REXとMLSに学ぶ!ブロックチェーンがもたらす不動産テック5つのメリット | 不動産投資を考えるメディア

REXとMLSに学ぶ!ブロックチェーンがもたらす不動産テック5つのメリット

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ブロックチェーンのイメージ

2017年という1年の間で、1単位あたりの価値が10万円台から200万円という驚異的な高騰を記録した相場と言えば「ビットコイン」です。もし、生み出されたばかりの頃のビットコインを1万円分所有していたとしたら、今では億プレイヤーになっていたという事になります。
そんな夢のような話が実際にあることが分かり、現在では、猫も杓子も仮想通貨で沸きに沸いている状況です。
このビットコインの成り立たせるのに大きな役割を担っているのが「ブロックチェーン」という技術です。実はこのブロックチェーンが不動産の仕組みやこれまでの常識を一刀両断するかもしれないという事で、あちこちで話題になっています。

アメリカの代表的不動産流通システム「MLS」とは?

まず、日本とアメリカの不動産流通事情について把握しておくと、この後の話が分かりやすくなるかもしれません。
日本の不動産業界がどのような仕組みで物件が公開されているかというと、ご存知の方も多いと思いますが、「REINS(レインズ)」という不動産業者だけが閲覧可能なシステムに登録されている物件を不動産仲介業者が広告宣伝し、それを見た個人が購入を検討するというのが一般的です。もちろん、個人が直接不動産業者へ売却を依頼することもありますので、広告には出ない物件も存在します。

では、アメリカはどうかというと、アメリカにはREINSと似た「マルチプルリスティングサービス(以下、MLS)」というものが存在しますが、その規模や厳格なルールは日本の比ではありません。
MLSは、不動産ブローカーとそこに所属するエージェントが毎月の会費を払うことで閲覧可能になる不動産情報システムですが、そもそもこのMLSには、アメリカの90%以上の物件が登録されていると言われています。
そもそも、アメリカでは両手取引禁止と法律で定められていることもあり、売却を依頼されたエージェントやブローカーは、否が応にも物件登録を行い買主を見つけていかなければなりません。つまり、一つのブローカーが売主と買主の間に立って、両社から仲介手数料を貰うことを禁じられているのです。

また、MLSは物件登録と閲覧だけが能ではなく、顧客の苦情対応を始めとした、物件の囲い込みや現在の交渉状況の表示が適正かといったことを厳格に監視したり、登録物件の情報が一定基準にあるかどうかのチェック(写真が無いだけでも指導が入る)といった事なども行っており、違反する場合は除名や罰金というペナルティが課せられるのです。
とはいえ、「バレなきゃいいか」という業者もいるわけですが、結局は内部通報等で違反が発覚します。しかも、そういった違反発覚後の是正率が91%だというのですから、非常に透明性の高い業界であることは間違いないでしょう。

「REX」が更に流通を加速させる!

次に、REXという存在についてですが、まずブロックチェーンの仕組みから簡単にご説明します。
MLSやREINSのような、一つの場所に物件情報が集まる形態を「中央集権型」と言います。それに対してブロックチェーンというものは「分散型管理システム」という事になるわけですが、この分散型の形態で不動産取引をよりスムーズ且つ、公平にしていこうという目的で作られたのが「REX」というシステムなのです。

スペースの兼ね合いからブロックチェーンの詳しい解説は割愛しますが、ブロックチェーンを一言で申し上げると「取引履歴というブロックを繋げたもの」です。各ブロックのデータは他のデータと関連付けられて監視されるため改ざんに強く、分散されているからこそ一つのブロックが機能しなくなっても他のブロックの情報から補完することができます。
もっと分かりやすく言うのであれば、手をつないで輪になった5人のうちの1人が「隣の人がアクビをした」と申告しても、他の3人が「いや、あくびはしていなかった。」と証言してくれるため嘘を簡単に見抜くことができます。また、もしメンバーの一人が抜けても他のメンバーの家族や知り合いが加わることで輪が保たれる、そのようなイメージと言えるかもしれません。

では、REXはこのブロックチェーンを使った不動産業界に、どのような未来像を描いているのでしょうか。

それは、「分散型ネットワーク上での、売主、買主、不動産業者のマッチング」です。
今日に至るまで日本の不動産業界の慣例では、売主や買主が不動産業者に依頼した後は、不動産業者が売買の取引相手や物件を探してきて顧客に紹介するという仕組みが成り立っています。つまり、顧客は不動産業者の集めてきた情報と取引相手を信用するしかないと言ったところも少なからずありました。
しかし、REXがその慣例を一刀両断するかもしれません。REXというシステムに物件が登録されたら、その情報は分散ネットワークで誰でも閲覧できることになる上、分散したデータから信ぴょう性も担保されます。更に、「物件を探している」という顧客がいるという事も分散ネットワークに乗せて発信することができるため、不動産業者だけでなく、顧客自らも売買の相手を見つけやすくなるという事に繋がるのです。

