表面利回りが高い「地方の中古一棟物件」には要注意! | 不動産投資を考えるメディア

表面利回りが高い「地方の中古一棟物件」には要注意!

表面利回りが高い「地方の中古一棟物件」には要注意!

「利回り」を信用してはいけない。

収益物件情報でよく用いられる表面利回りをどのように算出するか、すでに不動産投資の勉強を進めている方でしたらご存じかも知れません。表面利回りは次の式で計算されます。

「年間の家賃収入 ÷ 物件購入価格」× 100

この”年間の家賃収入”については、基本的に満室想定で計算されています。不動産会社がセールストークで強調する「(表面)利回り」には要注意なのです。表面利回りがいくら良くても、購入してみたら入居者がほとんどおらず、空室だらけというケースもざらにあります。

また、入居者の退去が重なるケースも少なくありません。入居者が減れば、家賃収入・利回りにも大きく影響します。表面利回りだけで物件を選ぶと、大きなトラブルの元になってしまいます。表面利回りがいかにいい加減な数字かという理由はもう一つあります。

それは家賃そのものが周辺の家賃相場と全く異なるため、そもそもその表面利回りの根拠がないのです。特に新築物件は入居者がいないため、周辺の家賃相場を無視して何とでも言えてしまうということです。

どうしても新築物件に住みたいという入居者も多いため、多少周辺の家賃相場と乖離していても問題ないという意識が不動産業界一般の常識としてあるからです。そうした架空の数字を前提にして、何億円もの投資をするのは、あまりにもリスクが高すぎると言わざるを得ないでしょう。

地方の中古一棟物件は失敗しやすい?!

不動産投資において失敗することが多いと考えられているのは、地方の中古一棟物件です。もちろん、地方の中古一棟物件でも徹底的にコストカットをして、マーケティング手法も取り入れて入居需要を喚起し、対策を立てれば問題はありません。しかし、リフォームや原状回復、大きな修繕で多額の出費が続いたり、入居者がなかなか集まらなかったり、管理会社がうまく機能してくれなかったりと、地方の中古一棟物件の賃貸経営は失敗するケースも多いのが実状です。

地方の中古一棟物件に多いのが、建築された理由が地主の相続対策であるケースが少なくありません。そもそもの建築の目的が相続税の節税目的ですから、土地の価値を下げるために敢えてアパートやマンションを建てて土地の価値を引き下げます。地元の金融機関と不動産会社が協力して地主を口説き落とし、アパートやマンションを建てさせるのです。土地の価値も下げられるだけでなくアパートやマンションの建設のために融資も引くので、さらに資産を圧縮することができて相続税も減らせるという夢の作戦なのです。

ところが、そのように建てられた物件の周辺にはそもそも入居需要自体が存在しないケースも多々あります。あくまで相続対策なのでまともに調査分析もしていないところも多いのです。相続税対策のためにアパート・マンションを購入したら入居付けをするために非常に苦労をしたり、入居者を増やすために家賃を大幅に下げざるを得なかったりするケースもあります。

また、相続税対策のためのアパートやマンションは、管理がほとんど行き届いておらず、リフォームや大規模な修繕が必要になる物件も少なくありません。修繕が発生すると大規模な出費になりやすく特に給水設備やエレベーターなどに問題があるとかなりの出費が発生します。

サラリーマン大家さんの中には、維持費が高くなるエレベーターがそもそも付いていない物件を選ぶ人もいます。理由はエレベーターの大きさや階数、設置条件などによっても異なりますが、保守点検費用は一基あたり、毎月2万円から4万円ぐらいの出費となり、エレベーターが故障した際の修理費は100万円以上かかることはザラで、大きなマンションの場合は1000万円ぐらいかかることも珍しくないと言われているからです。こうしたコストも計算に入れた上で最終的にどのくらいの利益を残すことができるのか正しくシミュレーションをしないと利益を増やしていくことはなかなかできません。

給水設備にも要注意

不動産投資に失敗しないためには物件の給水設備も要チェックです。特に管理が行き届いていないと言われる地方のアパートやマンションは、給水設備の問題が収益を大きく左右するのできちんとチェックをしておきましょう。

まず仕組みから説明します。アパートやマンションの給水の仕組みは、大きく分けて受水槽式と直結増圧式があります。受水槽式はその名の通りに配水管(水道管)から給水した水を一度受水槽に貯めて、その後給水ポンプで各部屋に水を供給するシステムになっています。

水を一度受水槽に貯めるために受水槽式は年に1回の水質検査や清掃が義務づけられています。古い物件になると受水槽の蓋が壊れていたりして泥が入ってしまったり、小動物が死んでいたりして衛生的に問題があるケースもあります。受水槽はあまり人目に触れないところにあるので、物件が古い場合は物件視察の時に必ずチェックをしておきましょう。

受水槽は点検と清掃だけで実は維持費用が1回10万円程度はかかります。適正価格で清掃してくれる業者ならいいのですが、中にはさまざまな理由をつけて余計にお金を取ろうとする悪質な業者も存在します。その地域の相場を不動産会社などに聞いて、事前に学んでおくことが大切です。

給水設備に問題が起きる場合、受水槽から水を引き込むポンプに問題があることがあります。給水ポンプに問題がある場合は修理に100万円程度の費用がかかることもあります。しかも上水道ですから先延ばしにできない類の出費です。物件調査の際に給水設備についてもきちんと調べておかないと、物件を買ったもののいきなり多額の出費を強いられることもあるので十分注意してください。

