懸念されるタワーマンションのデメリット。有識者・専門家の見解は? | 不動産投資を考えるメディア

懸念されるタワーマンションのデメリット。有識者・専門家の見解は?

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タワーマンションのイメージ

高級志向や投資家の間で絶大な人気を誇るタワーマンション。低層階でも都内にタワーマンションを所有しているというだけで、それ自体が一つのステータスというのがこれまでの日本での常識でした。ただ、ここ最近タワーマンションについて少々ネガティブなニュースや記事を見かける機会が多くなったように思います。

タワーマンションの懸念について語るのは、主にジャーナリストやフリーライターです。時には作家という肩書の方までがタワーマンションの行方について書き綴っている記事を見かけます。一体彼らは今後のタワーマンションについてどのように考えているのでしょうか。今回は、有識者や専門家の考えているタワーマンションの懸念点をまとめてみました。

需給バランスが崩れる日本のマンション事情

まずタワーマンションの定義から確認したいところですが、正確に法的な根拠や定義付けはされていません。一般的には高さ60m以上か、20階を超えるものを超高層マンションとすることが多いため、それを一つの基準として考えると良いかもしれません。不動産経済研究所の発表しているデータによると、首都圏でタワーマンションの増減数は以下のようになっています。

2000年 31棟 約7千700戸
2003年 57棟 約1万5000戸(約100%増)
2007年 74棟 約2万3000戸(約50%増)
2014年 24棟 約5千600戸(約75%減)

■参考:株式会社 不動産経済研究所「全国超高層マンション市場動向」

今後の計画予定の統計を見ると2019年以降に再度増え始め、2021年には「60棟3万6000戸」を超えるとしています。累計で言うと首都圏だけでも「2017年以降に186棟で約8万戸」、全国で「285棟10万戸以上」が計画・竣工予定です。

これらはあくまで今後の竣工や計画されるタワーマンションの棟数と戸数。国交省で公表している平成28年時点の「マンションストック戸数633.5万戸」という事実、そして分譲予定の低中層マンションと上記のタワーマンションの戸数等を考えると本当に必要な建物なのか疑問に思えてきます。

仮にここから建て替えや解体が必要になる戸数を差し引いたしても、国交省によると旧耐震基準の建物は約104万戸とされており、建築技術の向上によりマンションの寿命が70年前後に延びてきていると言われていることも考えると、ストックばかりが増え、需給バランスが崩れていくことは容易に想像できます。

タワーマンションの何が懸念されているのか

では、需給バランスについては仮に目をつぶることができたとして、実際にタワーマンションを購入することに不安はないのでしょうか?

冒頭でも申し上げた通り、タワーマンションの購入は社会的なステータスとして認められている節が強いのは間違いありません。他にも高い資産価値や以前までは節税効果といったメリットを享受できたことから、高所得者層や外国人投資家がこぞって買い漁ってきた印象があります。

しかし、将来を見据えた時に果たしてそれらが本当に資産価値のあるものとして残るのか。昨今のタワーマンションの懸念や警鐘を鳴らす記事が増えたのは、上記までの事実を考えると納得です。では、専門家らは具体的にどのようなことを語っているのでしょうか。それぞれの記事を読む限り以下3点に要約されます。

  • 節税のメリットはもはや望めない
  • 高層階ほど安全性や耐久性に疑問が残る
  • 修繕費の高さと戸数の多さなどから大規模修繕が難しい

まずタワーマンションの節税効果について、これまでは高層階ほど実勢価格と税法上の評価額の差から節税効果があるとされていました。ただ2018年以降から税法上の評価額も実勢価格に近付けるべく、高層階は増税、低層階は減税という変更があって節税効果は薄くなりました。

また、高層階ほど災害時の避難が難しいという点は大変重要です。タワーマンションには非常用エレベーターの設置が義務付けられています。しかし、ただでさえ毎朝エレベーター渋滞を起こすことで有名なタワーマンションで、それが緊急時に有効に働くかどうかには疑問が残ります。火災発生時にはスプリンクラーなどの室内設備に頼るほかなく、地上からの消防活動は期待できません。

さらにタワーマンションは、一般的な分譲マンションと違って修繕費が確実に高額になります。高い場所の外壁やその他特殊設備などの修繕費は、通常のマンションと比べて高額になるのは当然です。同時にゲストルームやラウンジ、プールやジムといった通常のマンションにはない施設・設備も、全て住人負担で管理、修繕されることになります。

上記のような理由があるからこそ、優越感を得るためにタワーマンションを購入するのは危険だとする専門家・有識者の方が多いのです。とりわけ修繕関連については今後の最重要課題と言えるでしょう。

建て替えや大規模修繕は高齢化により困難を極める

ここで一つ、タワーマンションを郊外の大型分譲地の戸建に置き換えて考えてみましょう。数十棟以上の新築戸建を売り出す大規模分譲地。時には分譲数が100棟以上になることもあります。新築を購入するのは30代や40代といった核家族の世帯が多いのは言うまでもありませんが、仮にその分譲地が30年、40年と経過していった場合どうなるでしょうか。

