トランクルーム投資にはリスクやデメリットも。これから始める方は要注意

コンテナイメージ

株式会社矢野経済研究所のレポートによると、国内の収納サービスは増加傾向にあり、2020年の市場規模は829億3000万円に達する見込みと発表しています。

近年はコンテナBOXやトランクルーム、貸倉庫といった看板を見かけることも多くなりましたが、トランクルーム投資の魅力として多くのメディアでは以下のようなメリットが紹介されています。

  • 高利回り
  • 初期費用が少ない
  • 管理の手間がない

今後ますます市場拡大が見込まれるトランクルーム投資ですが、今からでも優良な投資先となるのでしょうか。今回はメリットにスポットが当てられがちなトランクルーム投資について、客観的な視点で分析していきます。

「利回りが高い」に飛びついてはいけない

トランクルーム投資において最も多く語られるのが「利回りが高い」というメリット。そこで東京都における賃料について、平均坪単価を賃貸住宅とトランクルームで比較してみましょう。

以下は総務省統計局の「小売物価統計調査」の民営家賃と有名3社の屋内・屋外のトランクルーム1坪(2帖)の料金です。

屋内トランクルームプライベートBOX(ビルインタイプ)平均18,478円
スペースプラス浅草橋16,700円
ハローストレージ高島平パート113,160円
コンテナタイププライベートBOX(2Lサイズ/1.13坪)平均14,000円
スペースプラス谷原(2階)11,000円
ハローストレージ世田谷パート321,760円(管理費込み)
小売物価統計調査による民営家賃
(東京都の平均)
7,321円

一般の賃貸住宅と比べて、トランクルームの単価は2倍ほど違いがあります。エリアや駅からの距離、セキュリティ等により単価に差が出るのは当然ながら、賃貸住宅よりトランクルームの坪単価が高いのは事実です。

では、東京で50坪(165㎡)程度の土地を持っていると仮定した時の、一般的なアパートとトランクルームを比較してみましょう。

 1Kアパートトランクルーム
室数8戸1基4ルーム × 8基 = 32ルーム
※コンテナは20ftを想定
1室賃料8万円1万6,000円
月収入64万円51万2,000円
年間収入768万円614万円

賃貸物件なら1部屋でも月数万円の収益になりますが、トランクルームは1室1~2万円ほど。もちろん土地の形状により置けるコンテナ数が増えれば収益も上がりますが、数を増やしても借り手が付かなければ意味がありません。

コンテナ数を増やしたところで、そのまま収益に直結するとは限らないのです。利回りの高さに気を取られて、トランクルーム経営も「事業」であることを忘れてはいけません。

「市場規模の拡大」はリスクにもなり得る

年100億円もの規模で拡大するトランクルーム市場を考えると、狙い目の投資先と考えたくなる気持ちは分かります。

しかし、市場が拡大するということは、現在の「賃貸市場と同様のリスクを抱える可能性」があるということです。現在の賃貸市場は主に3つのリスクが懸念されています。

  • 賃貸住宅の供給過多
  • 人口減少と高齢化
  • 東京一極集中による地方の過疎化

現在の不動産業界で問題視されている空き家増加は、賃貸住宅の過剰供給や個人投資家の増加、そして少子高齢化などが主な原因ですが、これらは賃貸物件に限った話ではありません。

優良な投資先と分かれば、投資家が集まります。投資する人が増えれば、当然ライバルも増えます。もし、トランクルームが供給過多になり、近所に安いトランクルームができたら、ただでさえ1室の収益が大事なトランクルーム投資において大きなリスクになります。

トランクルームは長期契約になりやすいと言われますが、もし顧客離れが始まったら早急の対策が必要です。これらは借り手が見つかりづらいと言われるトランクルーム投資ならではのリスクでもあるのです。

「場所を選ばない」わけではない

トランクルーム投資には「整形地でなくても良い」「住宅と違って場所は選ばない」といったメリットもあります。確かに家を建てるわけではありませんので、土地が四角形である必要はないでしょう。

しかしながら、トランクルームを利用したいと思ってもらうためには、不整形地でも問題ないとは言い切れません。なぜなら、不整形地のトランクルーム経営は以下のような可能性があるためです。

  • 設置するコンテナの数が少なくなる
  • 物を運び入れる車の出入りができない(しにくい)
  • そもそもコンテナの搬入車が入れない

また、トランクルームがうまく設置できないほど歪んだ土地だと無駄にスペースが空いてしまったり、トランクルーム利用者の中には車で荷物を運ぶケースも少なくないため、広めの道路に面している必要もあります。

立地についても用途制限によりトランクルームを設置できない場合があります。例えば、第一種、第二種低層住居専用地域では、住居や学校などの一部公共施設しか建てられません。お店や遊戯施設といった収益目的の建物は建てられないのです。市街化調整区域に至っては、その土地に元々住んでいる農家の方しか建物が建てられない場合がほとんどです。

よって、不整形地が理由で周辺相場より安い土地があったとしても、「トランクルームとして活用しよう!」と安易に購入を考えるべきではないでしょう。トランクルーム経営の「場所を選ばない」というメリットを「どこ

でも良い」と捉えるべきではなく、収益性はもちろんですが、立地や土地形状もある程度の考慮が必要なのです。

「管理費用が安く手間も少ない」は本当なのか

トランクルーム投資は単に「物を置く」だけではありません。一般の賃貸経営と同じように、最低限の管理も求められます。例えば、湿気や温度変化に注意が必要な物を収納する需要も多く、そういった需要に対応するならトランクルームの空調管理は必須です。当然それらの設備や管理費は少なからず必要になるでしょう。

また、他人の物を収納するトランクルームという点で考えると、防犯やセキュリティ面での対策も重要です。防犯カメラの設置はもちろん、入退室の管理や扉、シャッター等も強固なものにする必要があります。通常のシリンダーキーでは、不安に思うユーザーに敬遠されてしまうでしょう。最低でもピッキングや破壊に強いディンプルやカードキーは検討したいところです。

では、トランクルーム経営において具体的にどのような設備や管理、セキュリティ対策が望まれるのか、主なものを挙げてみましょう。

  • 空調や換気の設備
  • 防犯カメラの設置
  • 警備会社との提携
  • 高セキュリティの鍵
  • 盗難や火災時の補償

大抵の場合、貸しコンテナの会社と契約して管理を任せるケースがほとんどです。そうすると、賃貸物件同様に管理費がかかります。かといって、自主管理は現実的ではありません。物を置くスペースを貸す以上、他人の物を預かっているにも等しい責任が求められます。

自然劣化や盗難リスクと向き合いつつ、湿度や温度の管理体制、そして強固なセキュリティと保守管理が必要なのがトランクルーム経営です。人が住むものではないとはいえ、定期的なメンテナンスや利用料、管理費などランニングコストもかかります。

やはり「トランクルームは管理費用が安く手間も少ない」と安易に考えるべきではないと言えるでしょう。

まとめ

トランクルーム投資はメリットばかりが語られがちですが、ご紹介したようなリスクやデメリットも少なからずあります。賃貸住宅と同じく「買って貸すだけではない」のです。しかしながら、修繕費用やクリーニング費、余計な住人トラブルなどのコストやリスクが低いのは大きなメリットと言えます。その点では「放っておいても儲かる投資」になる可能性はあるでしょう。

今後、トランクルーム市場が更に拡大するにつれて投資する人が増えれば、競合リスクも高まります。メリット・デメリット、そしてキャッシュフローやリスク等をしっかり把握し、管理が必要なのは、一般の不動産投資とさほど変わらないと言えるのではないでしょうか。

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