2019年のローン金利はどうなる?2018年最後の日銀決定会合の結果 | 不動産投資を考えるメディア

2019年のローン金利はどうなる?2018年最後の日銀決定会合の結果

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不動産にかかわる話となれば、誰しも気になるのが「ローン金利」ではないでしょうか。一般の住宅ローンを含め、ローン金利というのは日銀による金利政策等に大きく左右されますが、長期固定の金利は10年国債、変動金利については日銀の決める短期金利や市場の思惑などに左右されます。2019年は消費税の増税も控えていますので、現在日銀が主導している金利動向が気になるところです。そこで今回は、今年の日銀の動向や変化をおさらいしつつ、2019年のローン金利に何か影響はあるか考えてみたいと思います。

2018年最後の日銀決定会合の結果

まず最初に12月20日に行われた日銀決定会合による金融市場への金利操作の決定内容を見てみましょう。

【長短金利操作(賛成7反対2)】
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下の通りとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、長期金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得るものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施します。

■日本銀行「当面の金融政策運営について」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k181220a.pdf

前回と今回で何か変化があったのかというと、特に変更された部分はありません。7月の決定会合でサプライズ的な結果となって以降、同じ方針が維持されています。では、7月のサプライズのおさらいも兼ね、今年2018年の日銀決定会合の変化などを確認してみたいと思います。

7月のサプライズと2018年の決定会合の変化

日銀の決定会合の内容で、今年最も世間を騒がせたのが7月です。下記の記事でもご紹介しましたが、それまで長期金利0.1%への誘導を続けてきた日銀が「ある程度の変動は許容する」との内容を発表したのです。

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具体的には0.1%程度の変動幅を許容するということですが、それでも、これまでゼロ金利を貫いてきた日銀の方向転換に市場では大きな話題となりました。そんな7月の決定会合の内容の中で、日銀が金利に対してどのような方針転換を行ったのか見てみましょう。

【2018年1月~6月】
長短金利操作(賛成8反対1)
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペースをめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。
【2018年7月~12月】
長短金利操作(賛成7反対2)
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。

■日本銀行「金融政策決定会合の運営」
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/index.htm/

7月に「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし…」という文言が加わったことで、関係者の間で話題になったことは記憶に新しいという方も多いかと思います。以上の変更から直近の決定会合までで変更された部分はありませんが、上記で気になるのは、それまで「賛成8:反対1」だったものが「賛成7:反対2」と変化があったことです。これはつまり、元から決定会合の内容に反対していた人に加えて、7月の決定内容に対して新たに反対する人が表れたということです。

この部分を少し詳しく解説します。

反対を続ける2人の意図

これまでの決定会合の内容に以前から反対していたのは、9名の委員の一人「片岡剛士委員」です。片岡委員は慶應義塾大学を卒業後、現在の三菱UFJグループに入社。これまでに何冊もの著書も出していますが、決定会合では以下の理由で反対を続けています。

「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当である」

片岡委員は金融政策自体に反対なのではなく、より一層金利を引き下げるべきだということで反対しています。また他にも、「現状のままでは物価上昇目標には達成しない」とも言っており、一部では「勇気の人」と呼ばれることもあります。そして7月の方針変更に伴って、反対意見を出す人がもう一人現れます。それが「原田泰委員」です。原田委員も「昭和恐慌の研究」といった著書を初めとして本を何冊か出版しており、片岡委員同様、基本的にはリフレ派と言われるインフレ誘導に賛成派の一人です。原田委員が反対したのは以下のような理由です。

「長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎる」

つまり、ある程度の変動を容認するというのは、物価上昇目標や金融市場に対するオペレーションとしては曖昧ではないかということで反対しているのです。これまで以上に引き下げるべきとまでは言わないものの、原田委員もまたインフレ誘導をこれまでどおり続けるべきとの見解を述べたということになります。そもそも日銀決定会合のメンバーというのは、黒田総裁を含め、半数以上がリフレ派と言われています。よって、全体的にインフレ政策に賛成を唱える人が多い現場にあっても、なかなか達成されない物価上昇率と決定会合の内容に、ここへきてイラツキを隠せなくなってきたと言えるのかもしれません。

2019年の住宅ローンはどうなる?

さて、上記までの内容を見ると「もしかしたら、来年は金利が上昇するかも…」と懸念を覚える方もいらっしゃるかもしれません。ただ、多くの専門家がそのような見方はしておらず、おおよそ今までどおりだろうという向きのようです。事実、今行われている金融政策は、基本的に物価上昇率2%が達成するまではマイナス金利を続けると断言して始められたものであり、仮に長短の金利を引き上げる方針となったとしても、突然銀行の住宅ローン金利が爆発的に上がるということもありません。日銀メンバーの任期も、原田委員の2020年3月までとなっていますので、今の体制が突然変わるということもないと言えるでしょう。

但し、米国の金利上昇に影響を受ける可能性もありますし、目標の物価上昇率を達成する見込みが薄いと判断されれば、反対票を投じる別の委員が現れるかもしれないのも事実です。特に、日銀メンバーの一人「鈴木人司委員」は極めて中立な立場と言われており、やはり今後の状況によっては反対派に回るメンバーが出始める可能性もあります。結局のところ、2019年は今まで通り。しかしそれ以降は、政策による経済状況によって金利上昇の可能性もあり得るというのが今のところの大筋の見方になるかもしれません。

まとめ

住宅ローンを始めとして既に契約しているローン金利というのは、もし政策金利が変わったとしても直ちに影響は受けません。基本的に金利の見直しは半年ごとですし、返済額の見直しは5年目以降からという「5年ルール」といったものなどもあります。ただ、これから不動産に絡むローンを借り入れる人にとっては、日銀の動向は気になるところでしょう。各行の金利比較も良いですが、たまには日銀の決定会合の内容を確認し、何か変化が合ったのかなど見てみると面白いかもしれません。

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