意外と知らない「5年ルール」と「125%ルール」。金利上昇から身を守る3つの方法

融資・ローン・金利
20190106

不動産投資を検討されている方でも「5年ルール」や「125%ルール」というものを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、基本的に金利が少し上昇したくらいでは慌てる必要がないように考慮された制度です。最近、日銀による長期金利の見直しにより、変動金利にも影響が出るのではないかという懸念がひそやかながら話題になることがあります。

ただ、もし変動金利の元となる短期金利が上昇したとしても、5年ルールや125%ルールによる効果で返済額が変わらないのです。今回はそんな5年ルールや125%ルールがどういったものかを解説します。もし知らない方はこれを機に覚えておいて損はないでしょう。

「5年ルール」「125%ルール」とは?

まずは「5年ルール」と「125%ルール」というものが具体的にどのようなものかご説明します。

【5年ルール】
「変動金利でローンを借り入れ中に金利が上昇しても、5年間は返済額を変更しない」という銀行のルール
【125%ルール】
「5年後に返済額が上がるとしても、1.25倍までしか返済額を上げてはいけない」という銀行のルール

意外とこれらのルールを知らないもしくは忘れてしまっている方が多いのですが、住宅ローンは主に以上のようなルールが適用されています。基本的に変動金利は年に2回見直しされます。しかし、その都度返済額が変わるわけではなく、変わるのは利息部分だけです。例えば、毎月10万円の返済額の内訳が「元金5万円利息5万円」というものだとしたら、金利上昇により「元金2万円利息8万円」といったように、利息が増えて元金が減るというように変更されるのです。では、何故このようなルールになっているのでしょうか。

これは銀行側の都合もあります。仮に金利が急に大きく上昇して銀行が毎回返済額を見直すとすると、債務者は返済額の増加に不安を覚えるでしょうし、そもそも急に返済額が大きく増加したら破綻する人も増えることでしょう。もしそうなれば、銀行側が単に不良債権を大量に抱えることになるため、返済額を最低5年は変更しないで着実に返済してもらおうというのが銀行側の狙いなのです。これなら銀行側にも債務者側にもメリットのある話ですが、もし各ルールが適用されたとしても気をつけなければいけない点があります。

【注意点1】返済額は変わらないが未払い利息が発生する可能性がある

5年間は返済額が変わらないというルールは一見良いものに見えてリスクを抱えています。例えば、毎月の返済額が10万円で元金と利息の内訳が5万円だったとしましょう。

返済額10万円
(元金)5万円
(利息)5万円

2年後、金利が上がって内訳が以下のようになったとします。

返済額10万円
(元金)2万円
(利息)8万円

ここまでは問題ありません。しかし、その翌年に更に金利が上昇して以下のようになったらどうでしょうか。

返済額10万円
(元金)0万円
(利息)11万円

ここまで極端な金利上昇は考えづらいですが、可能性はゼロではありません。もし上記のようになった場合、返済額は変わらないものの差額の1万円が「未払い利息」となります。つまり、返せていない借金です。一般的にこの未払利息は完済時に一括して返済する事になっています。銀行によってその対応は違いますが、5年ルールにはこのようなリスクもあることは覚えておきましょう。

【注意点2】元金均等返済には適用されない

元金の返済額を一定にし、最初は利息が多く徐々に利息が減っていく元金均等返済という方式があります。その為、最初の返済額は大きくなりますが、徐々に返済額は少なくなります。これは、元金を一定にするため総返済額が少なくなる上、不動産投資なら減価償却費がローンの元金を上回る「デットクロス」を防げるというメリットがあることから、不動産投資だけでなく住宅ローンで元金返済を選ぶ人も少なくありません。しかし、残念なことに元金均等返済には5年ルールや125%ルールは適用されません。

何故なら、元々5年ルールや125%ルールは「返済額を一定に抑える」ことが目的の制度ですので、「元金を一定にして利息を徐々に減らす」という仕組みの元金均等返済に各ルールを適用することができないのです。なお、今回解説する5年ルールや125%ルールは主に一般の住宅ローンで適用されますが、不動産投資のローンで適用されるケースもあるようです。但し、これは各金融機関により扱いが全く違うようですので、各ルールが適用されるか否かは個別に確認された方が良いでしょう。

ネット銀行は各ルールを適用しない!?