REXは分散型MLS

さて、MLSとREXについて解説してきましたが、この2つの話がどう繋がるのか疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
まず、一つ認識していただきたいのが、日本の不動産業界も徐々にエージェント制の仲介業者が現れ始めているという事です。つまり、アメリカのMLSのように売主側の仲介者と買主側の仲介者で明確に分け、それぞれの仲介者は自分の顧客にその物件の売買についてアドバイスを行い、取引成立後の仲介者は各々の顧客から仲介手数料を得ます。
結果、満足のいく取引ができればその仲介者は「良いエージェント」という事になるわけですが、こういった仕組みが、日本でも主流になっていく可能性があります。
では、ここにREXがどのように関係するかというと、REXという分散型システムに登録される物件や売却希望者、そして購入希望者という情報を不動産業者が共有することで、より広く、公平に、スピーディな取引を成立させることができます。これまでは、広告を出したらそれに対する反響を待つしかなかったのですから、マッチングが容易になるという事だけでも目覚ましい進歩です。
極論、仮に取引に関わる仲介業者が良いエージェントではなかったとしても、顧客は広いネットワーク上に情報が存在するが故に、自分の希望する取引と出会える可能性が高まり、より公平な取引を実現することができます。
これまで不動産流通の要となっていたREINSやMLSといった中央集権型のデータでは、こうしたマッチング自体に時間がかかっていたわけですから、分散型の広いネットワークを不特定多数の人が閲覧できるようになれば、取引に対する個人のアクションもこれまで以上に促進され、不動産流通がより活発になるということが予測できるのです。

不動産業界におけるブロックチェーンの妙味は5つ

REXの特性を知ったところで、「法整備さえすれば、今ある技術で問題なさそうだけど…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ブロックチェーンの仕組みを思い出してみてください。可能性は無限大とも言えるほど広がっています。
もし不動産業界にREXのようなブロックチェーン技術が利用されることになれば、主に以下の5つに寄与すると考えられます。

不動産業者の接客技術やアドバイスの質が上がる

ブロックチェーンにより、多くの人が正確な情報を公平な目線で確認することができるため、仲介業者はより接客技術や不動産情報の提供方法に磨きをかけなければ「良いエージェント」になることができない上、利益を出すことができなくなります。

おとり物件や囲い込みが少なくなる

ブロックチェーン上に改ざんされない正確な情報が保存されるため、「おとり物件」は激減するでしょう。また、分散型ネットワークを活用しないことで取引成立が遠ざかるため、囲い込みという無駄な努力も不要になります。

登記簿さえ不要になる可能性も?!

分散型で信ぴょう性に足り、更に改ざんに強いとなれば、これまで人間の目と手で行われていた登記が不要になります。もちろん、最初に登記情報を登録するのは人間ですが、その後のデータはブロックチェーンに保存されますので、誰でも簡単に登記情報を確認でき、スムーズな取引に寄与するでしょう。

運用管理や情報管理が容易になる

家賃や一部屋ごとの管理履歴もブロックチェーンなら誤魔化しようがなくなります。例えば、事故物件であることを隠していたとしても分散した情報から嘘はすぐにバレるでしょう。また、これまでの物件のリフォーム履歴なども誰が見ても明らかな情報として残り続けます。

仲介手数料の自由化につながる

ここまで透明化された不動産業界であれば、もはや不動産業者の仲介報酬の上限を撤廃して自由に決めることができなければ不動産業界は衰退してしまうでしょう。そこで例えば、不動産取引士や不動産鑑定士といった資格を持っていればエージェントになる資格が得られる仕組みができたとしたら、より多くの人が仲介業務に参入することになり、ますます不動産業界は活性化すると言えそうです。

まとめ

これまでのREINSやMLSのようにデータを中央集権の箱に集めるよりも、ブロックチェーンの技術で分散させてデータを保管した方が、利便性や安全性という点で有利且つ、合理的だという事がお分かりいただけたかと思います。
昔から、投資の世界では「卵を一つの籠に盛るな」と言いますが、データを資産として考えた時にも同じことが言えるのかもしれません。「ブロックチェーン=仮想通貨」と見る向きが強い中、不動産業界へのイノベーションの足音は確実に近づいているという事は紛れもない事実なのです。

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