空室・滞納・家賃下落ゼロ!?譲渡型賃貸住宅のメリット・デメリット

自分のものになる「賃貸住宅」。

人口減少や少子高齢化、空き家の増加など、近年は不動産投資家の不安を煽る話題が多くなりました。その反面、古民家再生事業やサブスクリプション住宅の普及といった明るい話題もあります。そんな新しい不動産の形として「譲渡型賃貸住宅」も注目されているのをご存知でしょうか。今回は秋田県から始まった譲渡型賃貸住宅に着目し、どんな住宅なのか具体的な内容をご紹介します。

譲渡型賃貸住宅とは?

譲渡型賃貸住宅とは、20年や30年といった期間の間、家賃を支払って住み続けることで最終的に土地と建物の所有権が得られる住宅です。最初に売り主と将来の買い主との間で「賃貸契約」と「譲渡予約契約」を締結。同時に将来の所有権移転を担保するために「仮登記」をします。契約期間が満了すれば、契約に沿って所有権の移転が登記されるのが譲渡型賃貸住宅の仕組みです。

譲渡型賃貸住宅を提供する代表的な会社が、東京都に本社を置くリネシス株式会社。リネシス株式会社では「家賃が実る家」と銘打って、画期的な譲渡型賃貸住宅を提供しています。

家賃が実る家 譲渡型賃貸住宅

リネシス株式会社の家賃が実る家は、契約期間が10~28年で設定可能。更に住む人の希望に合わせた建築や、15年間までは住宅の貸主が修繕費を負担してくれるという非常に画期的なサービスを展開しています。

譲渡型賃貸 解説図

「わざわざ賃貸という形にしなくても、ローンを組めばよいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、住んでいる間の家賃が無駄にならず、将来的に自分の家になるという仕組みは、ユーザーにもオーナーにも多くのメリットがあります。

■出典:リネシス株式会社「家賃が実る家」

譲渡型賃貸の3つのメリット

一定期間住み続ければ自分の家になる譲渡型賃貸住宅。主なメリットは3つに分けられます。

メリット1「住宅ローンの審査が不要」

譲渡型賃貸住宅はあくまで「賃貸住宅」。つまり家を手に入れるための住宅ローンが不要で、煩わしい手続きや審査も必要ありません。低所得者やシングルマザーなどの審査に通りにくい人でも、住まいを手に入れるまでのハードルが低くなります。

メリット2「万一の際の引っ越しが楽」

住宅ローンを組んで家を買った後、もし経済状況が悪くなったら銀行との話し合いでリスケや任意売却などを検討していくのが普通です。もし話し合いがまとまらなければ、最悪のケースなら差し押さえや競売といった結果は免れません。全てを解決するまでの精神的負担は非常に大きいと言えるでしょう。

対する譲渡型賃貸住宅は、あくまで賃貸なので高額な債務に悩まされません。当然、強制的に家が売却される心配もないのは、譲渡型賃貸住宅ならではです。修繕費やクリーニング費、登記抹消費用などは発生しますが、次の住まいを探すまでの精神的余裕は住宅ローンとは比較になりません。

メリット3「賃貸なのに注文住宅並みの自由度」

譲渡型賃貸住宅は「注文住宅並みのプランニングができる」メリットもあります。現在、譲渡型賃貸住宅を提供しているのはリネシス株式会社のみ。リネシス株式会社の家賃が実る家では、住まいを建てるエリアを自由に選べ、間取りや内装、設備から外壁まで建築会社と話し合って自由に決められます。

昨今ではDIY型賃貸といったものもありますが、結局は賃貸。中古住宅を購入してリノベーションするにしても、資金が無ければ住宅ローンは必須。そのようなジレンマを解消してくれるのも、譲渡型賃貸住宅のメリットなのです。

