不動産投資としての「レンタルスペース」はどんなビジネスモデルなのか

投資方法

20190316
これまで空き家や不人気の不動産には「シェアハウス」や「民泊」という活用方法が有効とされていました。

しかし、シェアハウスはスマートデイズ事件を始めとして、管理会社の怠慢や入居者同士のトラブルなどが数多く報道され、某テレビ番組のイメージとはかけ離れた現状からシェアハウス人気は急激に落ち込みました。

また、民泊は急激な人気の高まりからトラブルが頻発した後、厳しい法規制もあり、現在では既に飽和状態と言われています。

「やはり不動産は住居としての活用方法しかないのか」と思われるかも知れませんが、実は、住居以外の不動産活用方法として昨今「レンタルスペース」がブームになりつつあります。

今回は、レンタルスペースとは一体何か、そしてどのようなビジネスモデルなのかを詳しく解説します。

売却しようにも損が出るとか、不動産投資を始めたは良いが入居者が決まらないといった悩みを抱えたオーナー様にも参考になる話ですので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

新ビジネスとして注目のレンタルスペースとは?

レンタルスペースとは、主に多目的利用が可能な時間単位で貸し出す不動産のことを指します。レンタルスペースには様々な用途やジャンルで分かれていますが、主に以下のようなものが挙げられます。

  • レンタルオフィス
  • 会議や研修室
  • キッチンスタジオ
  • オフ会や女子会
  • 撮影やロケスタジオ
  • ダンス/音楽スタジオ
  • フィットネススタジオ
  • 個展や展示会
  • 各種パーティー
  • 1日カフェオーナー/1日店長

不動産の種類により使用できるジャンルが限られることもありますが、上記のように様々な用途で活用されていることが分かります。

中には自宅やカラオケルームなどで行えるものもありますが、「自宅を汚されたくない」「利用する店舗の制限に縛られたくない」「仲間内だけの空間にしたい」などの事情を考えると、自宅や既存の店舗を利用するよりレンタルスペースの方が好都合なケースも多いようです。

また、女子会など女性がメインターゲットであれば、プライベートスペースで他者に聞かれたくないことも話しやすいというメリットもあることから、女性のレンタルスペース需要は高いと言われています。

レンタルスペース投資のメリット・デメリット

では、レンタルスペースを不動産投資の面で見た場合のメリットやデメリットを考えてみましょう。

≪メリット≫
  • 時間当たりの利用料となるため収益性が高い
  • 市場自体が発展途上のため伸び代が大きい
  • 住居の賃貸経営より事業要素が強いため参入障壁が低い
  • 収益性が築年数に左右されづらい
  • 最低限のリフォームで済むため低コスト
  • 「家賃」ではなく「料金」のため価格変更が行いやすい
  • 年齢や性別、国籍などの制限が不要なため利用者の幅が広がる
≪デメリット≫
  • レンタルスペースとして利用可能な物件が少ない
  • 立地条件が住居よりも厳しい
  • 時間貸しのため収入額が常に不安定
  • 清掃や鍵の受け渡し、予約管理などの手間が多い
  • 事業が利用者の満足度や口コミに影響されやすい
  • 融資を利用しにくい可能性がある

昨今の働き方改革も一因となり、フリーランスとして働く人や小規模のサテライトオフィスも増えていることから、ビジネス面での需要を見込めるのは大きなメリットと言えます。

また、インターネットを通じて知り合った人が集まるオフ会やワークショップの開催、SNSが普及したことで人が直接会わずに知り合いを作る機会が増えました。そういった今の時代だからこそ成り立つビジネスがレンタルスペースなのです。

逆にデメリットとしては、一定の収入を維持するには駅から数分のエリアという厳しい立地条件が求められるため、物件探しが容易ではないことが挙げられます。

毎月安定した家賃収入が得られる住居と違って不安定という欠点もあることから、一般の賃貸事業に比べて個人が民間の金融機関から融資を受けて始めるにはハードルが高くなります。

レンタルスペースビジネスの始め方と売上を伸ばすポイント

続いてレンタルスペースビジネスの始め方ですが、実はレンタルスペースビジネスには「賃貸経営の始め方」のような一定の取引慣行がありません。

よって、ここでは一般的なテナント事業の始め方に沿って、レンタルスペース事業に必要と考えられる準備や費用、売り上げを伸ばすポイントなどをご紹介します。

どのジャンルでレンタルスペースを始めるか

ビジネスとなるとマーケティングが重要ですが、開業する場所や規模、ターゲットの年代や性別といった利用者目線に立ったペルソナを意識しつつ、テーマやコンセプトを考える必要があります。

例えば、女性に人気のおしゃれな街で始めるなら、テーブルを1つ2つ置いて女性会やママ会などを想定した作りにしても良いでしょうし、オフィス街周辺なら貸し会議室やレンタルオフィスなどの需要が見込めるでしょう。料理が得意ならキッチンスタジオを始めるのも一案です。

コンセプトやテーマ、事業内容を決めることはマーケティング目的だけでなく、賃貸物件を借りる際に物件オーナーに事業内容を説明しやすくするためにも、十分に考えておく必要があるでしょう。

レンタルスペースとして利用可能な物件を探す

レンタルスペースを始めるにあたっては「物件探し」が一番困難なポイントと言えるでしょう。不動産を所有していなければ、まず「物件を購入して始める」か「賃貸物件の転貸で始める」という2つの選択肢になります。

