不動産業界の悪習慣!?「値こなし」「囲い込み」「専任返し」に要注意! | 不動産投資を考えるメディア

不動産業界の悪習慣!?「値こなし」「囲い込み」「専任返し」に要注意!

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不動産業界の悪習慣!?「値こなし」「囲い込み」「専任返し」に要注意!

海外から見た日本の不動産業界は「閉鎖的である」とする見方がある反面、「制度がしっかりしていて信頼できる」といった意見もありますが、2017年に中国の国営通信社である新華社通信では「日本の不動産仲介業は全体として規範的で秩序がある。価格のつり上げや偽の契約書は非常に珍しい。」といった内容を掲載し、日本でもそれが一時話題になりました。

参考:BIGLOBEニュース「日本の不動産業界には価格つり上げや偽の契約書がほとんどない!中国メディアが「ビックリ」」
https://news.biglobe.ne.jp/international/0502/rec_170502_7553552060.html

そんな話を聞くと、日本の不動産業界を誇らしく思えるかもしれませんが、実際にはまだまだ「悪習慣」が残っていると言われます。そこで今回は、日本の不動産業界で悪習慣と言われがちな「値こなし」「囲い込み」「専任返し」について解説させていただきます。

不動産業界の悪習慣?未だに残る不公平な取引

日本の不動産業界では、未だに残る不公平な取引や悪習慣と言われる取引がいくつかありますが、主に語られるのは以下の3つです。

「おとり広告」
既に売買成立済みの物件や存在しない物件のでっち上げを行い、来客を誘引する行為。
「値こなし」
専任媒介契約を結ぶため売却査定額を高く設定し、媒介契約後は広告をロクに行わずに徐々に売り出し価格の値下げを行う行為。
「囲い込み」
売主と専任媒介契約を結び、自社で客付けを行う事で両手売買を行おうとする行為。

一つ目のおとり広告についてはニュースやSNSで頻繁に取り上げられるほど問題視されましたが、「首都圏不動産公正取引協議会」は2017年1月から10月までの間に、42業者におとり広告の停止要請や広告掲載停止処分をしたということを明かしており、業界全体でおとり広告撲滅への動きがあります。

こうした対策により、おとり広告を行う業者は少なくなってきたと言われていますが、問題視されるのは未だに残る「値こなし」や「囲い込み」といった不動産業界に根強く残る悪習慣により、公平な取引が行われていないという現状です。

ただ、実はこの値こなしと囲い込みはあくまで序幕であり、その先にある「専任返し」が最終的なゴールになっているケースも少なくありません。

不動産業者に旨み?「値こなし」と「囲い込み」

不動産業界に根深く残る値こなしや囲い込みは何故行われるのでしょうか。その理由は、取引の得られる旨みを不動産業者側の視点で見ると理解できます。

そこで、囲い込みと値こなしが行われる原因と不動産業者にどんな利益があるのかご説明いたします。

囲い込み

まず、仲介業者へ売買を委託するにあたって「専任媒介」と「一般媒介」の2つの契約に大別されるのはご存知の方も多いと思います。

不動産業者が売却の委託を受ける場合、複数の業者が同じ物件を取り扱える一般媒介よりも売物件を独占して取り扱いできる専任媒介の契約ができれば、自社で客付けを行おうが他社が客付けを行おうが、売主から仲介手数料を得られることが確定します。つまり、専任媒介は不動産業者にとって片手取引が約束される一つの旨みなのです。

こういった事情から不動産仲介業者は専任媒介契約を欲しがりますが、更に専任媒介で独占して取り扱える物件に自社で客付けを行うことができれば、売主と買主の両方から仲介手数料を得られるため両手取引(両手仲介)が実現します。これが二つ目の旨みです。

この二つの旨みを得るため、不動産業者は強制力のないREINSへの登録を怠ったり、「既に先客がいる」と嘘をついて他業者に物件を紹介せず、自社のホームページや広告を見た買主の直接の問い合わせにだけ物件を紹介するという悪しき慣習が繰り返えされているのです。仲介手数料を2倍得られるとなれば、囲い込みを行うのも無理はありません。