不動産投資家にとってのメリット・デメリット

ユーザー目線から見た譲渡型賃貸住宅のメリットをご紹介しましたが、不動産投資家にとってのメリットはあるのでしょうか。不動産投資家という目線で見たときのメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット1「空室リスクが低い」

譲渡型賃貸住宅は住宅ローンの審査が不要です。よってローンを利用できない人にとって、譲渡型賃貸住宅は住宅を手に入れるための貴重なサービス。一度入居すれば何としても持ち家にしようという心理が働くため、滞納リスクや空室リスクも低くなります。しかも注文住宅並みのプランニングも可能ですから、住まいとしての高い満足度が空室リスクの低下に寄与します。

メリット2「家賃下落リスクも低い」

一般的な不動産投資なら建物の価値は年々下がり、入退去の度に家賃の値下げを検討せざるを得ません。対する譲渡型賃貸住宅は「一定期間住んだら譲渡する」という契約。つまり定期借家に該当するため建物完成から譲渡まで、基本的に最初に決めた家賃が維持されることになります。家賃下落のリスクを最小限に抑えられるのは譲渡型賃貸住宅の非常に大きなメリットと言えるでしょう。

メリット3「出口戦略が明確」

不動産投資において、最終的な売却までの出口戦略は必要不可欠です。30年のアパートローンを完済した頃には、建物は経年劣化により価値はゼロ。当然、賃貸に出したところで借り手も現れません。ただ、固定資産税やその他諸経費を毎年払う必要があります。譲渡型賃貸は売却ではなく譲渡。売却損のリスクを負う必要がなく、賃貸期間が終えれば物件は入居者のものになります。出口戦略に悩まされないのは大きなメリットと言えるでしょう。

デメリット1「利回りが低く、売却益は狙えない」

不動産投資家にとってもメリットの多い譲渡型賃貸住宅ですが、デメリットもあります。譲渡型賃貸は最終的に無償で住宅を譲渡するため、将来の売却益は狙えません。毎月の家賃収入が唯一の収入源となるのです。言い換えれば、高利回りの不動産投資は望めないとも言えるでしょう。ただ6%~7%のリターンは確保できるとされており、ローリスクローリターンの手堅い投資と考えることもできます。

デメリット2「契約解除や元本割れリスクがある」

空室リスクは完全にゼロにできるわけではなく、入居者に万一の事があれば売却を余儀なくされます。万一の事が無くても、入居者の事情により契約解除になることもあるでしょう。リネシス株式会社の家賃が実る家では、空室リスクを最小限に抑えるために5年以内の契約解除には違約金を設定しています。もし譲渡型賃貸住宅を手放したいなら、自社ネットワークに登録している投資家向けに売却を斡旋してもらえる仕組みも備えているとのこと。

ただ、リスクという点はユーザーも同じ。契約した以上は最後の支払いが終わるまで住み続けなければ、最終的に家賃は全て無駄になります。自分の持ち家にならないだけでなく、契約解除の費用負担も加わるため、大きな損失になります。

ユーザーと不動産投資家の双方にメリットのある譲渡型賃貸住宅。リネシス株式会社の家賃が実る家は、現在ビジネスモデルとして特許出願中です。様々な住居形態が生まれる中、譲渡型賃貸住宅は新たな住まいの選択肢として定着していくかも知れません。

まとめ

少々ネガティブな話題ばかりが先行する不動産業界。人口減少や少子高齢化といった言葉は耳にタコができるほど聞いたという方は多いことでしょう。その反面、ここ最近の不動産業界でホットな話題の一つに「不動産テック」もあります。譲渡型賃貸住宅は不動産テックとは違いますが、不動産業界に生まれた新たな住居形態という点で十分に話題性があります。

譲渡型賃貸住宅という選択肢は、経済事情に依存しない住まいとして大きな市場へと拡大する可能性も否めません。問題が山積する今だからこそ生まれたとも言える発想は、いつしか革命と言われるようになる日が来るのかもしれません。

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