本当に必要?温泉付きマンションと5つの「〇〇付きマンション」 | 不動産投資を考えるメディア

本当に必要?温泉付きマンションと5つの「〇〇付きマンション」

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温泉イメージ

過去、温泉付きマンションが大きな話題となったのを覚えていらっしゃる方も多いはず。現在も中古マンション市場で当時話題になった温泉付きマンションが売りに出されているのかと思いきや、その数はあまり多くありません。一体、温泉付きマンションブームはどこに行ってしまったのでしょうか。

近年では、温泉付きマンションに取って代わって、様々な施設を備えたタワーマンションなどが注目されることがありますが、果たして「〇〇付きマンション」は買って正解なのでしょうか。今回は、過去に問題になった温泉付きマンションの経緯とその後、そして本当に必要な「○○付きマンション」について考えてみたいと思います。

温泉付きマンションの温泉は菌だらけ!?

ホテルや不動産事業を手広く手掛ける企業として知らない人はいない「アパグループ」。今から13年前の2005年に温泉付きマンション「アパガーデンコート綾瀬」を分譲しました。そしてその2年後の2007年、アパグループとは別の会社が建築した渋谷の温泉施設「松濤温泉シエスパ」で大きな爆発事故が起きます。都心の真ん中、渋谷駅からほど近い場所で起きた死傷者まで出る事件であったため、まだ記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、その事件をキッカケとして保健所が温泉付きの施設の検査を実施。結果、アパグループが分譲したアパガーデンコート綾瀬の温泉から、なんと基準値の約9000倍にもなるレジオネラ菌が検出されるという事件にまで派生することとなりました。レジオネラ菌は直ちに死に至るようなものではないものの、高熱、頭痛、咳、倦怠感などの症状が起こることがあり、最も重いと肺炎を引き起こすこともあります。

死亡率は30%。決して軽視できるものではありません。温泉付きマンションのアパガーデンコート綾瀬では温泉の給湯を中止。マンション住人の反対意見もあり、温泉の給湯は止まったまま現在に至っています。新築分譲時、70㎡弱の部屋が約3300万円で売り出されていた温泉付きマンション・アパガーデンコート綾瀬でしたので、マンションで温泉が出るという魅力に惹かれて購入した人も少なくないはずですが、購入からたった2年で温泉は使えなくなりました。

仮にアパガーデンコート綾瀬の件がたまたま起こった事件だったとしましょう。そもそも温泉を専門とする施設ですら事故を起こすのに、ただでさえ管理が複雑なマンションにおいて温泉施設まで管理するとなると、専門的知識やノウハウが足りないばかりか、管理費、修繕費などが通常のマンションより高くなることは容易に想像できます。一体、アパガーデンコート綾瀬の住人は何を買わされたのだろう。そんな風に思わされるのが正直なところです。

よく見かける5つの「〇〇付きマンション」

さて、「○○付きマンション」は温泉付きマンションの専売特許というわけではありません。住居以外の付加価値のついたマンションは、その販売の都度、注目を集めます。比較的よく目にする「○○付きマンション」には、主に以下のようなものがあります。

  • 保育所付きマンション
  • カラオケ付きマンション
  • ジム付きマンション
  • 猫付きマンション
  • コンビニ付きマンション
  • etc…

どれも一見して需要のありそうなものばかりですが、これら全て、本当に必要なものでしょうか。

例えば「カラオケ付きマンション」。これはカラオケルームが各戸にあるというわけではなく、ラウンジやシアタールームなどが共用施設として併設された中にカラオケのシステムがあるというものが多く、たまに友人らを呼んでパーティなどをする時には利用することもあるでしょう。ジムは健康や体づくりに気を遣っている方には需要がありそうですし、猫付きマンションは猫好きにとって夢のようなマンション。コンビニ付きマンションや保育所付きマンションも、利便性という点でファミリー世帯には非常に魅力的に映ることでしょう。

しかし、「○○付きマンション」だから全てがタダで安心して利用できると手放しでは喜べるとは限りません。確かに、共用施設ですから利用は自由ですし、外部の他人が利用するわけではなくマンションの住人が利用する施設であるという一定の安心感もあります。「○○付きマンション」の施設運用や管理は管理組合が行うのが一般的で、その管理組合もまた外部へ管理を委託していることがほとんどです。

