初期投資ゼロの不動産経営。「個人の転貸ビジネス」は可能なのか? | 不動産投資を考えるメディア

初期投資ゼロの不動産経営。「個人の転貸ビジネス」は可能なのか?

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ビルのイメージ(グレー)

数年前からAirbnbを中心とした民泊ビジネスが新たな投資法として大いに話題になっていますが、法の整備も今一歩で、様々なトラブルや地域規制などもあって不動産投資初心者の方の入り口としてはハードルが高いイメージが払拭されません。事実、Airbnbに関して調べていくと、「違法な転貸(てんたい)」というワードをよく目にします。
そもそも不動産を所有している人であっても、ホテルや旅館の業務経験がなければ、その運営方法からまずは悩むことも多いのではないでしょうか。

ところで先日、「わざわざ不動産を購入しなくても、家賃を上乗せして他の人に自分の借りた部屋を貸せばいいのでは?」という質問をいただきました。
確かに、それが可能であれば自身で大きなお金を用意して投資しなくてもよさそうですが、果たしてAirbnbのような宿泊目的以外の転貸ビジネス(又貸し)を、個人が合法的に展開することは可能なのでしょうか。
そこで、不動産投資という側面において、個人の転貸ビジネスは可能なのかを考えてみたいと思います。

転貸可能物件は初期投資ゼロで高利回り!?

もし転貸可能な物件があったとしたら、高利回りの高いキャッシュフローを得ることができるでしょう。つまり、個人で行う転貸ビジネスが可能なのだとすれば、不動産を購入する必要がありませんから、初期投資ゼロでビジネスを開始できるかもしれないのです。

ただし、それは「転貸可能な物件があれば」の話であり、「初期投資ゼロでもリスクはゼロにはならない」という事を肝に銘じる必要があります。

仮に転貸可能な物件があったとしたら、オーナーとの自分の間で賃貸契約を結び、更にその物件を別の人に貸すということになります。つまり「サブリース」と同じ状況になりますので、空室となった場合の家賃は自身で負担しなければいけないリスクが付きまとうことになります。

転貸人となる自分が入居者を責任もって探すという約束の下で、空家の時にはお互いに痛み分けということで収入をゼロとする契約も交渉により可能かもしれませんが、オーナーにとっても転貸人となる自分にとってもリスクが大きいため、あまり一般的ではありません。

実際、筆者個人の知り合いである小さな会社の経営者は、不動産会社と交渉を重ねてマンション一棟を借り上げ、その全ての部屋に知り合いや、知り合いの知り合い、そして自分の会社の従業員を住まわせるという計画でビジネスを始めましたが、家賃滞納や近所とのトラブルが絶えず、結果的に物件オーナーにまで苦情が波及したために契約が打ち切られるという事がありました。

このように、不動産オーナーは上記のようなリスクを負ってまで物件を運用しようとは思わないでしょうし、わざわざ個人と転貸借を許可する契約を結ばずとも、信頼できる不動産管理会社を見つけてサブリースに回した方がリスクを抑えられる上に安定した家賃収入を見込めます。

個人が転貸を可能とする契約を結ばない文化は、以上のような理由を考えると当然と言えば当然と言えるのかもしれません。

転貸ビジネスの実情

では、実際に転貸ビジネスが可能な物件は存在しないのでしょうか?

実は、全く無いわけではありませんが、街中の不動産屋さんに訪れたとしても断り前提の回答しか得られないでしょうし、良くても「もしあったら後日ご連絡します」と後回しにされることの方が多いようです。
そこで、現代の不動投資における最強のツールとも言うべきインターネットで探してみると、意外にも転貸可能な物件は見つかります。

例えば、あらゆる物の売買やメンバー募集など、個人法人問わずに取引ができるポータルサイト「ジモティ」では、不動産売買や賃貸の情報も多く掲載されていますが、全国版で「転貸」「又貸し」と検索してみると、転貸可能な賃貸物件がヒットします。

また、昨今人気の「DIY可能物件」ですが、入居者の決まらない古い物件などを中心として個人のカスタマイズが可能な賃貸物件であるため一定のニーズが見込めますが、中には、リフォーム後に転貸が可能な物件も存在します。同時に事務所利用が可能であったりしますので、リノベーションという初期費用はかかるものの、比較的に少ない投資で利回りの良い転貸ビジネスが可能になるかもしれません。

実際のところ、供給過多と言われている賃貸業界においてこういったニーズは高まっていくものと考えられますが、その物件数は少なく、個人が負うにしてはリスクが大きいことは変わりありませんので、資金に余裕がある方の趣味を兼ねたビジネスという見方もできるかもしれません。

転貸ビジネスのリスクは重い

さて、個人による転貸ビジネスも全く不可能という事はなさそうですが、もし転貸ビジネスを始めてみようと思ったとしても、リスクが多いことは忘れてはいけません。

例えば、転借人の「家賃滞納」や「室内の破損汚損」といったことが挙げられます。
一般的な賃貸物件であれば賃貸人と賃借人の間で契約が取り交わされますが、その内容には修繕費用についての細かな約束も盛り込まれています。ほとんどの場合、自然損耗以外の破損汚損の修繕については、賃借人が費用負担をするという内容になりますが、転貸借の場合、転借人ではなく賃借人にその義務が課せられる可能性があります。
民法613条に以下のような条文があります。

(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

引用:e-Gov「民法」
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089&openerCode=1#2238

つまり、基本的には転借人の家賃や修繕費用を賃貸人が請求することも可能ですし、賃貸人が賃借人にその権利を行使することも可能ですので、転借人に問題があった場合は転貸人である自分がリスクを負う可能性があります。

また、リスクとは少し違いますが、転貸借の場合は節税効果がほとんど見込めません。
通常の賃貸の場合は、減価償却費はもちろん、ローンの支払いもありませんし、固定資産税の納付も必要ありません。転借人に書類を送ったり、直接会いに行く交通費などくらいは経費にできるかもしれませんが、転貸ビジネスを個人で行うには、それを事業としているかどうかを証明する必要があると考えられます。どちらにせよ、経費として計上できるものが非常に少ないと言えます。

また、転貸の目的が住居と認められれば家賃収入に消費税はかかりませんが、目的のはっきりしない転貸借の場合、消費税が課せられる可能性があるため注意が必要です。

転貸ビジネスを始めるのであれば、賃貸人と転借人との板挟みの状態で運営していかなければいけないこともまた、肝に銘じておく必要がありそうです。

まとめ

最終的には個人による転貸ビジネスは難しいのではないかと思わせる結論となりましたが、実際には、ビルテナントを改装して転貸するという事業を行っている会社も数多く存在します。
しかしそれは、法人が行う事業という信頼があってこそ成立するものだと言えますし、個人でテナント改装後の転貸ビジネスを行うにしても、オーナーから見ると信用だけでなく、万一の際の補償が受けられるかどうかといったところを真っ先に気にするでしょう。
そもそも、法律上では「賃貸人の了承を得られれば転貸可能」としていますし、転貸可能な物件は皆無ではありませんが、リスクの多い転貸ビジネスは、Airbnbを含めてまだまだ黎明期の中にあるのかもしれません。

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