民法改正による不動産投資の実務への影響とは? Vol.2 | 不動産投資を考えるメディア

民法改正による不動産投資の実務への影響とは? Vol.2

民法改正による不動産投資の実務への影響とは? Vol.2│画像1

前回に引き続き、改正民法において連帯保証人の保護の観点からどのように変わるのかを見ていきましょう。

連帯保証人の扱いはどのように変わったのか?

ポイント3

事業用賃貸について、新たに賃借人自身が連帯保証人に対して自分の財産状況についての情報提供を行うことが義務付けられました。

賃借人から連帯保証人へ情報提供が義務付けられた項目は次の5つの項目となります。

  1. 賃借人の財産状況
  2. 賃借人の収支の状況
  3. 賃借人が賃貸借契約の他に負担している債務の有無並びにその額
  4. 賃借人が賃貸借契約の他に負担している債務がある場合、その支払い状況
  5. 賃借人がオーナーに保証金などの担保を提供するときはその事実および担保提供の内容について

法務省が改正民法の施行を目指している2020年以降、店舗やオフィスなどの事業用物件の賃貸借契約については、この5項目について賃貸借契約書に記入欄を設けることが必須になります。そして、賃借人にそれを記入させた後、連帯保証人に署名、捺印を求めるということです。

もし、前述した5項目について何にも触れていない賃貸借契約書があれば、連帯保証人が賃借人の財産状況を把握できていないということにもなりかねません。その場合、連帯保証契約を無効にできる可能性もあるということです。

たとえば、個人事業で飲食店を新しく開業する人が店舗を借りるために家族を連帯保証人にするケースで考えてみましょう。

店舗やオフィスなどの事業用物件の不動産賃貸借契約で連帯保証人をつける場合、賃借人の財産状況などの情報提供を行うことを改正民法では義務付けています。

これは、賃借人の連帯保証を引き受ける際に、賃借人にどのくらい財産があるのかということを把握する機会を与え、その上で連帯保証人を引き受けるかどうかを判断してもらうという趣旨で設けられたものです。

一見するとオーナーには、何の関わりもないと思われる情報提供義務ですが、実はそうではありません。
賃借人が財産状況などの情報提供を連帯保証人に伝えることが十分でなく、そのことを誤解して家族が連帯保証人になっている場合や、オーナーが財産などの情報提供義務を果たしていないことを知っていたり、または知り得たのに知ることを怠った場合については、連帯保証人は連帯保証契約を取り消すことができるのです。

賃貸借契約書に賃借人が連帯保証人への情報提供義務を果たしていない(情報の記載がない)場合は要注意です。オーナーが連帯保証人契約を取り消される危険性があるからです。賃貸借契約書には、必ず情報提供欄を設けるようにしましょう。

家賃の遅延損害金の利率改正

「社会・経済の変化への対応」の観点からの民法の改正検討項目については、法定利率の改正があります。

この法定利率の改正とは、世の中の金利が低い状態が続いているという現状を踏まえて、契約の当事者間に利率や遅延損害金の合意がない場合などに用いられる法定利率についての項目です。この法定利率を年5%から年3%に引き下げた上で、将来的に市中金利動向に合わせて変動する仕組みを導入する予定になっています。

たとえば、賃貸借契約の契約書に記載される家賃の遅延損害金の利率を記載しておらず、取り決めがなされていない場合には、法定利率に準ずるということになります。

前述したように、将来的に市中金利動向に合わせて変動する仕組みが導入され、法定利率は3年ごとに見直しが行われます。このまま金融緩和による低金利が続けば、法定利率も順次引き下げられるということになります。

つまり、きちんと賃貸借契約書に記載をしてお互いに合意しなければ、超低金利が続いている現状では、家賃滞納をした場合の遅延損害金の利率がどんどん下げられてしまい、遅延損害金の罰則の意味がなくなってしまうということです。

各種お問い合わせやご相談はこちら