本当に必要?「○○付きマンション」の施設

まず、マンションを購入する年齢層について考えてみましょう。終の棲家として購入される高齢者の方もいらっしゃるでしょうが、様々な調査から新築分譲マンションを購入する大半の方は30~40代であることが分かっています。特に、若い夫婦世帯に第一子が生まれ、第一子の入学前までに購入することが多いようです。

仮に若い世帯が子供が生まれる前に保育所付きマンションを購入したとしても、いずれ時が過ぎれば各世帯の年齢は上がっていくわけで、当初魅力的に映った保育所は不要なものとなります。対策としてマンション住人以外の子供も入園できるようにしたとしても、認可保育所でない限り、費用の高さから園児が増えず、運営できなくなる可能性は否定できません。

また、「○○付きマンション」として必ず注目を集めるのがジムやカラオケなどの施設。もし共用施設が会議室程度の簡素な作りなら管理の手間も費用も高くなることはありませんが、カラオケとなれば機材のメンテナンス費用が必要となり、移り変わりの激しいエンターテイメントという面から見ると、時代の変化と共にシステムを刷新していかなければ需要は見込めません。スポーツジムに関しても同じです。トレーニング経験のある方はご存知かもしれませんが、ジムにあるトレーニング機器はメンテナンスに手間がかかる上、それぞれが高価なもの。これらを常に使える状態にしておくには相応の費用が発生します。

猫付きマンションやコンビニ付きマンションはどうでしょうか。猫付きマンションと言っても入居時から猫がいるわけではなく、NPO法人が保護している猫をレンタルできたり、室内で猫が快適に暮らせるようになっているというもの。それ以外は普通のマンションと変わりません。そしてコンビニ付きマンションですが、基本的に外部のお客さんも買い物することが可能で、長期的な住人の利用が見込まれます。コンビニとしての売上もありますから、ジムやカラオケ施設付きマンションのように管理費を全て住民負担という事にもならないでしょう。ただ、猫嫌いの方には需要がないでしょうし、コンビニ付きマンションも騒音や匂いの問題があるとよく言われていますが、とはいえ、住人の将来的な管理費等の負担を考えれば、まだ許容できる範囲と言えるかもしれません。

あくまで例として「保育所」「カラオケ」「ジム」「猫」「コンビニ」といったものを挙げさせていただきましたが、いずれの「○○付きマンション」も、猫が好き、コンビニをよく利用するといった、本当の需要があってこそのもの。どれも購入当初に感じたメリットの裏には必ずデメリットがあります。これら5つの「○○付きマンション」のデメリットを考慮した上で本当に必要かを問われた時、強いて選ぶのであれば猫付きマンションやコンビニ付きマンションという結論になるかもしれません。

新築分譲の「○○付きマンション」は、豪華であるほどパンフレットや広告も派手になり、どう見ても落ち目のなさそうなものに映ります。しかし、入居後の管理費や修繕積立金、将来的に共用施設の運用をどうするのか説明するものは多くありません。マンションに併設された施設が本当に必要なものかどうか、見極めるのは購入者本人なのです。

まとめ

ここ数年で空き家問題が取り沙汰されることが多くなりましたが、それと並行してタワーマンションの老朽化と大規模修繕に関する問題を取り上げる記事も多くなってきています。管理会社の人手不足や管理会社と管理組合の結託による悪質な事例も例外ではありません。これまでは「売って終わり」という世界だったマンション市場でしたが、分譲マンションブームが始まってから数十年経った今、住まいとして維持していくための方法を模索する時期に入ったと言えるのかもしれません。

本当に必要なマンションなのかどうか。スーパーの買い物ですら必要なものか見極められず、つい買ってしまったなんて経験がある方も多いでしょう。マンション購入という高い買い物なら尚更、手元の資料だけで判断するのではなく、将来的に本当に利用するか、永続的に維持できるのかといった点はしっかり考慮しなければなりません。

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