もう一つ、受水槽式以外の給水設備としては直結増圧式の給水設備です。その名の通り、配水管から直接水を各部屋に供給するシステムです。この仕組みは受水槽が不要なため、年1回の点検や清掃も必要ありませんし配水管内の水圧も利用できるので、給水設備の電気代も減らすことができます。

給水設備を受水槽式から直結増圧式に変えるという方法もありますが、この切り替え工事だけでも数百万円かかります。ローンのデッドクロスが近いなど、新しい経費を増やしたい場合は検討すべき項目かもしれません。

水道料金がやけに高い物件に注意

地方のアパートやマンションなどを購入する際に意外と見落としがちなのが水道料金です。古い物件の中には水道の加入金費用を減らすために建物の一棟に水道メーターを一つしか付けていないアパートやマンションがあります。

この場合、建物全体分の水道料金は管理会社が検針をして管理費用として各入居者に請求するという方法です。ところが、管理会社の検針が正しく行われていなかったり、不備があったりすると市町村から送られてくる請求金額と水道料金に差が出たりします。その差額分をオーナーが持たなければいけないため、どのような方式で水道料金を徴収しているのかを必ずチェックしておきましょう。

特に物件調査の際、水道料金が同程度の規模の物件と比べて異常に高い場合は注意が必要です。漏水という可能性もありますが、漏水の場合は配管の修繕費用などが別途発生する可能性が高くなります。

地方の収益物件の売主さんはその辺りの地主でお金持ちが多いため、あまり細かい金額にこだわらない場合が多いのですが、サラリーマン大家さんは違います。こうした細かいところに収益の差が出てきますので、少しでも気になったらすぐに調べるなど対応をきちんと取っておきましょう。

水道料金は各市町村で異なりますが、毎月決まった額が請求される基本料金と使用量に応じて請求される料金の組み合わせによって水道料金が最終的に決定されます。水道の基本料金は水道メーターの口径で決められています。

物件の水道料金が異常に高い場合は、そもそも基本料金の算出の元になっている口径を調べてみることが大切です。口径が大きいと基本料金も高くなるので、そこに水道料金の高さの原因があるかもしれません。

口径が小さくなればなるほど水圧は弱くなります。入居者がシャワーやお風呂、洗濯などで一斉に水道を使った場合、水の勢いが弱いなどのクレームに発展することも少なくありません。

基本料金を減らすために、口径の小さいものに変えようと考えるオーナーも少なくないですが、原則として勝手に口径を変えることはできないとされています。口径は建物の大きさ、給水設備の設置状況、世帯数、過去の使用水量などから決められるからです。こうした事情も頭に入れておきましょう。

また、物件を購入する時には、道路にある配水管に繋がっている給水管にもチェックをしておきましょう。これは道路に埋まっている給水管の設置費用や維持管理はオーナーの負担となるからです。道路に埋まっているからといって水道局が維持管理するものではないことを覚えておきましょう。給水管が腐食等で破損した時の修繕費用は原則としてオーナーの負担になるということです。

屋上防水工事も大きな支出になる

地方の中古一棟アパートやマンションで、注意したいのは屋上防水工事です。古い物件では雨漏りが発生することがよくあるのですが、将来起こりうる雨漏り対策のためにも屋上防水工事がどのような間隔で行われたのかということを事前にチェックしておきましょう。

大体10年ぐらい前に防水工事が行われているのであれば、そろそろ対策を立てておかなければいけない時期に来ています。物件調査で屋上の状況を見ることができれば忘れず確認しておきましょう。屋上に膨れやシワがある場合は、防水状況が悪化している可能性が高く、雨漏りになってしまうこともあるかもしれません。

屋上防水工事は規模にもよりますが、中小マンションでは200万円から300万円前後。大規模なマンションでは1000万円以上になる場合もあります。購入してすぐに屋上防水が必要になるような物件は極力買わないようにしたいものです。

ファミリー物件は退去で収益が大きく悪化する

地方のアパートやマンションでは、ファミリー用の間取りの収益物件が多い傾向がありますが、何十年という単位で長期の入居をしていた入居者が当然退去になると、だいたい原状回復費用が大きくかかる場合があります。壁紙の張り替えだけではなく、床なども大きく修繕する必要があります。

もちろん、入居者の問題で発生した汚れの場合は敷金で対応することになりますが、次の入居者のための原状回復は原則オーナーがやることになっています。このため、居室の広さが大きいファミリータイプの間取りで数件の退室が出てしまえば、収益が大きく悪化することにもつながります。日頃から退去にならないような工夫をして少しでも長く入居してもらうことが大切です。

まとめ

地方の中古一棟物件は利回りが非常に高い物件が多いですが、その反面、物件を維持するためのコスト、主に修繕費や大規模修繕がかかってくることが多いため、実際の利回りは必ずしも高くないということを理解しておく必要があります。また、売主は賃貸経営についてあまり真剣に取り組んでいる人が少ないため、物件の管理状況がひどくなっている場合もあります。中古物件の場合、いずれリフォームや大規模修繕をしなければいけないということは覚悟しなければいけません。しかし、それがいつ頃になるかが非常に重要です。なるべく管理が行き届いた物件を購入することが地方の賃貸経営で成功するための秘訣と言えるかも知れません。

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