さて、先ほど少し説明しましたが、5年ルールや125%ルールというのは銀行側で自主的に行っている制度です。当然ながら法的な拘束力等はありません。とはいえ、5年ルールは返済額が急激に変化しないためローンの利用者に優しい制度ですから、是非とも法整備で義務化すべきように思えます。しかし、各ルールは返済額が増えたという問題を先送りしているにすぎません。例えば、5年間返済額を変えないということは、利息ばかり増えて元金がなかなか減らないことを意味します。

また、125%ルールについても無理やり返済額を抑えて本来返済すべきものを後に回しているだけの話です。よって、各ルールが必ずしも利用者のためになるとは言い切れず、最近ではソニー銀行や新生銀行など各ルールを適用していないネット銀行も増えているようです。それらを具体的に比較するため、5年ルールや125%ルールを適用している銀行と適用しない各行の住宅ローンの利用規約をご覧いただきましょう。

【みずほ銀行】
[元利均等返済の場合]:借入利率が変更されても10月1日の基準日を5回経過するまでは元金部分と利息部分の金額を調整することで毎回の元利金返済額の変更は行いません(5年ルール)。<<中略>> 新返済額は旧返済額の1.25倍を超えることはありません(1.25倍ルール)。
[元金均等返済の場合]:上記5年ルール、1.25倍ルールの適用はありません。

■出典:みずほ銀行「住宅ローン条件変更 重要事項説明」

【ソニー銀行】
ソニー銀行では、いわゆる「5年ルール」や「125%ルール」に基づく約定返済額の計算を行っていません。したがって、適用金利が上昇した場合には、その上昇幅に応じて約定返済額が見直されますので、最終ご返済額にしわ寄せされることはありません。

■出典:ソニー銀行「住宅ローン」

どちらが良いのかというと判断は難しいかもしれませんが、ソニー銀行の「その都度、金利変動による返済額を支払ったほうが、後々楽である」という主旨の文言にもあるように、各ルールをどう捉えるかはその人次第ということになるかもしれません。

返済額負担を抑える3つの方法

それでは、もし今後金利上昇により5年後の返済額が増えることが分かった時、それを回避する方法やダメージを最小限に抑える方法などはないのでしょうか。最も有効な手段としては以下の3つが考えられます。

繰り上げ返済を行う

もし金利が上昇したとしても、繰り上げ返済をすることで返済額を抑えることができます。例えば、以下のような借り入れを行ったケースの返済額を見てみましょう。

借入額:3000万円
借入期間:35年
金利:1%
毎月返済額:8万4千円

例えば、5年後に金利が1.5%に上昇とすると以下のようになります。

借入額の残り:約2560万円
借入期間の残り:30年
金利:1.5%
毎月返済額:9万1千円

返済額が7千円増えてしまいました。このタイミングで110万円繰り上げ返済を行うと以下のようになります。

借入額:2560万円
借入期間の残り:30年
金利:1.5%
毎月返済額:8万4千円

これで、今までと同じ8万4千円程度の返済額に抑えることができます。結果、総返済額も増えることにはなりますが、毎月の出費を抑えるのには有効な手段です。

1.25倍の差額を貯金しておく

では、仮にもっと金利が上昇して125%いっぱいまで返済額が上がるとしたらどうでしょうか。8万4千円の1.25倍は10万5千円ですから、2万1千円も返済額が増えることになります。やはり繰り上げ返済をして毎月の返済額を抑えたいところですが「将来のために貯金は残しておきたい」という方もいるでしょう。

そういった事態に備えて、事前に2万1千円を毎月貯金をしておくことをおすすめします。2万1千円を5年間貯金したとすると126万円です。先ほどの繰り上げ返済とさほど変わらない金額ですし、貯金も別で残せておけるというメリットもあります。金利がどのくらい上昇するかはその時にならないと分かりませんが、上記のようにある程度貯金をしておく事のは後々のリスクを緩和させることにもつながります。

フルローンでの借り入れをしない

そもそもフルローンで借り入れを行って返済額をギリギリにすることは避けるべきです。やはり、ローンというのは少なめに借りて早く返すのが最も賢い借り方です。これは一般の住宅ローンだけでなく、不動産投資ローンにおいても鉄則と言えるほど重要なことですので、金利上昇に備えて「フルローンは避ける」ということは肝に命じておいたほうが良いでしょう。

まとめ

今回は意外に知らない方の多い5年ルールと125%ルールについて解説しました。これらのルールは一般の住宅ローンに適用されるものであり、不動産投資の業界ではあまり耳にすることがありません。よって、基本的に不動産投資のローンでは適用される前提で考えないほうが良いかもしれません。各金融機関によりルールの扱いは違いますので、借り入れ前に確認してみても良いでしょう。どちらにしろ、金利上昇というものは不動産をローンで購入するにあたって誰しもが抱えるリスクです。これから不動産の購入を検討する方は、金利の上昇も含めた返済シミュレーションを忘れずに行いましょう。

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