過去のマンション供給結果からみる2019-2020年マンション市場動向予測

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毎年、不動産関連の話題で盛り上がるものといえば公示地価や基準地価などがあります。他にも独自の調査とレポートの公開を行っている企業もありますが、注目しておきたい情報の一つに不動産経済研究所が発表する「マンション市場動向」があります。

不動産経済研究所では2019年のマンション市場予測を発表しており、消費税増税を控えつつもマンション供給数が0.8%増とまずまずの内容です。今回は過去の発表内容と合わせて2019年・2020年のマンション市場動向がどんな結果となりそうか考えてみたいと思います。

不動産経済研究所が公開したプレスリリース内容

まず、2018年12月に不動産経済研究所が発表した「2019年マンション市場予測」を見てみましょう。

(首都圏)2019年のマンション市場予測
エリア供給数予測2018年度比
首都圏全体37,000戸0.80%
東京都区部16,000戸増減なし
東京都下4,000戸14.30%
神奈川県8,500戸9.00%
埼玉県4,500戸4.70%
千葉県4,000戸▲21.6%
(近畿圏)2019年のマンション市場予測
エリア供給数予測2018年度比
近畿圏全体20,000戸0.50%
大阪市9,800戸6.40%
大阪府下4,000戸▲8.7%
神戸市2,000戸▲18.0%
兵庫県下1,800戸16.10%
京都市1,200戸12.10%

不道産経済研究所「2019年の供給予測」

2019年に供給されるマンション戸数は首都圏で前年比0.8%増、近畿圏で前年比0.5%増と悪くない数字です。消費税増税が間近ということで増税後の落ち込みが予想されますが、住宅ローン減税延長もあるため大きな影響を受けない可能性もあり判断は難しいところです。

過去3年のマンション市場予測と結果

2019年のマンション供給予測数ですが、ここ数年の予測値と比べると若干ながら弱気に見えるのも事実。そこで2019年以降のマンション供給数がどう推移するか予測するため、不動産経済研究所が過去3年間に発表した供給予測と実際の結果を見て、「予測」と「結果」で実際どの位の乖離があるのか検証していきます。下の表は過去3年分の予測数と結果です。

(首都圏)マンション供給予測と結果
 予測(増減)結果(前年比)
2015年45,000戸(5.9%増)40,449戸(▲9.9%)
2016年43,000戸(4.4%増)35,772戸(▲11.6%)
2017年38,000戸(6.4%増)35,898戸(0.4%増)
2018年38,000戸(4.4%増)37,132戸(3.4%増)
2019年37,000戸(0.8%)未発表
(近畿圏)マンション供給予測と結果
 予測(増減)結果(前年比)
2015年21,000戸(10.5%増)18,930戸(0.6%増)
2016年20,000戸(7.5%増)18,676戸(▲1.3%増)
2017年19,000戸(2.2%増)19,560戸(4.7%増)
2018年18,000戸(▲3.7%)20,958戸(7.1%増)
2019年20,000戸(0.5%)未発表

2015~2018年の予測供給数は「首都圏で4.4~6.4%増加」ですから、2019年の予測「首都圏0.8%増」はかなり弱気だと言えます。また近畿圏は大阪万博やIR誘致が濃厚になったため、「前年比プラス0.5%」という予想です。

それでも2015年以降の予測数や過去の供給結果を見る限り、やはり2019年は心許ない予測と言えるでしょう。首都圏、近畿圏共に2019年が何かの節目になることを暗示するかのようです。

そして「予測と結果の差」ですが、戸数だけ見れば数千単位の違いがありますから精度が悪いように見えます。ただ実は、毎年の予測数と結果の誤差は平均11%です。分かりやすく理解するため、表で確認してみましょう。

(首都圏)マンション供給予測と結果の誤差
年度予測結果差分誤差
2011年50,000戸44,535戸5465戸10.93%
2012年53,000戸45,602戸7398戸13.96%
2013年50,000戸56,478戸6478戸12.96%
2014年56,000戸44,913戸11087戸19.80%
2015年45,000戸40,449戸4551戸10.11%
2016年43,000戸35,772戸7228戸16.81%
2017年38,000戸35,898戸2102戸5.53%
2018年38,000戸37,132戸868戸2.28%
2019年37,000戸未発表
平均  5647戸11.55%
(近畿圏)マンション供給予測と結果の誤差
年度予測結果差分誤差
2011年24,000戸20,219戸3781戸15.75%
2012年20,700戸23,266戸2566戸12.40%
2013年25,000戸24,691戸309戸1.24%
2014年25,000戸18,814戸6186戸24.74%
2015年21,000戸18,930戸2070戸9.86%
2016年20,000戸18,676戸1324戸6.62%
2017年19,000戸19,560戸560戸2.95%
2018年18,000戸20,958戸2958戸16.43%
2019年20,000戸未発表
平均  2469戸11.25%

