【2018年上半期マンション動向】首都圏マンションの需要が低下の兆し | 不動産投資を考えるメディア

【2018年上半期マンション動向】首都圏マンションの需要が低下の兆し

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20180826

このところ、首都圏のマンション市況が芳しくありません。マンション市況が現れやすいと言われる中古マンションの売買動向について調べたところ、2018年上半期の中古マンションの成約数が明らかに細っているのです。

今回は2018年の中古マンション需要を前年や過去5年分のデ-タと比較しつつ、今後の動向について予測していきます。

明らかに低下している中古マンション需要

先日、SUUMOジャ-ナルが「株式会社不動産経済研究所の2018年7月度・首都圏マンション市場動向の調査内容によると、首都圏の新規マンションの発売戸数が前年同月比で12.8%減、前月比で12.3%増である」と報じました。

新規販売戸数が減ったというだけであればさほど気にする数字ではないかもしれませんが、同じく不動産経済研究所が公表している2015年7月以降の契約率の推移を確認してみると、毎年のアノマリ-どおりの動きはしているものの、全体的には若干元気がなさそうに見受けられます。

■参考:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション・建売市場動向2018年7月度」
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/340/N72S6366.pdf

もしかすると新築だけでなくマンション市況全体の需要が落ち込んでいるのではないかと考え、レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構)が公表する月例マ-ケットウオッチから中古マンションの売買状況を確認したところ、その思惑は大きく外れたものではないことが分かりました。

実際のデータとして、中古マンションの2018年1~7月までの成約率と在庫率をまとめました。

「中古マンション2018年成約率」
前年同月比 前月比
1月 -7.7% -12.3%
2月 -1.1% +29.6%
3月 +2.7% +11.5%
4月 +2.3% -15.2%
5月 -6.6% -14.0%
6月 -0.5% +19.1%
7月 -5.0% -5.4%
2018年1~7月平均 -2.3% +1.9%
2017年1~7月平均 +2.4% +2.0%
「中古マンション2018年在庫率」
前年同月比 前月比
1月 +5.8% +1.7%
2月 +7.4% +1.1%
3月 +7.8% -0.9%
4月 +7.8% -1.1%
5月 +8.2% -0.1%
6月 +8.5% +0.0%
7月 +8.1% +0.1%
2018年1~7月平均 +7.7% +0.1%
2017年1~7月平均 +4.0% -0.3%

2018年上半期の平均成約率はマイナス圏となっていますが、2017年の同期間の平均成約率が2.4%プラスですので明らかに2018年の成約率は落ち込んでいることが分かります。しかもデータの通り、3か月連続で前年同月比がマイナスとなっています。前月比の1~7月平均でこそプラスではありますが、前年と比べて特別良い数値でもありません。

ここから予測されるのは「在庫が増えているのではないか」ということ。これも上記データどおりではありますが、平均的に前年同期間よりも在庫率が上昇しており、売れ残りが増えてきている様子が窺えます。不動産バブルという言葉をよく聞くようになりましたが、少なからず2018年の中古マンション市場は活況とは言い難い状況と言えるでしょう。

過去5年間の中古マンション需要の推移

2018年と2017年の成約率と在庫数を比べてみました。確かに東京オリンピック開催が決まった2013年以降の中古マンション価格の伸びには目覚ましいものがありましたので、一見して不動産バブルと言いたくなる気持ちも分かります。当時の中古マンション価格の実際の動きを見てみましょう。

■首都圏 中古マンション㎡単価の推移

■出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報サマリーレポート2017年2月度」
http://www.reins.or.jp/trend/mw/2017.html

グラフの水色の棒線が中古マンション在庫の㎡単価です。2015年に40万円台であった㎡単価が同年中に50万円台に乗り、そのまま現在に至るまで56万円前後の高値圏で推移しています。言い換えればこれは、中古マンション価格の高止まりという状況です。

ではこれで不動産バブルと言えるのかというと、少々否定的な結論となります。成約㎡単価を見てみると全く伸びていないこともありませんが、在庫㎡単価に比べて良い伸び率とは言えません。つまり、思った価格どおりには「売れていない」のです。では中古マンションの成約率はどうなのかという疑問が湧きますので、上図と同期間における成約率のグラフも見てみましょう。

