世界が認める不動産投資の新基準「環境性能評価」とは? | 不動産投資を考えるメディア

世界が認める不動産投資の新基準「環境性能評価」とは?

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地球環境イメージ

不動産投資における判断は、皆さん自分なりの基準をお持ちかと思います。
例えばNOIやROI、DCRといった収益性や資産割合に焦点を当てたものもありますし、立地や価格、築年数といった実体的な物件価値にモノサシを当てる方もいらっしゃるでしょう。
しかし今後、もう一つの判断基準が重要になってくる可能性があります。
それは「環境性能評価」というもの。
今回は、この環境性能評価が不動産投資にどのように関係してくるか、そして将来的な視点でどのように捉えるべきなのか考えてみましょう。

環境性能評価とは

「SDGs」という言葉をご存知でしょうか。
SDGsの頭文字であるSustainable(サスティナブル)を直訳すると「持続可能な」という意味になります。
Sustainable Development Goalsの頭文字を取ったSDGsは、日本語にすると「持続可能な開発目標」と訳されます。
何の事だかさっぱり分からないかもしれませんが、まず「持続可能な」という意味を分かりやすくご説明します。

例えば漁師であれば漁に出て魚を獲ります。林業であれば木を伐採します。
林業の場合、森を作ることも仕事の一つですので、伐採した分、苗木を植えて新たな気を育てますので、持続的な職業と言えるでしょう。
漁師の場合、乱獲が行われると親となる魚が減るため、乱獲を抑えることでしか持続性を保つことができません。そこで現在では、水産資源を傷つけないような方法や獲り過ぎない漁法で提供される魚介類を「サステナブル・シーフード」と位置づけ、世界的に広めていこうという取り組みがなされています。

さて、こういった環境、飢餓、ジェンダー、都市、平和、気候などにおける「持続可能」な開発を、2030年までの目標として産・学・官が一体となって取り組もうと国連サミットで採択されたアジェンダがSDGsです。
平たく言えば、その時の生産だけに着目するのではなく、将来に渡って持続的に人と人、人と自然が共存できるようにあらゆる課題に世界規模で取り組んでいこうというのが「SDGs」なのです。

では、不動産業界に求められるSDGsへの取り組みは何かと考えた時、必要になってくるのが「環境性能評価」です。
環境性能評価とは、不動産そのものが空調や節水設備などによる省エネルギー化、設備や敷地内緑化、建物自体の長寿命化などの観点から環境に配慮されているか数値化し、評価するものです。

不動産投資に求められるサスティナビリティ(持続可能性)

不動産業界における環境性能とは一体どのようにSDGsへの取り組みと関係してくるのでしょうか。
サスティナビリティ(Sustainability)は「持続可能性」という意味合いで使われる言葉となります。

そもそも企業が環境配慮へ取り組む場合、ほとんどの企業ではそれを「負担」と考えます。
何故なら、これまでは資源を調達し、そこから物を作り、不要となれば破棄するという流れがごく自然な経済活動の中で行われてきたためで、そこに、環境配慮という要素を取り入れることで企業が様々な負担をしなければいけないと考えられているためです。

例えば、とある工場が環境配慮の取り組みを掲げたと仮定して考えてみましょう。
まず、専門の役職や部署を設置する必要があります。調達する材料も環境に良い材料費の高いものを使わなければなりません。同時にそれは、人件費や運営コスト、生産コストなどの負担増となる上、事業のサスティナビリティを向上させるために担当者へ決定権を付与すると生産性の低下を招くと予想されます。
こういった、考え方は不動産に関しても同じで、環境に配慮した事業を行うとなれば、開発スピードの遅れや建設コストの増加、設備グレードの低さによる賃料収入減といった問題に繋がるかもしれません。
現状、日本だけではないかもしれませんが、企業におけるこのような認識が一般的には強く残っていると言われています。

