少子高齢化・人口減少が引き起こす不動産投資のリスクを回避する方法 | 不動産投資を考えるメディア

少子高齢化・人口減少が引き起こす不動産投資のリスクを回避する方法

少子高齢化・人口減少が引き起こす不動産投資のリスクを回避する方法

不動産投資の大きなリスクの中に「外部環境変化」というものがあります。例えば、人口や社会環境が大きく変化し、今までのように家賃収入を継続して得られなくなるなどが挙げられます。
不動産投資は家賃収入を得て収益を生み出し、投資した資金を増やしていくビジネスです。人口が大きく減って住む人がいなくなると社会環境も大きく変化し、収益を生み出しにくくなります。地震や事故、火災など突発的なリスクではありませんが、ゆくゆくは対処していかなければならない不動産投資の重大なリスクです。
今回は少子高齢化・人口減社会が訪れた時、具体的に不動産投資でどんなリスクがあるのか。また、本当にそのリスクは不動産投資に深刻な影響を与えるものなのか。不動産投資家にとって気になる外部環境変化リスクを取り上げていきます。

少子高齢化・人口減少社会の現状分析

まずは、少子高齢化・人口減少社会の現状から分析してきましょう。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本が人口減社会に本格的に突入したのは、2008年のことです。それ以降、現在に到るまで毎年減少が続いています。全人口が減り続けて、東京オリンピックが開催される2020年には、日本の総人口は1億2410万人になると予測されています。この時、全人口に占める65歳以上の割合は実に29.1%になるという予測です。

さらに団塊の世代の高齢者が亡くなって人口は減り続け、2050年には1億人を割り、9708万人となります。その時の高齢化率は38.8%となります。2060年にはさらに減って8674万人となります。第二次ベビーブーム世代が高齢者になるため高齢化率は39.9%に達します。人口の2.5人に1人が65歳以上になってしまうので、この頃の日本は高齢者だらけの国になってしまうのです。

ちなみに、総人口が8500万人前後というのは、日本では戦後のすぐの状況である1950年の8320万人と同程度と言われています。ただし、当時は64歳以下の人口が9割以上を占めており、現在とは人口構成が全く違います。なお、2061年以降の人口については、あくまでも参考推計ではあるものの、2100年には4959万人になり5000万人を下回るとも言われています。

地域別にみると、人口減少はまず地方で加速することになります。2014年の総務省統計局の人口推計によれば、2013年に比べると増加は7都県、減少は40道府県となっています。増加した東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、沖縄県はの7都県は、人口移動による社会増加で人口が増えていますが、なかでも東京都、神奈川県、愛知県、沖縄県の4都県の人口増加は、さらに出生数が死亡数を上回る自然増加によっても人口が増えています。この4都県に関しては、人口移動による社会増加に加え、出生数が増えているエリアだということが分かります。

国立社会保障・人口問題研究所が公表した2013年5月の「日本の地域別将来推計人口」によると、2025年までには、47都道府県で全ての世帯数が減少をします。一方、2025年には全ての都道府県で単独世帯が最多になるということが予測されています。さらに、2040年の総人口は全ての都道府県で2010年を下回ると言われています。

地域別に見ると市区町村の人口規模別では、人口規模が小さくなるほど人口減少が激しくなる傾向があります。人口1万人未満の市区町村では、約半数程度まで減少。2050年には6割以上の市区町村の人口が半数以下となり、約2割の地域では無居住化するとも言われています。このままいくと「消滅都市(ゴーストタウン)」も出現する可能性すらあります。

高齢化の状況を地域別に見て見ると、2040年には北海道、青森県、秋田県、徳島県、高知県においては高齢化率が40%を超え、先行して高齢化が進むことになります。大都市圏における高齢化も急激さを増す傾向にあります。例えば、2010年には65歳以上の人口が約268万人でしたが、2040年には約412万人になり高齢者がほぼ倍増することになります。このような推計データから高齢者向けのマーケットが非常に大きくなるということが容易に考えられるでしょう。

今後の人口増減の見通しは?

2016年の厚生労働白書によると、今後の人口減少について3つの段階があると表現されています。第一段階は「若年人口は減少するものの、高齢者人口は増加する時期」。第二段階は「若年人口の減少が加速して、高齢者人口が維持から微減に移動する時期」。第三段階は「若年人口の減少が一層加速して、高齢者人口も減少していく時期」の3つです。日本全体としては第1段階~第3段階とプロセスを経て高齢化と人口減少が進んでいきます。

一方、東京23区や中核都市(人口30万人以上)、特例市(人口20万人以上)では、2010年から2040年の30年間で第一段階の時期になる一方で、人口5万人以下の地方都市は第二段階、過疎地域はいきなり第三段階からスタートする市町村が多いと言われています。このような人口減少・高齢化の予測からどのように不動産投資の投資方針を考えていくべきでしょうか。

人口減少が少ない都市で投資をするべきか?

