グラフに見るアパートローン貸出の推移。地銀がいよいよ引き締め本格化? | 不動産投資を考えるメディア

グラフに見るアパートローン貸出の推移。地銀がいよいよ引き締め本格化?

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先日、スルガ銀行の一部業務停止命令について、処分内容や世間の反応などをご紹介しました。

スルガ銀行に一部業務停止命令。金融庁が下した処分と市場の反応は?
スルガ銀行に一部業務停止命令。金融庁が下した処分と市場の反応は?
「オマエの家族皆殺し!」 これは実際にスルガ銀行の一連の事件を調査した第三者委員会が公表した事実に基づくものです。スルガ銀行内で実際にあった...

この記事の最後に「地銀の不動産融資が低迷している」とお伝えしましたが、スルガ銀行の事件について執筆する上で不動産業界や金融業界への影響も調べていたところ、既に報道されている「地方銀行が融資を引き締め始めている」という話がどうやら噂や担当者ベースの話に留まらなそうだという事がわかりました。

今回は主に地方銀行の不動産融資の低迷について、より具体的なグラフなどを用いて解説したいと思います。

止まらない不動産関連融資のネガティブ報道

まず、スルガ銀行の不正融資に関連して登場してくることの多い「地方銀行」という存在。金融庁は、不正融資とまで言わずとも、地方銀行もかなり甘い審査で投資用不動産に融資している、もしくは書類改ざんを知りながら融資を実行しているのではないかと疑惑を持っているのです。

実際のところ、地方銀行の個人の貸家業に対する融資残高が都市銀行よりも3割以上多くなっており、スルガ銀行以外では地方銀行が不動産投資家や不動産業者の受け皿になっていると見られます。上記に併せ、地方銀行の融資引き締めを匂わせる報道やインタビューなどの一部をご紹介いたします。

「不動産関連融資を受ける際の不動産担保の掛け目も厳しくなってきている。これまでは手持ち不動産を担保にその価値の60%くらいは融資してくれていたのが、50%~40%に引き下げられてきている」

■引用:広がる「スルガショック」、アパートローンなど不動産融資引き締め
http://blogos.com/article/321414/

「昨年末から銀行融資が厳しくなったのですが、今年に入ってさらに融資金額が大幅に引き下げられています。今までの属性(年収・金融資産・勤務先など)をこれまでよりも高くして、また自己資金も物件価格の10~20%は投下しないと融資しません、というスタンスの金融機関が多いですね」

■引用:「融資貸し渋り」の実態とは?現役営業マンに取材
https://invest-online.jp/news/loan-actuality-2705/

「最近までフルローンを出していた銀行のバンカーが「今後は頭金3割が必要になる」と話していました。」

■引用:フルローン・低金利時代は終焉へ。「頭金3割」が求められる近未来に起こること
https://www.kenbiya.com/ar/cl/taidan/tc-63/63.html

また、冒頭でご紹介した記事でも有名不動産会社「水戸大家さん」がスルガ銀行の融資ストップにより廃業に追い込まれたとお伝えしましたが、その事実をもっても「地方銀行からすら融資は受けられなかったのか?」という疑問がわきます。

アパートローンの貸出が4年ぶりの大幅減少!

では、各報道について何か明確な資料はないのでしょうか。

日本銀行の統計データ検索でアパートローンが含まれる「個人による貸家業」の「設備資金新規貸出」の件数を公表していますが、それが以下のグラフです。

アパートローンが含まれる個人貸家業の設備資金新規貸出件数

■出典:日本銀行-時系列統計データ検索サイト
http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html

確認すると2016年に非常に増加していたことが良く分かりますが、今年6月に入り極端に減少しています。季節柄を考えても、第2四半期と第4四半期というのは貸出件数が減少するのは毎年の事ですが、これまでは減少したとしても20~30%ほどだったところ、今年は37%と2013年以降のデータとしては実に4年ぶりの低水準まで減少しているのです。

また、上記のデータとは別に、実は全国銀行協会がまとめている「銀行カードローン等・アパートローン残高」という資料があり、確認したところ都市銀行、地方銀行のアパートローン残高は以下のような推移となっています。

