管理人がいなくなる?!「マンション管理人AI化」とは? | 不動産投資を考えるメディア

管理人がいなくなる?!「マンション管理人AI化」とは?

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人手不足の現状と管理人AI化

「キツい・危険・汚い」そんなネガティブな要素を含んだ職業を俗に「3K職業」と言い、関連する職業に就く方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。更に調べてみると、どうやら私たちの身近にもいる「マンションの管理人」も3Kとする向きが増えており、その給与水準の低さから若い人の雇用が見込めず、高齢化が進んでいると言います。求人の応募数も少なければ長く勤める人もいない。今、管理人の人手不足が非常に深刻な事態に陥っています。

そんな管理人の人手不足を解消するかもしれないのが、AIという人口知能の技術。人工知能AIに代替させる管理業務が増えれば、高齢者の管理人の負担が軽減でき、管理会社もコストダウンができそうです。今回は、管理人という職業にも波及した人手不足の現状とマンション管理人のAI化についてお話させていただきます。

人手不足が深刻なマンション管理人

冒頭で、管理人の給与水準が低いとお話しましたが、実際に通勤管理員の求人情報を見てみると、どれも月給は10万円台前半・週休2日というものが多く、主な仕事内容は受付対応・共有部清掃・巡回点検・各種点検の立会い・PCを使った事務作業となっており、月に10時間を超える残業前提での募集が多く見受けられます。マンションの管理人は仕事内容だけ見れば淡々とこなせそうにも思えますが、現状は全く異なるようです。

例えばマンションのゴミ集積所の清掃。モラル意識の低い人による未分別のゴミは収集されないため、管理人がゴミ袋を空けて分別しなければいけないというケースが多々あります。また、モンスター住人と呼ばれる存在。何かと難癖をつけてきたり無茶な要望を押し付けてくるなどのモンスター住人は、100戸に1~2割程度いるのではないかという見方もあります。このような管理人の激務を高齢者に行わせるのは確かに酷とも言えますが、実際に人手不足はどの程度深刻なのでしょうか。

今年3月に発表された一般社団法人マンション管理業協会が調査した資料によると、現場作業員と定義づけられた管理人業関連の就業年齢層と男女の構成割合は、なんと男性の約90%が60歳以上、女性の約63%が60歳以上となっているのです。更に、通勤管理員の直近1年の不足状況の調査では、週30時間以上勤務の管理人が「大いに不足」「やや不足」と答えた管理会社が55%を超え、週30時間未満勤務の管理人は60%を超える管理会社が不足と回答しているのです。

参考:一般社団法人マンション管理業協会「現場従業員の雇用の実態に関する調査」結果について」
http://www.kanrikyo.or.jp/news/data/20180315_chousa.pdf

もはや管理人の人手不足は、人口減少や高齢化から波及した問題として諦めるほかないように思えてきますが、解決への道は、その就業システムを根本から変えるということかもしれません。そんな管理人不足問題を解決するのではないかと今注目されているのが、管理人のAI化です。

業界初のAI管理人サービス

不動産開発、マンション・ビル管理、不動産流通。これら不動産事業を手広く手掛ける大京グループは、1968年にライオンズマンション第一号を販売してから、今では知らない人はいない大手不動産デベロッパーです。昨年5月、ITメディアでも取り上げられた大京グループのニュースリリースに、『業界初!!マンション向け「AI 管理員・コンシェルジュ」サービスの実証実験を開始』という気になるものがありました。

大京グループでは、不動産業界初の試みとなるAI管理人とAIコンシェルジュサービスの実証実験を、株式会社穴吹コミュニティと株式会社ファミリーネット・ジャパン(東京電力グループ)の3社共同で行い、1年以内のサービス開始を目指しているとしています。そんなAI管理人とAIコンシェルジュは、管理人などが不在であっても「ゴミの日は?」「近くのコンビニはどこ?」といったマンションの住人の問い合わせに対して対話形式で答えてくれるもので、将来的には「共有部の電灯が切れた」「鍵を失くした」といった個別の問い合わせも受けられるレベルを目指すとのこと。

大京グループの中期経営計画においては、研究開発の推進を新たなテーマとして取り組むとしており、「遠隔化および無人化」「機械化」「建物・設備の長寿命化」という3つを重要な取り組みと位置づけ、今回のAI管理人とAIコンシェルジュはその一環であるとしています。このニュースリリースは日経新聞やSankeiBizでも取り上げられ注目されましたが、AI管理人とAIコンシェルジュの利点は管理人の人手不足という問題だけではなく、パソコンやスマートフォンといったIT機器の操作が苦手な高齢の住人の助けにもなるといったメリットがあるという見方もあります。

他にもある管理業務AI化サービス

管理人の業務をAIに行わせようという試みは他にもあります。たとえば、株式会社ティファナ・ドットコムが開発した、人工知能接客システム「AIさくらさん」。
アニメキャラクターが登場して会話してくれるAIさくらさんは、実証実験によると、質問に対する正答率が8割という高い性能を実現しており、多言語にも対応しているとのこと。主に、接客業の代替としての利用シーンが想定されているようですが、専属の管理人がいない時でも住人の問い合わせに対応できるため、管理人業務にも活用できると謳っています。

また、大和ハウスグループの大和ライフネクスト株式会社では、マンション管理業界初となるAIを活用した社内情報共有サービス「ナレッジリング」を導入しています。これは、入居者からの問い合わせや事例などの膨大なデータを合理的に集約、活用することを目的としており、これまでのように情報を検索して探すという手間を大幅に省けることで、入居者などに対してより迅速に質の高いサービスを提供することを目指しています。大和ライフネクストではシニアによる管理人体制づくりに力を入れており、「高年齢者雇用開発コンテスト」で厚生労働大臣表彰最優秀賞を受賞するほど。AIを活用した社内情報共有の合理化、シニアの管理人の育成という2つが融合した時、管理人の人手不足に一翼担う存在となるのは間違いないでしょう。

まとめ

人手不足の問題はマンション管理人業に限った話ではありません。建設業界や運送業なども人手不足に陥っているというニュースもよく目にします。そんな中、各業界でAI技術を取り入れて人手不足の解消に取り組む企業も多く出てきており、それは私たちの身近なところでAIが当たり前になる日もそう遠くはないという事でしょう。

とはいえ、やはり人でないとできない仕事はまだまだ沢山あります。マンションはもちろん、人が多く集まる場所や建物では何よりも人のモラルやマナーが快適なスペースを作り出すために最重要。AIがあるからではなく、AIを活用することでより私たちの生活が便利になるという視点で考え、人との円滑なコミュニティづくりは維持していたいものです。

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