立ち退き料の相場?支払う必要はあるの? | 不動産投資を考えるメディア

立ち退き料の相場?支払う必要はあるの?

シェアする

家の立ち退きイメージ

不動産経営におけるトラブル事例は世の中に巨万と存在していますが、その中でも泥沼化しがちなものとして「立ち退き交渉」があります。
オーナーという立場で立ち退きトラブルに向き合うこととなった場合、時には反社会的勢力と言われる人が関わっていたり、思わぬ事件に発展する可能性もあったりするものですから、いざという時の為に立ち退き問題についての基礎知識や対処方法をある程度は把握しておきたいところです。
そこで、賃借人の立ち退きを要する事態が発生した時に、どういった姿勢や心持ちでいることが望ましいのか、そして立ち退き料は必ず支払うべきものなのかといったところを解説させていただきます。

立ち退き交渉が必要になるケース

そもそも、立ち退きを要する問題と向き合うことになること自体、そう多くはないかもしれませんが、仮に以下のようなケースが自身の所有する物件に起こり得るかどうかを考えてみると、可能性はゼロではないという事がお分かりいただけるかと思います。

  • 家賃の滞納
  • 不当行為(無断でペットを飼育する、近隣への迷惑行為など)
  • 定期借家期間満了後の居座り
  • 競売物件における占有者
  • 建物の老朽化等による建て替え
  • 賃借人による又貸し等の明らかな契約違反
  • etc…

正直な気持ちとして「立ち退いてもらいたい」と思うに至るケースは他にもあるかもしれません。
近年では、民泊ブームにより外国人を宿泊させる方も多くなりましたが、たとえ区分所有マンションであったとしても、管理規約に著しく違反していると判断されれば立ち退きや損害賠償請求に至る可能性もあり、実際にそういった裁判も見受けられます。
では具体的には、どのような条件下で立ち退き請求が可能になるのでしょうか。

立ち退き請求は正当な理由が必要

立ち退き請求が可能かどうかは、これまでの判例を見るのも良いですが、まずは借地借家法による基本的な考え方に沿う必要があります。
まず、借地借家法第28条において「建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件」というものが定められています。この法令では、「(1)賃貸人と賃借人がその建物をどの程度必要とするか」「(2)賃貸借契約の期間内における家賃滞納や不当行為の有無など」「(3)建物の現状や利用状況」「(4)立ち退き料の給付の有無」などを考慮した、正当な事由がない限りは更新を拒絶することはできないと定めています。
少々難しい言い方になりましたが、要は「賃貸契約終了の申出は、正当な理由と借主の了承無しに行うことはできない」ということです。

立ち退きに関する判例は非常に多いため省略させていただきますが、賃貸人による立ち退き請求が正当な理由にあたるかどうかを、以上の法令をベースとしながら、これまでの判例も確認しつつ判断していくこととなります。
ただ、悪質な家賃滞納や、明らかに契約違反と考えられる事由でもない限りは、賃貸人都合による一方的な立ち退き請求はほぼ不可能と考えたほうが良いでしょう。

立ち退き請求には事前通知も必須!

立ち退き請求を考える上では、「正当な理由があるかどうか」がポイントになるお話させていただきましたが、もう一つ重要なポイントがあります。それは、大家業を営む方でなくとも耳にしたことがあるかもしれない「立ち退きは6か月前通告が必要」というルールです。
そのように一般的な解釈だけされている方ですと「6か月前までに立ち退き請求をされたら、部屋を明け渡さなくてはいけない」という少々間違った認識をされている方もいらっしゃるようですが、そうではありません。
これもまた、借地借家法に則った解釈が必要となるわけですが、正確には借地借家法26条「建物賃貸借契約の更新等」を確認すべきでしょう。

同法令では、「賃貸借契約の期間満了の1年~6か月前の間に相手方に更新をしないと通知するか、契約内容の変更をしないと更新しないという通知を行わないときは、同一条件での契約を更新したものとみなす。また、更新後の期間には定めはないものとする」と定めています。
先に正当な理由無き更新拒絶はできないと解説させていただきましたが、本来はまず先に、このルールを前提とした上で、正当な理由があるかどうかで最終的な立ち退きの可不可を判断することとなります。

立ち退き料の要求に応じる必要はあるのか

立ち退き請求は何やらハードルが高そうに感じてくるかもしれませんが、場合によっては賃借人からの金銭要求をされることがあります。要は、「出ていくから、引っ越し費用や慰謝料を出してくれ」と言われることがあるということなのですが、それはつまり、借地借家法28条の「立ち退き料の給付の有無」を先方が心得ていると考えたほうが良いでしょう。
正直なところ、そのような話を出されると、金銭目的の悪意に思えてしまうこともあるかもしれませんが、場合によっては金銭の要求に応じたほうがスムーズな交渉になる可能性もあるのです。

例えば、建物の老朽化を例にしてみましょう。
一見、建物の老朽化は立派な正当事由にあたると思えますが、仮にホームインスペクター等による診断を行ったとしても、これまでにあった裁判で「老朽化ではなく、賃貸人の管理不足による結果である」という判例もあり、やはり、一概に正当事由だと言えません。
よって、こちら側としては建物の老朽化を理由に建て直しのための退去を請求しても、借主側の主張として「周辺環境も良く、家賃滞納もしたことがない。老朽化したとは言え、住み続けるにはまだ十分ではないか。」と言われてしまえば、一旦は宿題として改めなければいけません。

そこで、「立ち退き料の給付の有無」が解決策としての候補に挙がるのです。
「相応の退去費用の提示があれば検討する」という事を先方から申し出てくるようであれば、それに応じたほうがスムーズに解決する可能性もありますし、逆にこちらから提案することも一考です。

但し、全てのケースにおいて金銭要求を検討する必要はありません。
昔からよく聞かれた「競売物件に対する不法占拠」は、引っ越し代という名目で金銭を渡せば解決できるという認識が一般的でしたが、最近では法の整備等により強制執行による建物引渡しがスムーズになっています。
つまり、明らかに違法な居座りや不法占拠による金銭要求など、状況によっては立ち退き料の要求に応じる必要は一切ないのです。

立ち退き料の相場

さて、もし立ち退き料の要求に応じることとなった場合、どのくらいの金銭的な負担をすべきなのでしょうか。是非とも立ち退き料の相場を確認したいところですが、結論から申しますと、立ち退き料に相場はありません。
一般的には、「引っ越し費用(家賃6か月分程度)」を目安として考えるべきとの意見が多いようですが、安易にそのような認識だけで交渉を進めてしまうのは少々危険です。
仮に、現在の賃料が7万円の物件から立ち退いて14万円の物件に引っ越しされた場合、「引っ越し費用を負担しますよ」なんて約束をしてしまったが為に、引っ越し費用の目安である家賃6か月分、つまり「84万円」を負担しなければならなくなります。

金銭による解決策を模索するのも良いとは申し上げましたが、実際に負担する額については、相手としっかり話をした上でお互いに納得のいくポイントを模索する必要があります。当然、書面による約束の取り交わしも必要になるでしょう。
相場という便利な言葉に頼らず、対人交渉によるスムーズな話し合いをすることを前提としたほうが、円満の解決に繋がるのです。

各種お問い合わせやご相談はこちら