しかしながら、それらの考え方は全くの逆であるという見方が徐々に広がりを見せています。

サスティナブル(持続可能)な不動産とは

では、サスティナブルな不動産とは、どのようなイメージになるのでしょうか。

まず、建物の建築の際にできることとして、廃材を削減し低コスト化することで環境へ配慮した開発が可能になります。また、節水節電の設備を充実させ、断熱性能を上げることで省エネルギー化、CO2排出量の削減を実現することができるでしょう。更に耐震、防火などの性能を上げたり、改修を容易にする工夫を行う事で長寿命の建物として長く使用することも可能になります。
他にも、こういった環境配慮型の不動産事業を推進していく中で、ステークホルダーとのコミュニケーションを図る必要が出てきますので、自然と啓発活動にも繋がることが予想されます。

いかがでしょうか。
環境に配慮した不動産事業を推進することで、実際の環境への影響を低減させるだけでなく、社会貢献や永続的な事業発展に寄与することがお分かりいただけるかと思います。
上記なような環境性能を有する不動産を想像すると、なんだか近未来的、若しくは先進的な建物がイメージされますが、これが不動産におけるサスティナビリティです。

環境性能評価は資産価値を上げるのか

さて、これら環境に配慮した不動産事業とは言っても、それぞれの企業が独自に行う努力に期待するしかないのでしょうか。

実はあまり知られていないことですが、この環境性能を重視したサスティナブルな開発事業を推進する企業が大手不動産デベロッパーを始めとして非常に多くなってきています。
また、国も何もしていないわけではなく、環境性能の高い建物に対する減税措置や、省エネ改修の費用補助、一定の省エネ性能基準の創設など、政策としての取り組みも開始しています。

ただ、不動産投資家として一番に気になるのは、それら環境性能の高い不動産が、果たして利益をもたらすのかどうかです。

不動産投資におけるインカムゲインを考えた時に、大まかに言うと収入から費用を差し引いた残りが利益となります。
よって、収入を安定的に生み出すことが大事になるわけですが、断熱性や節水節電の設備が整っていれば光熱費が安く済むということへの需要が見込め、相乗的に不動産そのもののイメージアップにも寄与します。同時に賃料ダウンの防止にも繋がるでしょう。
では仮に、ここで収入が確保できたとします。
費用面ではどうかというと、上記のメリットは不動産の所有者にとっても同じですから、運用や管理コスト削減だけでなく、環境性能が高ければ節税効果にも期待できます。
更に、長寿命建物となれば長く収入を生み出してくれますからキャッシュフローの底上げに大きく寄与します。
では、キャピタルゲインの面で見た時にはどうでしょうか。
言うまでもなく、上記の好循環が生まれれば資産価値の高い不動産と位置付けることができます。
環境性能の高い不動産という事は、低コスト高収入ということから評価の高い不動産という見方になりますので、仮に売却するとなれば環境性能の低い不動産よりも高く売却することができるでしょう。

こういった好循環への意識の変化が世界的に起きており、それは日本においても同じです。
事実、CASBEEという建築環境総合性能評価システムを取り入れる企業が増え、独自の環境評価基準や制度を設ける自治体も出てきています。
今や、環境性能評価は不動産の価値を見極める一つの指標とも言えるまでになってきているのです。

まとめ

SDGsから考える不動産業界と投資家に求められる世界の意識変化は既に始まっています。
ただ、個人という住宅規模においてはまだまだサスティナブルな考え方が浸透しているとは言えない状況にあります。それは、個人のライフスタイルにおけるコスト削減の効果が目に見えづらいというところが大きな要因として考えられるためです。また、企業方針と違い、個人という規模ではあくまで努力義務程度の行動に留まるため、サスティナブルな不動産投資を行うとするならば、オーナーとユーザー、管理会社との連携やコミュニケーションが必要になってくるでしょう。
アパートやマンション経営といった一般的な不動産投資からでは、まだまだ実感の湧かないことかもしれませんが、今後、環境性能評価というものが重要視される日もそう遠くはないという事だけでも覚えておくと良いかもしれません。

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