利用目的が住居ではないため、主に倉庫やテナント、事務所などから物件を探すことになりますが、転貸の場合はレンタルスペースの認知度が低いこともあり、テナントオーナーから契約を断られる可能性もあります。

また、リフォーム代や改装費を浮かせるために開業するレンタルスペースのコンセプトに近い内装の居抜き物件を見つけることも重要です。

例えば、元々ダンススタジオだった物件なら大きな音量も許容されるため新たに防音対策せずにパーティルームや楽器練習スタジオとして利用できますし、以前が居酒屋やレストランなら水回りの改装をせずキッチンスペースとして利用できる可能性もあります。

マンションでもレンタルスペースとして利用可能な場合もありますが、ほとんどのマンションが居住目的以外の利用を管理規約で禁止しているため、あまり期待しない方がいいでしょう。

コンセプトやテーマに沿ったリフォームと必要設備と備品購入

内装の費用は、レンタルスペースのコンセプトや広さによりピンキリです。

一般的なリフォーム相場を基準にして考えると、水回りだけ、またはフローリングだけのリフォームなら100万円以内、全面改装となると最低でも300万円、場合によって500~800万円と高額になるケースもあります。

また、必要な設備や備品もレンタルスペースのコンセプトにより異なります。

例えば、パーティルームならDVDプレイヤーやオーディオ機器、モニター、照明器具、ゲーム機等があったほうが利用者に喜ばれますし、オフィス系ならWi-Fiやホワイトボード、プロジェクターなどが必須になります。
その他、キッチンスタジオなどは清潔感が求められますし、人によっては「立地より内装が大事」という意見もあります。

レンタルスペースは場所の提供が主目的となるため、費用に余裕がない場合は必ずしも設備や備品が新品である必要はありません。中古品でも十分事足りる場合が多いため、後々の運営のためにもスタート費用をかけすぎない方が賢明と言えるでしょう。

ポータルサイトを存分に活用して売り上げアップ

改装や備品の用意まで完了したら、いよいよ運営開始となります。普通の賃貸経営ではありませんのでお客さんを呼び込まないといけませんが、幸いなことにレンタルスペースを紹介するポータルサイトが既にいくつか存在しています。

≪SPACEMARKET≫
レンタルオフィスや会議、音楽スタジオ、ロケスタジオ、パーティールームなど豊富なジャンルが揃う。宿泊以外のレンタルで30%、宿泊レンタルで10%の成果報酬がかかる。
SPACEMARKET公式サイト

≪Spacee≫
貸し会議室とスタジオの掲載が多い。一定額の成功報酬型で掲載や登録料は無料。(料率は案件により異なる)
Spacee公式サイト

どちらもレンタルスペースの有名ポータルサイトですので、利用しない手はありません。

また、レンタルスペースのデメリットである「運営の手間がかかる」点は「SPACE MOLE」の運営代行サービスを利用することで解消できます。

≪SPACE MOLE≫
利用料金の設定から相談でき、広告掲載や予約管理、清掃代行、利用客対応などもすべて任せられる。手数料は成約料10%とSPACEMARKETの掲載料30%となる。
SPACE MOLE公式サイト

仮に1時間1000円での時間貸しで1日に3時間ずつ2~3回転できるとすれば、単純計算で月18~28万円ほどの収益が得られます。

そこから40%をポータルサイトなどへ支払ったとしても、月11~17万円の売上となります。年間にすると100~200万円の売上となりますので、一般の賃貸経営と比べると収益性は非常に高いことが分かります。

1LDKをパーティルームにして成功した事例

では最後に、実際のレンタルスペースの成功事例をご紹介します。

先にご紹介したSPACE MOLEの事例ですが、江東区にある「MOLE門前仲町」という物件が70万円を売り上げる成功事例として紹介されており、手数料を差し引いても40万円がオーナーの取り分になっているとのこと。

確認したところ、MOLE門前仲町の広さが18坪ほどなのに対し、同程度の築年数の周辺家賃相場が坪単価1万円前後ですので、高収益を実現している事例ということがよくわかります。

■参考:《民泊から時間貸しへ》不動産投資としてのレンタルスペースの運用ノウハウ

室内はキッチンダイニングとリビングで2階と3階に分けられています。リビングはおしゃれな内装が施されており、逆にダイニングとキッチンはシンプルにまとめられています。

3階リビングにはソファー、テーブル、テレビ、加湿機、エアコン、DVDプレイヤー、ゲーム機、ホットプレート、タコ焼き機など、飽きさせない備品が揃っています。

2階のキッチンダイニングはテーブルが置かれているだけのシンプルな空間ですが、冷蔵庫はもちろん、ガスコンロやおしゃれな食器、豊富な調理器具が揃っており、食材さえ買ってくればすぐにパーティができるようになっています。

利用料金は時間当たり1000円からとなっており、利用者と物件オーナーの双方にとってコスパや満足度の高い物件と言えるでしょう。

■参考:MOLE門前仲町

まとめ

レンタルスペース市場はまだまだ発展途上です。そのため、成功するためのコツや法的なルールにも未知の部分が多いのが現状です。

ただ、不動産ビジネスとして成長期の市場であることを考えると、大きな売り上げを実現するにはオーナーの工夫やアイディアが必要不可欠であり、あとは行動力やマーケティング次第と言えるでしょう。

ユーザーの満足度を高めることで一般の賃貸物件の数倍の売り上げを実現できるのは、まさにレンタルスペースの妙味と言えるのではないでしょうか。

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