間スケジュールの策定・検証等などを行う必要がある。
4.業務執行に関わる社外取締役の選任・任命
役員の認識、監視、監督を強化するため、経営陣と利害関係のない社外取締役を選任、任命する。
5.ハラスメント防止委員会・窓口の活性化
営業成績が悪い場合に強い口調で叱責されることや人格を否定する発言がされていたことなどが今後怒らないように、ハラスメントの通報窓口の活性化を図り、ハラスメントに関する教育や研修を実施する必要がある。

挙げられた再発防止策や調査委員会からの提言は至極真っ当な意見と言えるでしょう。ただ、一時は2000円台を超えていた株価も、事件発覚後からは300円代前半の推移を続けています。一時株価が持ち直すような動きを見せることがあっても、それが継続的な株価の回復には至っておらず、株価と企業の体制が整うまでにはまだまだ時間がかかりそうな様子が伺えます。2019年は始まったばかりですが、今年一年でどこまで立て直せるのか。まだ、今回の事件に関わっていたとされる西京銀行の調査結果なども公表されていないことを考えると、TATERU社はしばらくの間、慎重な舵取りが求められそうです。

まとめ

TATERUの事件発覚後、金融庁は地銀の融資実態について調査を続けています。一部報道によると西京銀行は「当行は関係がない」との見解を示していましたが、振り返ってみると、スルガ銀行も事件発覚時は同じ見解を示していました。しかし、蓋を開けてみれば、次々と明らかになる不正のオンパレード。果たしてTATERU社だけの問題だけで済むのか、昨年から尾を引いている地銀への不信感が何かのキッカケで表面化するのか。不動産業界は気を抜けない時間がまだまだ続くのかもしれません。

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