改正住宅セーフティーネット法の施行で空き家・空室は激減するのか?! | 不動産投資を考えるメディア

改正住宅セーフティーネット法の施行で空き家・空室は激減するのか?!

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日本全国には2017年6月現在、空き家と空室が約820万戸、うち賃貸用住宅は約430万戸あると言われています。

そうした空き家・空室を活用できる可能性があることが政府の調査で分かっています。例えば、2013年の調査では、駅から1km以内で耐震性があり、空き家・空室であるものに関しては賃貸用の住宅で約137万戸に上ると言われています。

日本は少子高齢化により世帯数も減少傾向にあり、それに伴い空き家や空室も増えてきていることが大きな社会問題となっています。一方、高齢者や低所得者など住宅ニーズが高い層に住居が提供されていない事態も発生しています。問題の背景にはオーナーがこうした層の入居を拒んでいるからとされています。ある統計情報では、単身の高齢者の入居を拒むオーナーの割合は7割、低所得者の入居では6割にもなることがわかっています。

そうした空き家や空室を有効活用し、事情があって賃貸住宅に入居できない人たちを支援する施策を盛り込んだのが「改正住宅セーフティーネット法」です。2017年の通常国会で法案が通過し、同年の秋から具体的に施行される見込みとなっています。

今回の改正住宅セーフティーネット法の目玉は、政府が家賃補助を出すだけでなく、リフォームの改修費用も持ってくれるという点。対象となるのが、低所得者や被災者、高齢者、障害者、子育て世代、低所得の外国人などの住宅確保要配慮者。そうした住宅確保要配慮者に対して、入居を拒まない賃貸住宅を家賃補助やリフォーム費用補助の支援で増やそうという目的です。

家賃補助とリフォーム費用補助

入居者への家賃補助ですが、民間賃貸住宅でも都道府県などに登録すれば、前述した住宅確保要配慮者に対して家賃を毎月最大4万円補助してくれるという仕組みです。負担は国と地方自治体が2万円ずつ折半する予定になっています。

また、家主へのリフォーム費用補助については、バリアフリー工事や耐震改修工事、用途変更のための工事などリフォームや改修工事の費用の3分の1を国が直接補助してくれます。また、独立行政法人の住宅金融支援機構からの融資も受けられるとされています。このように、入居者だけでなく、物件オーナーにも嬉しい内容となっています。

政府は登録住宅の登録住戸数について、2020年度末までに17.5万戸を登録する目標を掲げており、その後、毎年5万戸相当を登録を目指しています。改正セーフティーネット法が施行され、物件を登録すれば、空室で悩んでいたアパートやマンションの収益を上げることは、それほど難しくはなくなるかもしれません。

課題は専門家との連携

家賃が払えない低所得者などを国や地方自治体が支援してくれるのは、オーナーにとっても大きな魅力です。しかしながら、そうした人を入居させた場合、家賃の問題だけではないトラブルが起きるケースがあります。一戸建て物件ならまだしもアパートやマンションの場合、一定の共同生活ができなければ、近隣のトラブルに発展し他の入居者に影響が出てしまうケースもあり得るからです。

サラリーマン大家さんの中には生活保護を受けている人をターゲットに入居を勧めているオーナーもいます。しかし、生活保護受給者を専門に行っているサラリーマン大家さんの中でも、入居者の心の問題等で苦労をしているケースも少なくないようです。

入居者がトラブルを起こすリスク

例えば、夜中に入居者が騒ぎ出して、近隣住民に迷惑をかけ続けた結果、入居者がその人以外、全員退去してしまったというケースもあります。また、同じように入居者が真夜中に騒ぎ出して、なんとか退去をしてもらったものの、部屋の中がめちゃくちゃにされていて、そのための改修工事で数百万円も出費したオーナーもいらっしゃいます。

では、こうした問題は未然に防ぐことはできないのでしょうか?
あるオーナーさんが問題を起こした人を担当するケースワーカーに「心の問題を抱えていることをなぜ事前に伝えてくれなかったのか」と、問い正したそうです。すると、ケースワーカーは、「人権問題に関わるので事前に個人情報を伝えることはできない」と語ったそうです。入居者が引き起こす問題に対するリスクヘッジの方法が見つからない限り、たとえ家賃補助や改修工事費用が国や地方自治体から補助されても受け入れを拒否するオーナーは減らないかも知れません。

前述したように住宅確保要配慮者の中には、低所得で住まいを探すのに苦労をしている外国人も含まれるとされています。文化の違いや価値観の違いから入居のトラブルが発生することも考えられます。こうしたトラブルが起きた時、誰がどのように対処するのかという問題を解消できなければ、空室を埋めたいオーナーと、入居したい住宅確保要配慮者の間の需給のミスマッチを改善することはできないでしょう。

まとめ

改正住宅セーフティーネット法は、2017年の秋から施行されます。すでに、国土交通省は2017年の7月から各都道府県で新たな住宅セーフティネット制度についての説明会を行う予定となっています。国の予算規模にもよりますが、家賃補助とリフォーム費用補助が行われれば、住宅確保要配慮者向けの投資は今後確実に増えていくことが予想されます。
しかし、金銭的なメリットだけでなく、オーナー側のリスクを担保する仕組みを作らなければ、制度自体が浸透しない恐れがあります。その根本的な問題を解決することこそが、住宅確保要配慮者に住居を提供し空き家・空室を減らすという本来の目的に近づく方法ではないでしょうか。

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