■首都圏 中古マンション件数の推移

■出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報サマリーレポート2017年2月度」
http://www.reins.or.jp/trend/mw/2017.html

グラフ底にある赤い棒線が成約件数、赤い折れ線が成約率です。各月で上下はするものの、決して「上がった」とは言えないものとなっています。

これらを見る限りで言えるのは、在庫物件数と価格が独り歩きして上がり続けたが、成約数はほとんど上がらなかったということ。「これが本当に不動産バブルなのか?」と思われて当然の動きですが、日本の不動産情報が集約されるレインズのデータであることを考えると、事実として受け止めざるを得ないでしょう。

なぜ低下した?2018年今後のマンション需要

さて、ここまでのお話をポイントでまとめてみたいと思います。

  • 新築マンションの契約率に鈍化の兆候
  • 2018年中の中古マンション成約率が明らかに低下
  • 同時に在庫数が増えている
  • 過去5年の価格と成約率の推移からして中古マンション市場はバブルとは言い難い

最初に前年と比べた成約率と在庫率について解説させていただきましたが、成約率の低下の様子は筆者の作成したグラフを見ていただくと分かりやすいかもしれません。

■前年同月比の推移(%)

「右肩下がり」という表現が適切かどうか分かりませんが、前年と前々年に比べて明らかに低下しています。そんな元気のない中古マンション需要ですが、理由は何なのでしょうか。ここで2つの仮説が考えられます。

1つ目は「手が出しづらい水準にまで価格が高騰した」ということ。前章で2015年以降の在庫㎡単価が上がっている事をグラフでご覧いただきましたが、46万円ほどだった在庫マンションの㎡単価が現在は56万円ほどを推移しています。100㎡のファミリータイプのマンション価格に直せば、1000万円もの差が出るということであり、仮に単身者用のマンションだとしても数百万円の違い。これでは当然買う気にならない人が出てきて当然と言えるでしょう。

そして2つ目は、首都圏マンション市場全体としての買い意欲が薄れてきたということです。これは、毎年の前月比の成約率平均の動きを見てみると多少の論拠になるかもしれません。

2013-2017マンション成約率前月比平均
2014年1~12月:+0.4%
2015年1~12月:+1.3%
2016年1~12月:+2.6%
2017年1~12月:+1.6%

3年連続で上昇してきた前月比平均が前年は1%ほど鈍化しました。そして、改めて今年と前年の前月比平均を見てみると以下の通りとなります。

2017-2018マンション成約率前月比平均
2017年1~7月平均:+2.0%
2018年1~7月平均:+1.9%

若干ではあるものの鈍化しています。となると8月以降の前月比の伸び率が重要となりますが、2013年以降の8~12月の前月比平均を見てみましょう。

2013-2017マンション成約率前月比平均
2013年8~12月:+1.5%
2014年8~12月:+1.5%
2015年8~12月:-1.3%
2016年8~12月:+0.5%
2017年8~12月:+0.9%

以上のように1%超、マイナス、1%未満という流れてきていますが、もし8月以降の前月比平均が全く伸びず0%だったとしたら、今年の前月比平均は0.2%未満ということになります。

仮に2013年や2014年のように1.5%伸びたところで、2018年全体の前月比平均は2%に及びません。つまり特段の明るい材料もない現状において、2018年の前月比平均は高確率で”低下”という結果で締められる可能性が高く、前年に比べると買い意欲は低下していると考えられるのです。

こういった数字だけを根拠にして不動産市場を予測するというのはナンセンスという意見もあるかもしれません。しかし、上記までの推測は、少なからず過去からの推移と今後の動きを予測、そして認識している不動産投資家は少なくないだろうと考えられます。

確かに消費税増税前の駆け込み需要という材料もありますが、ではその後も引き続き不動産バブルが続くかというと、懐疑的と言わざるを得ないでしょう。

まとめ

直近のデータと過去5年間の中古マンション市況を基に今後の中古マンション需要について考えてみました。結果的にこの先しばらくは中古マンション市場は冷え込むのではないかという結論となりましたが、当然、税制改正やファンダメンタル的なイベントなどが起これば市場が活発化される可能性はゼロではありません。ただ、特段の材料も見込めない上に、オリンピック需要も薄れてきたと言われる中で再び不動産バブルの勢いを取り戻すには、よほどの好材料がなければ右肩上がりにはならないだろうと予測されます。

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