値こなし

囲い込みのストーリーを実現するには、売主から専任媒介の契約をもらうことが必須です。そこで不動産業者は売主から専任媒介契約をもらうため、わざと相場よりも高い価格を設定して「この価格で売れる」と錯覚させます。

売れるか売れないかは別として、まずは売り出し価格を相場より高く設定して、専任媒介契約を得ることを最優先とするのです。売主としては、より高く売れるに越したことはありませんから、複数社に相談をした結果、最も高い価格で売ってくれそうな業者に委託しようと思うのは当然の心理です。

専任媒介契約が結ばれた後は市場で売り出されることになりますが、相場から大きくズレた価格であれば当然売れるはずがありませんし、広告をロクに行わない囲い込みを行っていれば、買主が見つかる可能性も低くなります。

なかなか物件の買主が現れないことに売主は焦りを感じ始めますので、不動産業者はそのタイミングで売主への値下げを提案します。下げ幅は話し合いにより決定しますが、売主としてはとにかく売れなければ仕方ありませんので、ある程度の値下げ提案は受けざるを得ません。これが「値こなし」です。

相場よりも高い査定で専任媒介契約を獲得し、その後は積極的な広告活動等を行わずに売れない期間を作り出すことで、値下げ提案を受け入れざるを得ない状況に追い込みます。値下げさえ出来れば売れる確率はグッと高くなり、広告費をかけずとも勝手に売れていきます。これで三つ目の旨みが得られるというわけです。

仲介手数料が4倍!?「専任返し」とは?

値こなしや囲い込みについて簡単に説明させていただきました。値こなしや囲い込みはセットにする事で、得られる仲介手数料を倍増できる「旨みのある取引」のため、不動産業界では常套手段と言われています。

さて、専任媒介により値こなしと囲い込みが可能になった不動産業者は、更に次のようなことを考えます。「この物件をリフォーム業者や買取再販業者に売って、リノベーション後の物件を更に自社の専任媒介で売れれば、仲介手数料が4倍になる」

そこで、最初の取引では買取再販業者を買主として取引を進めますが、専任媒介を得るために設定した高い価格のままでは買取再販業者も元が取れません。そのため専任媒介を受けている不動産業者は最初の売主に対して値こなしによる値下げを断行します。値下げの承諾さえ得られれば、買取再販業者に買い取ってもらって最初の取引が完了します。この時点で仲介手数料は2倍です。

しかし、ストーリーはそこでは終わりません。
リノベーションした物件は市場で大々的に売りに出されることはなく、買取再販業者は物件を卸してもらった不動産業者との間で専任媒介契約を結びます。

改めて専任媒介を受けた不動産業者はここで初めて大きく広告します。無事に買主を見つけることができれば、買取再販業者と一般の買主からの再び仲介手数料を得ることができます。これで、最初の取引と再販業者から受けた専任媒介の取引で2度の両手取引ができますので、実に4倍の仲介手数料を得られるという事になります。

買取再販業者としては物件を卸してもらわなければ売るものが無いわけですから、今後も物件を卸してもらうように、物件を買った業者との間で必ず専任媒介契約を結びます。お礼としての専任媒介契約であるため、業界ではこれを「専任返し」と呼んでいます。

このように、時に「値こなし」「囲い込み」はあくまで「専任返し」への序章となっていることもあり、最初の売主と最終的な買主だけが損をすることから、不動産業界の悪習慣と言われることも少なくありません。

まとめ

今回は不動産業界で悪習慣と言われがちな「値こなし」「囲い込み」「専任返し」について解説させていただきました。全ての業者でこのような取引を推奨しているわけではありませんので、基本的に自らが売主であれば信用できる不動産業者と専任媒介契約を結ぶのが一般的です。

強者になると、専任媒介契約を結んだ後に怪しい雰囲気を感じ、不動産業者を装って物件確認をしてみたなんて方もいらっしゃるようですが、信頼できる不動産業者であるかを見極める目を養う事や、一般媒介を活用する、C2C取引も検討するなどの事前の対策も考えておくと良いかもしれません。

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