不動産投資ローンの審査が厳格化。審査を有利に進める5つの行動とは? | 不動産投資を考えるメディア

不動産投資ローンの審査が厳格化。審査を有利に進める5つの行動とは?

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2019年に入って早々、スルガ銀行やレオパレス21のニュースが世間を騒がせていますが、そのスルガ銀行の書類改ざん事件を発端とした「不動産投資ローンの融資が厳しくなった」という事実が明らかになってきました。

昨年12月までの都市銀行、地方銀行、第二地方銀行のアパートローン等の貸出額データを抽出し、ここ数年との比較を行った結果、過去5年間で2018年が最も融資が厳しくなっていた事がわかったのです。

そこで、具体的に不動産投資ローンの貸出状況がどうなっているのか、そして銀行側や不動産投資家はどう考えているのかを解説します。今後の不動産投資戦略にも関わる資料として、ぜひ最後までご一読ください。

2018年11月までの不動産投資ローン貸出状況

最初にご覧いただきたいのが、日銀の統計データ検索サイトによる「国内銀行の個人による貸家業への設備資金新規貸出額」の推移です。

■国内銀行 個人による貸家業 設備資金新規貸出額
国内銀行 個人による賃家業 設備資金新規貸出額
日本銀行時系列統計データ検索サイトを基に独自作成

2015年から2017年まで好調だった貸出額ですが、明らかに2018年の様子が変わったことが分かります。上記のグラフで気づく点は主に以下の3つです。

1.毎年3月期と9月期に伸びるはずの貸出額が2018年は過去4年で最も少ない

2.2018年12月期の貸出額が過去5年で最も少ない

3.前期比で2018年6月期が過去5年で最も貸出額が減っている

まず「1.」は2015年、2016年、2017年の3月と9月に対し、2018年の3月と9月の貸出額は明らかに少なくなっています。
「2.」について、毎年の12月期を分かりやすくするため黄色で分けていますが、過去5年の12月期の貸出額と比べて、2018年12月だけかなり少なくなっていることが分かります。
さらに「3.」についてですが、グラフに「前期比36.2%減」とあるように、過去5年の前期比割合で最も減少したのが2018年6月期でした。

各メディアでも不動産投資ローンの融資が厳しくなったと報道していますが、それはどうやら間違いではなさそうです、

しかし、今年だけたまたま減ったという可能性は無いのでしょうか。

その答えは、残念ながら「可能性はゼロ」と言えるかもしれません。たまたまではなく、積極的に融資したいと考えている銀行が「ゼロ」なのです。

融資に積極的な銀行は「ゼロ」

「積極的に融資を伸ばしたいと考える銀行は0行であった」

これは、日本経済新聞社が全国の地方銀行に実施した調査を元に報じたものです。調査対象は全国の地方銀行105行で、そのうち100行が有効回答となっています。具体的な内容は以下の通りです。

・融資する不動産への担保価値を固めに見積もる
・融資案件の4割ほどは審査を厳しくする
・融資に対する方針は66%が「案件次第」、34%は「慎重に進める」、「積極的に伸ばす」は0%
・審査を「厳しくした(「する方針」含む)」が42%

■日本経済新聞「地銀、不動産融資「積極的に」ゼロ 本紙調査」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37802950V11C18A1MM8000/

銀行側もかなり慎重になっていることがよく分かる調査結果ですが、逆に同報道の中で「回答した地方銀行のうち81%が、貸出残高は1年前より増えている」との内容もあります。

前章でご紹介した日銀のデータを見る限り、明らかに貸出額が減っているように思えますが、なぜ地方銀行は貸出残高が増えたと答えているのでしょうか。

それは先程のデータは「地方銀行以外も含んでいる」からです。

試しに、全国銀行協会が公表しているアパートローンの貸出額の推移を都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の別でグラフにしたところ、明らかな違いがあることが分かりました。

【都市銀行アパートローン融資額推移】
都市銀行 アパートローン融資額 推移

【地方銀行アパートローン融資額推移】
地方銀行 アパートローン融資額 推移

【第二地方銀行アパートローン融資額推移】
第二地方銀行 アパートローン融資額 推移

■参考:全国銀行協会「各種統計資料 預金貸出金速報など」
https://www.zenginkyo.or.jp/stats/month1-01/

都市銀行と第二地方銀行はスルガ銀行事件を発端として、明らかに融資額を減らしたのだろうと推測できる動きになっていますが、地方銀行だけが相変わらず融資額を増やしています。

とは言え、それは融資への積極姿勢を示すものとは言えません。あくまで推測ですが、日本経済新聞社の調査にもある通り、積極的に融資したいと考える銀行は基本的にないため、融資額が増えているのは新規貸出ではなく追加融資など別の融資によるものではないかと考えられます。