今後の予測を見てみると、日本全体で人口減少が進んでしまうのは避けられない事実のようです。しかしながら、地域によって人口減少の進み具合が異なるということが分かると思います。例えば、東京都、神奈川県、愛知県、沖縄県の1都3県については、人口減少が他のエリアと比べて緩やかに推移することが分かっています。

では、これらのエリアに収益物件を購入すれば人口減少のリスクを大きく減らせるのでしょうか。
もちろん、東京や神奈川などのエリアでも人口減少が緩やかに進むエリアもあれば、急激に人口減少が進むエリアもありますので、東京都や神奈川すべてのエリアで人口減少が緩やかになる訳ではありません。

例えば、2035年までで2万5000人以上の人口減少が進むと予測されるのが北区、足立区、中野区になります。一方で増加すると予測されるのが練馬区、世田谷区、新宿区、港区、墨田区、江東区、江戸川区などです。東京都全体で見ると東側は、比較的人口の減少率が少ないものの、北側、南側、西側では人口が減ると予測されています。東京都内でも人口減少が緩やかに進むところだけを狙いながら投資をするのも一つの手です。ただし、当然のことながらそのようなエリアは他の投資家との競争も激化しますので、その点も踏まえて総合的に判断する必要があるでしょう。

高齢者向けマーケットを狙う

人口減少に伴い、高齢化にも拍車がかかります。日本のほとんどの地域で高齢化が進めば、住まいのあり方も大きく変化していくでしょう。バリアフリーも当たり前になったり、マンションではなくアパートなどの低層の物件がこれまで以上に注目されたりするかもしれません。サービス付き高齢者向け住宅という老人ホームより基準を緩くした物件への投資も今注目されています。

また、古民家や築古物件も単に資産価値がないとみなされるのではなく、人間的な温かみやノスタルジーを感じるものになることもあります。高齢化によって、住まいや暮らしに関する人々の価値観が大きく変化することもあるのです。

高齢化に伴って私たちの働き方も大きく変化するはずです。年齢を重ねれば、若い世代のように身体の自由が効かなくなってしまいますが、それを前向きに捉えれば、高齢化社会に適応した新しいサービスが次々と生まれてくるのではないでしょうか。これからの高齢者はITリテラシーが非常に高い世代となるかも知れません。

現在は人口減少社会ですので、年々高齢者の労働力は無視できないものになりつつあります。高齢者の労働力を有効活用するため、通勤や移動の困難さを軽減し、これまで以上に在宅ワークが増えていき、在宅ワークが一般的になるかもしれません。IoTテクノロジーが充実した住宅に人気が出たり、築古物件でもIoTツールやIoT家電が後付けで配置された物件であれば、在宅ワークがさらに広がる可能性もあります。在宅ワークが一般的になれば、現在のように駅近だけが人気があるのではなく、他のエリアにも入居需要が増えてくる可能性も十分にありえます。

このように次世代の高齢者の暮らしをターゲットにした不動産投資も選択肢の一つとなります。これからの投資家は、ITテクノロジーにも注目しなければいけません。ITテクノロジーをうまく活用することで、不動産投資の外部環境変化リスクを大きく減らすことも可能なのです。

日貸し・時間貸し駐車場の需要を狙う

人口減少が進んでいくことで不動産の活用方法は大きく変わっていく可能性があります。現在のように2年間の賃貸契約を結び、毎月家賃を支払うというスタイルから、民泊のように日で貸したり、貸し会議室のように時間貸しで部屋を貸したりする人もさらに増えてくるのではないでしょうか。

現在は、個人が先生や講師になれる時代です。そのため、個人が行う講演やセミナーというのは今後も増えると予測されています。講演やセミナーが増えれば、その会場を求める需要も今まで以上に増えていくことになります。今までのように会議室だけではなくて、アパートやマンションの一室を借りたり、個人の家や古民家を借りたり、家の中のオープンキッチンを借りたりという人も増えてくるかも知れません。

借りるスペースのバリエーションがどんどん増えていくのです。そうなると、単にアクセスがいいからという需要だけでなく、その物件の持っている魅力で収益を上げることも可能です。物件の選び方も大きく変化していくと予測されます。

日で貸したり、時間で貸したりするのではなく、駐車場の需要も増えていくと思います。駐車場付きの物件であれば、「駐車場だけを貸す」という考え方もあるのです。実際に駐車場だけを貸すサービスも既にあります。そうしたサービスを組み合わせて収益を上げるという方法もあるのです。他人に貸す時間の単位を大きく変えることで、人口減少社会になっても需要を喚起することは可能なのです。

まとめ

日本はこれから少子高齢化・人口減少社会を本格的に迎えます。大変危機的な状況ではありますが、政府はこれらの問題に対して根本的な対策を打てずにいます。このままでは少子高齢化・人口減社会は避けられず、多くの研究機関の予測した通りの未来が到来してしまいそうです。こうした状況に対して、不動産投資の外部環境リスクを減らすためには、自分なりに将来のシミュレーションをある程度、イメージしておく必要があります。
エリアによっては人口減少が一気に進むわけではなく、少しずつ状況が変化していくのです。先手を打っておくということがとても重要になります。投資をするエリアを変えるとか、そもそもの入居者のターゲットを大きく変えてみるなど、様々な打つ手は存在します。
これからの不動産投資は、所有している収益物件をいかに工夫して有効活用できるかということを、今までの既成概念にとらわれずに新しいアイデアを生み出していける人が本当に成功する時代なのかも知れません。

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