つまり、予測数に対して11%前後の誤差を考えておけば、おおよその2019年におけるマンション供給数が分かると言えそうです。何万戸とあるマンション供給数の予測を1割以下の誤差で抑えられているのですから、精度が悪いどころか精度はかなり高いと言えるでしょう。

過去のデータから考える2019年の結果

では、これまでのデータを踏まえ、2019年の結果がどうなりそうか予測してみましょう。

(首都圏)2018年のマンション供給数予測
エリア供給予測供給予測レンジ
首都圏全体37,000戸32,727~41,274戸
東京都区部16,000戸14,152~17,848戸
東京都下4,000戸3,538~4,462戸
神奈川県8,500戸7,518~9,482戸
埼玉県4,500戸3,980~5,020戸
千葉県4,000戸3,538~4,462戸
(近畿圏)2018年のマンション供給数予測
エリア供給予測供給予測レンジ
近畿圏全体19,900戸17,661~22,139戸
大阪市9,210戸8,174~10,246戸
大阪府下4,380戸3,887~4,873戸
神戸市2,440戸2,166~2,715戸
兵庫県下1,550戸1,376~1,724戸
京都市1,070戸950~1,190戸

上記は、あくまで筆者が独自に過去データとのズレを勘案して算出したもので、不動産経済研究所の算出しているデータとは異なります。今回紹介しているデータは以下から確認が可能です。

参考:不動産経済研究所

2019年のマンション市場予測をシミュレーション

更に、これまでの予測レンジも踏まえて過去に発表されたマンション供給数の推移を確認してみましょう。突発的なイベントを考慮しないなら、過去からの推移をグラフ化することで今後の動きを予測しやすくなります。まず首都圏のマンション供給数が増加するか減少するか、または横ばいなのかをグラフの動きで予測してみましょう。

首都圏 マンション供給数

上のグラフを見ると、2016年以降から供給数が横ばいであることが分かります。オリンピック間近とはいっても、転売目的のマンションなら既に売り抜けられても良い時期ですし、消費税の駆け込み需要も今からは考えづらいでしょう。

首都圏においては、マンションの供給数を含めて市場を上向きにさせる材料が乏しい状況にあるのです。よって、2019年のマンション供給数が大きく上向きに転じるとは言い難く、むしろ引き続き横ばいか少し下振れると考えるのが妥当な線です。

近畿圏 マンション供給数

対する近畿圏ですが、やはり大阪万博やカジノ誘致などの可能性を考えると、2019年のマンション供給数は引き続き増加するだろうと考えられます。もしかすると、今回解説した11%前後の誤差を超えて増加する可能性すらあるでしょう。多くのイベントがある中で今から横ばいで推移するとは考えづらく、上図のように大きく下振れる可能性も低いのではないでしょうか。

このように予測と結果のズレを考慮すると2019年や2020年のマンション市場はこれまでと状況が変わり、首都圏は低調に、近畿圏は活発化するだろうと予測できます。あくまで数字上の話ですので、不動産市場にポジティブな事象でも発生すれば結果が変わる可能性はあります。

しかし、ここしばらく言われている不動産バブルの崩壊懸念などがあるのも事実。オリンピック需要の終焉もあれば、逆に大阪万博に向けた需要が高まるという予測もあり、もしかすると来年こそ予測に対する結果が大きく乖離するかもしれません。実際の結果は12月と先の話ではありますが、参考データとして見ていただければ幸いです。

まとめ

不動産市場の動向を確認するには、今回ご紹介した不動産経済研究所のデータ以外にもレインズや国交省など、他の機関が公表するデータも見ていく必要があります。今回はあくまで1社のデータを基にした2019年の市場予測です。他のデータも見ていくと新しい発見があるかもしれません。

消費税増税に対して住宅ローン減税の延長があったり、大阪万博が決定したりするなど、市場に混乱をもたらす要因は今のところありません。ただ気になるのはローン金利です。別の機会にまたご紹介したいと思いますが、今後の政府の動きによっては金融政策の方針転換もあり得えます。ローン金利が短期間で急上昇することは考えづらいものの、ローン金利には注目しておくべきかもしれません。

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