都市銀行や地方銀行といった区別をせず全体的に考えると、不動産投資ローンとしての融資はかなり厳しいものになっているという結論で間違いなさそうです。

投資家の約9割が「審査が厳しくなった」と回答

では、不動産投資家は銀行の融資状況に対して、実際にどう感じているのでしょうか。

以下は、不動産投資サイト「ノムコム・プロ」で公開されている2018年5月時点での投資家へのアンケート調査結果です。

Q.金融機関の融資状況について、どのような変化を感じますか?
審査が厳しくなった:87.7%
審査が緩和された:7.9%
その他:4.4%

■ノムコム・プロ「第10回 不動産投資に関する意識調査」
https://www.nomu.com/pro/news/1805_4.html

アンケート調査の時期はスルガ銀行の事件が発覚した直後であり、前章のグラフでもちょうど4~5月頃に最も貸出額が減少していました。

よって、上記アンケート結果は銀行の融資姿勢の変化に対する投資家心理を如実に物語っていると言えるでしょう。

当サイトでも昨年10月に銀行の不動産投資ローンの貸出状況について解説しましたが、その時点ではまだ何とも言い難い微妙な融資状況でした。

グラフに見るアパートローン貸出の推移。地銀がいよいよ引き締め本格化?
グラフに見るアパートローン貸出の推移。地銀がいよいよ引き締め本格化?
先日、スルガ銀行の一部業務停止命令について、処分内容や世間の反応などをご紹介しました。 上記記事の最後に「地銀の不動産融資が低迷している」と...

しかし、年が明けてから改めて2018年までの不動産投資ローンの融資額の推移を確認したところ、不動産投資ローンの融資は大きく減少していました。

新規で不動産投資ローンの融資が受けづらいとなると、これから参入を考える新米投資家にとっても、ベテラン投資家にとってもかなりの痛手なのではないでしょうか。

そこで最後に、銀行の融資の審査を少しでも有利にするためにどのような行動を取るべきか、融資の審査を有利に進める条件について解説いたします。

融資の審査を有利にする5つの行動

不動産投資ローンの審査を有利に進めるためには、以下の5つを満たすことが重要となります。

[1]自己資金を多めに用意して返済比率を低くする

返済比率とは「(ローンの返済額÷家賃収入) × 100」で計算される、収入に対する返済額の割合です。これまで、返済比率は50%以下が良いというのが一般的でしたが、昨今の銀行の融資姿勢を考えると、返済比率は40%以下にするなどの努力が必要となります。

また、銀行側が用いる「DSCR(借入返済余裕率)」という指標があります。これは年間の家賃収入がローン返済額の何倍かを示すもので、一般的に1.3倍以上は欲しいところですが、上記同様に昨今の融資姿勢を踏まえると1.5倍程度を目安にしてみると良いでしょう。返済比率やDSCRについては以下の記事をご覧ください。

自己資金1割は嘘!?準備すべき資金は返済比率とDSCRで決まる
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不動産経営に慣れている方ですと、次の物件の購入時に自己資金をどのくらい用意すべきか、感覚的にでも理解されている方は多いことでしょう。 しかし...

いずれも目安ではありますが、自己資金を多めに投入して貸し倒れのイメージを緩和することで融資の審査が有利になる可能性を高められます。

[2]収益性の高い物件にこだわる

不動産投資で収益性にこだわるのは当然のことかもしれませんが、これまで以上にその姿勢を強く持つことが求められます。

例えば、立地や駅からの距離、周辺地域の賃貸需要など、空室リスクを抑える要素を兼ね備えた物件であることが融資審査の際に重要なポイントになります。

また、マンションなら管理組合の運営状況や契約している管理会社、一戸建てや木造アパートなら修繕履歴やレントロールによる賃貸履歴などで管理上も問題ないと示せる物件が良いでしょう。

[3-1]所有物件の運営を軌道に乗せる

既に不動産投資を始めている場合、まずはその物件の運営が軌道に乗っているかどうかも大事です。既に赤字続きの不動産を所有していたら、間違いなくマイナスポイントになるでしょう。

[3-2]提出書類をしっかり準備する

まだ不動産を所有していない場合、源泉徴収票や確定申告書、物件概要書、レントロール、事業計画書など様々な書類が求められますが、全て事前に用意するのはもちろん、それらの書類が融資しても問題ないと思える内容かどうかも重要です。

もちろん偽装は絶対にやってはいけませんが、物件を所有した後のキャッシュフローをしっかり踏まえた事業計画書を作成しておくことで、審査の際にプラスポイントになる可能性はあります。

[4]転職は一旦考え直す

不動産投資に限らず、ローンの審査では「属性」も見られます。年収、勤続年数、勤め先、役職など、融資後に滞りなく返済できる人かということです。よって、ローンの借り入れを考えているなら転職は少ない方がよく、借り入れ前に転職を考えているならば、一旦考え直す事も検討すべきでしょう。

[5]借入金は早く完済する

属性と合わせて必ず確認されるのが、現在の借入状況です。カードローンやクレジットの借入枠など、借入金はマイナスになります。残念ながら住宅ローンですら「借り入れ」と見なされますので、滞納しないことはもちろん、現在の借入金額を少しでも減らしておく努力が必要です。

まとめ

不動産投資における融資の存在というのは、自己資金を使わずに物件を所有するために大変重要なものです。

そんな不動産投資ローンの審査が厳しくなったという事態は、これまでの投資戦略が全く通用しなくなる可能性を示唆するものでもあります。

例えば、日本政策金融公庫で借り入れを行う際は「不動産投資」ではなく、「賃貸事業」という名目で借り入れの申し込みをしないと受け付けてもらえません。「投資はギャンブル」、「事業は収益性のあるもの」という見方をされるためです。

今後、民間の不動産投資ローンにおいても融資対象として見てもらうためには、不動産投資ではなく不動産賃貸事業という目線で考えた戦略が求められるようになるのかもしれません。

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