アパートローン貸出残高(前月比増減率)

■一般社団法人 全国銀行協会「全国銀行 預金貸出金速報など」を基に作成
https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/stats/month1-01/

都市銀行は今年3月頃から一気に貸出残高が減少したのち、残高はマイナス推移となっています。ただやはり気になるのは、地方銀行の融資残高の落ち込みです。地方銀行、第二地方銀行についてはしばらく貸出残高の増加率はプラス圏にありましたが、7月に入ってから貸出残高が減少しています。これで「都市銀行、地方銀行、第二地方銀行」の全てにおいて貸出残高が減少していることになり、こちらもデータが公表されて以来初の事となります。

貸出件数の詳細は不明ですが恐らく近日中に最新データが公表されるはずです。不動産投資家向けに積極的に融資を行ってきた地方銀行ですが、今後のアパートローン貸出動向が非常に気になります。

信用金庫の貸出残高だけが微増?

以上までのように、「地方銀行はこれまでアパートローンというカテゴリを牽引してきた不動産投資家にとって頼れる存在だった」わけですが、念のため下記のデータもご覧ください。

金融機関別アパートローン貸出残高

■一般社団法人 全国銀行協会「全国銀行 預金貸出金速報など」を基に作成
https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/stats/month1-01/

上図のように全国の銀行の中で最もアパートローンに積極融資していたのが地方銀行です。貸出残高は都市銀行より4割以上多くあり、第二地方銀行と比べると4倍以上の貸出残高があります。昨今のアパートローン融資というのは地方銀行が主人公だったことが良く分かりますが、先ほどのグラフにありましたとおり、その地方銀行ですら貸出残高がマイナスになっています。

そんな中、もしかすると救世主的な存在となるかもしれないのが「信用金庫」です。信金中央金庫地域・中小企業研究所が公表しているデータにも個人による貸家業への貸出残高等のデータが公表されていますので、こちらを参考にグラフ化してみました。

信用金庫アパートローン貸出残高

■信金中央金庫 地域・中小企業研究所「信金中金月報は」を基に作成
http://www.scbri.jp/geppo.htm

2018年3月期こそ微々たる減少がありましが、基本的には毎期0.2~0.4%ほど増加しつつ6月期には0.6%以上増加がありました。非常に安定した不動産融資を実行していることが分かります。信用金庫は利益優先の銀行とは違って地域発展の役割を担う金融機関ですので、基本的には住んでいる地域や物件の所在地が信用金庫の管轄するエリアでないと融資が受けられません。

もちろん、メガ信金と呼ばれる各エリアに展開する信用金庫もありますので例外もあります。しかし上記のデータを見る限りでは、今後の不動産融資の動きは信用金庫に流れていくということもあり得るのではないかと考えれられます。

地銀の不動産融資に対する世間の反応

さて、金融庁の調査が入ることになった全国の地方銀行ですが、様々な憶測が飛び交う中、世間はどのような見方をしているでしょうか。地方銀行についてのツイートを見てみましょう。

なかなか辛辣な意見が多いですが、現在のような低金利のままでは地方銀行も融資額を増やすほかなく、やむを得なかったと言われると頷ける部分もあります。しかし、万が一金融庁の調査により多額の不良債権などが発覚するのであれば、これまで以上にアパートローンの融資引き締めが起こるのではないかという少々ネガティブな想像をしてしまうのが正直なところです。

まとめ

今回は地方銀行のアパートローンの貸出動向についてご紹介しました。データを基にした推測も含まれますが、少なからず地方銀行に逆風が吹いているというのは間違いありません。このまま「周りが手控えたなら自分も…」という風に貸し渋りが波及していくのかと思いきや、地方銀行は新たな手段に出ようとしています。それが地方銀行による不動産業への進出です。

これはまだ全国地方銀行協会が政府に要望書を提出したにすぎませんが、様々な会社が銀行業へ参入している中で同要望書が前向きに検討されるようであれば、飽和状態となりつつある金融業界にとっては大きな一歩となるかもしれません。これはまた、続報が入り次第お伝えしたいと思います。

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