分譲地全体の高齢化は確実に進み、終の棲家として建て替えもせず、売りにも出されない戸建が数多く立ち並ぶことになるでしょう。この現象、実はタワーマンションにもそのまま当てはめられます。

中低層階であれば販売戸数も多く、一般世帯でも手の届く価格で購入できます。つまり、中低層階には竣工と同時に同じ世代の人々が入居するということです。しかし100戸、1000戸という規模のタワーマンションが老朽化して建て替えが必要になった時、果たして十分な修繕積立金があると断言できるでしょうか。そもそも管理組合での話し合いも滞りなく完了して、大規模修繕や建て替えができるでしょうか。

これがタワーマンションにおける入居者の高齢化問題。タワーマンションだけではありませんが、マンションというのはそもそも「大規模修繕や建て替えができずに放置されるリスク」があるのです。

事実、昨年2017年に話題となった築60年超えの「四谷コーポラス」という25戸の老朽化マンションの建て替えは、2006年から話し合いが始まり、実に10年もの歳月をかけてようやく建て替えが決定しました。建て替え決定まで長くかかった理由は、修繕積立金とは別に必要になる費用の問題や「生きている間だけマンションがあればよい」とする高齢者の反対意見などがあったためです。

タワーマンションの建て替えまでの話し合いの難しさは四谷コーポラスに限らず、老朽化マンションの恒常的な課題だと言われています。もし所有者に高齢者や外国人投資家が多くて話し合いができず、更に売り逃げでもされれば、建て替えはもちろん大規模修繕ですら危うい状況になるのです。

伝えられてきたメリットの信憑性を今一度考える

タワーマンションの必要性ついては実は政府も見直し始めているという話もありますが、そもそもタワーマンションを購入するメリットとは何でしょうか?タワーマンションについて述べるコラムの多くは、以下をメリットとすることが多いです。

  • 展望が良い
  • 虫が入らない
  • 日照が確保される
  • 共用施設が豪華

上記のメリットと前述までの将来的な懸念と比べて、上記のメリットは本当に必要でしょうか。投資としてのメリットを否定するつもりはありませんが、今後建設されるタワーマンションの将来的を考えた時、いずれ国全体で対策が必要になるという事は頭の片隅に置いておいたほうがよいと言えるでしょう。

有識者・専門家の見解をご紹介

それでは、最後にこれまでに解説したタワマンの懸念について、各メディアの有識者や専門家などが述べている驚きの見解をいくつかご紹介します。

タワマンの未来については悲観的にならざるをえません。維持管理費用が多額にかかり、戸数が多いので意思決定も難しい。私なら「高く売れるうちに、早めに売ったほうがいい」と考えます。タワマンを売っている不動産業界の人は、これまで述べたような懸念がわかっているので、自分ではタワマンを買わない人が多いと聞いたことがあります。

■引用:【宮路幸人税理士】税理士ドットコム 本当の恐怖は20年後…憧れのタワマンは「時限爆弾」 マンション管理士が警鐘(前編)

最悪のシナリオは複数存在する。大規模修繕に伴う追加費用の要請を嫌がり、所有者が退去、住民減少に伴って修繕費が捻出できなくなるパターン。「自分が生きている間、タワマンが保てばいい」と判断した高齢者や投資目的の中国人所有者が、管理組合で修繕反対論を唱え、収拾がつかなくなるケース――といったところだ。

■引用:【デイリー新潮】タワーマンションは30年後にスラム化で社会問題に発展「国交省幹部」の懸念

「タワマンの場合、高層であるため足場を組んで修理ができない。屋上から吊り下げるゴンドラを使っての修理となるため、強風が吹くと工事ができないなどで修理期間が通常のマンションよりも長くかかることなので工事費がかさむ。初期に建てられたタワマンとして話題になった埼玉県川口市にある『エルザタワー55』(1998年完成、55階建て、650戸)では昨年までに第1回目の長期修繕を終わったが、12億円掛かったという。幸い、この費用居住者の積立金で賄えたが、十数年後の2回目の大規模修繕はより多くの費用が掛かるため、修繕積立金を値上げしなければならなくなるだろう。その前に出ていく居住者もいるだろうし、資金の確保が難しくなる可能性がある」

■引用:【富士通総研経済研究所 米山秀隆 主席研究員】WEDGE Infinity マンションの老朽化問題、いずれ爆発する「時限爆弾」

やはり、将来的な修繕費や住人の高齢化、そして外国人投資家らの影響で大規模修繕も建て替えもできなくなるというシナリオに懸念を示す内容が多くあります。本来であれば「将来のことなので必ずしもそうなるとは限りません」と締めたいところですが、人も建物も必ず老いていくのは事実です。

いざその時がくるのを避ける抜本的な解決策がない中、私たちができるのは「それが本当に将来に渡って資産となるものか」を落ち着いて考えることだと言えるでしょう。

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